1966年7月に放送が開始され、2021年に放送55周年を迎えた「ウルトラマン」。最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組としてギネス世界記録にも認定されているウルトラマンシリーズは、専門ショップがあるほど幅広いグッズが半世紀以上販売されてきた。レアものから子どもの玩具まで、いまや親子三代が楽しめるアイテムが満載だ。
初代ウルトラマンから現在まで、およそ60人ものウルトラヒーローがこれまでに登場し、映画「シン・ウルトラマン」が大きな話題となっているウルトラマン。子どものころに憧れた勇姿を手元に置くなら、フィギュアが最適だろう。
ウルトラ兄弟の中で最も多彩な技を繰り出すウルトラマンA(エース)。他のウルトラ兄弟の客演も多く、ヒッポリト星人の回には宇宙警備隊大隊長のウルトラの父も登場した。
ウルトラマンシリーズのもう一つの魅力は、ウルトラヒーローと戦う怪獣や宇宙人。「ウルトラQ」や「ウルトラマン」の放送によって怪獣ブームが起こり、子ども達は毎週登場する新しい怪獣に目を輝かせていた。その造形は半世紀以上経ったいまでも陳腐化することなく、繰り返し登場する怪獣も多い。
宇宙忍者バルタン星人は、核実験によって壊滅した母星に代わる移住先として地球侵略を目論んだ宇宙人。その後もシリーズ作品に何度も登場し、パワードバルタンやダークバルタンなどバリエーションも豊富。
ウルトラマンを倒した宇宙恐竜ゼットン。最強の敵としてウルトラヒーローたちに立ち塞がる。さらに強化されたハイパーゼットンや、キングジョーと融合したペダニウムゼットンなど、強さをアップグレードしたバリエーションがいる。
狡猾な戦略で地球侵略を狙ったメトロン星人。夕焼けの中、セブンと対峙する姿が有名で、「ウルトラマンマックス」で直接の続編となるエピソードが放送された。「ウルトラマントリガー」では地球平和同盟TPUのメンバーとして登場する。
ウルトラマンの変身アイテムや、科学特捜隊やウルトラ警備隊などに代表される防衛隊のメカニックは、未来を先取りしたギミックやデザインが特徴。合体分離する戦闘機や、動画通信ができるウェアラブルデバイスなど、子ども心がワクワクするアイテムが多い。その形を忠実に再現したグッズは、大人のコレクションとして評価が高い。
ウルトラマングッズは子ども達が遊びで使う玩具と、放送当時の思い出や憧れを求める大人のためのコレクターズアイテムがある。放送されていた頃に販売されていたグッズは希少価値が高く、技術の進歩によって再設計されたフィギュアなどはギミックなどが凝っており、インテリアとしてさりげなく飾りたいアイテムが多い。
ブルマァクは昭和ウルトラマンに登場する怪獣たちのソフビを製作していたマルサンの後を継ぎ怪獣ソフビを販売し、怪獣ブームのけん引役となった企業。一時期バンダイが復刻版を販売していた。
実際のスーツを忠実に再現・立体化しているフィギュアを製造・販売しているエクスプラス。リアルなディテールや、マニアックなラインナップはファンから定評がある。
特撮マニアとしても知られる俳優の京本政樹がプロデュースしたフィギュア。リアルなプロポーションで、当時としては珍しい大きなサイズが特徴。このシリーズをもとにしたカプセルトイも発売されている。
BANDAI SPIRITSから発売されているアクションフィギュア。高さ14、5cmながら稼働箇所が多く、劇中のポージングが取れる。骨格から造形を行っている真骨彫製法シリーズはファンからの人気も高い。
主に駄菓子屋で販売されていたウルトラマンシリーズのブロマイド。ウルトラマンや怪獣の写真が使われている。放送から半世紀が経過し、放送当時のアイテムは希少価値が高まっている。
半世紀以上の歴史となったウルトラマンシリーズは、途中テレビシリーズがない時期もあったが、日本の子ども達が一度は通る道。ウルトラマン自体もウルトラの父・ウルトラマンタロウ・ウルトラマンタイガが三世代、ウルトラセブンとその息子であるウルトラマンゼロ、さらにウルトラマンティガの流れをくむウルトラマントリガーなど、ウルトラマン自体が違う世代を同時に取り込んでおり、視聴者自身それぞれが憧れたヒーローがいるはずで、その世代ごとのウルトラマンや怪獣のフィギュアを集める楽しさがある。
いまでも売られているウルトラマンや怪獣のソフビといった、お手軽に楽しめるグッズから、放送当時販売されていた現在では入手困難なソフビまで、そのバリエーションは広く、自分に合った集め方ができる。
ウルトラマンは現在でも基本的な姿が変わらないことでもわかるように、時が過ぎて大人になったいまでも鑑賞に堪えるデザインなのが魅力だ。また商品製作技術の進歩によって、いわゆるおもちゃ然とした作りではない、ディテールにこだわったグッズも増えており、まさに大人の趣味といえるアイテムになっている。怪獣たちも同様で、生き物としての魅力が50年以上経ったいまでも伝わってくる。バルタン星人やゼットンなど、多少のマイナーチェンジはありながらも、何度もシリーズ内で登場していたり、キングジョーのように防衛隊のロボットとしても活用されたりと、親子三代で同じ怪獣を知っていて、楽しむことができるという点が怪獣ソフビの特徴だ。
ウルトラマンシリーズに登場するメカニックは、未来のデバイスや乗り物がフィーチャーされている。バッジからアンテナを伸ばしたり、腕時計型のウェアラブルデバイスでビデオ通信ができるといった設定は、黒電話しかなかった時代からすると、未来の先取りであり、その先見性に驚くとともに、子どもから羨望のまなざしで見られていた。そうしたプロップが忠実に再現されているウルトラレプリカは、そこに置いておくだけでワクワクするだろう。
防衛隊のメカニックでは、福島空港に設置されているジェットビートルのように、いまそこにあってもなんら違和感のないデザインというのがウルトラメカニックの特徴でもある。さらに分離合体するウルトラホークや、様々な武器を搭載した自動車、あるいはマグマライザーのように先端にドリルがつき、地中を突き進んでいけるようなメカも登場する。可変翼でシャープなデザインのガッツウィングなども含め、どれをとっても、まさに男の浪漫だ。
子どもの頃、高くて手が出なかったおもちゃが大人になって手が届く範囲となっていることも多い。当時の物価から考えると値上がりはしているものの、おもちゃ自体は割安になっている。コレクターズアイテムはまさにそうした大人をターゲットとしたアイテムで、大人の趣味となりうるものだ。さらにS.H.Figuartsなどは対象年齢が15歳以上となっており、最初から大人をターゲットにしている。
フィギュア類はかなり精巧な造形のアイテムが増えており、インテリアとしてさりげなく飾るのも大人っぽい。その分、エクスプラス
ウルトラシリーズフィギュアのように値段がはるものも多く、限定生産のアイテムがほとんどだが、それだけの価値があるということだ。最近ではヒューマンスケールのウルトラマンフィギュアといったものも商品化されており、コレクターズ心がくすぐられる。
コロナ禍で公開が延期されていた庵野秀明・樋口真嗣コンビによる映画「シン・ウルトラマン」がついに公開され、このリブートによって初代ウルトラマンの魅力が再び見直されることも予想される。単なるノスタルジーではなく、これからも続いていくだろうウルトラマンとそのグッズの魅力はますます高まっていくだろう。
初期のウルトラマングッズは半世紀といった時間が経過しており、ある程度の経年劣化は致し方ない。もちろん美品であるに越したことはないが、その希少価値と天秤にかけた場合、多少の劣化は許容しよう。
昔から著作権というものは存在していたが、いまほど権利関係にうるさくなかった時代には、いわゆるパチモノというものが市場に出回っていた。実はいまでも、中華街などに行くとパチモノのウルトラマンフィギュアが売られたりしている。なかなか見極めは難しいところではあるが、商品写真などに不審な点がないか注意すべきだ。
ウルトラマングッズで、特にメカニックなどでは、細かい部品があるアイテムも多い。ボタンで発射するミサイルや、安全のためゴムで造られているアンテナ形状の部品などだ。実際のメカの写真と見比べて、そうしたものが揃っているかはチェックしよう。
著者:MOVIEW 清水
映画・アニメ・特撮サイト「MOVIEW」を運営。ウルトラシリーズ初期の脚本家を務めた金城哲夫氏の実家で、金城哲夫資料館のある料亭「松風苑」のすき焼きがおいしかったので次はしゃぶしゃぶを食べたいと思っている。
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