1970年に6台の国産車からスタートし、2020年に50周年を迎えたトミカ。手ごろな価格でありながら、実車のような塗装や彫刻、裏板など細部のこだわりが光る。コレクションの入り口としても最適だ。
子どもに人気のキャラクタートミカ、大人志向のトミカプレミアムなど種類は豊富。中でも製造年代の古いトミカほど希少価値は高くなりやすい。
子どもも大人も夢中にするトミカの花形。実車を再現するためエアロパーツやライト/ランプなどにこだわった車種も多い。働く車に比べて車種の移り変わりが早いのも特徴だ。最近の新車ではトミカ50周記念企画仕様車が要注目。
メーカーで実車を担当するデザイナーが考えた記念仕様のGT-R。日産スカイラインRS-X(R30)の赤黒カラーが施され、裏板もこだわり仕様に。
やはりメーカー実車担当が考えた記念仕様のGR スープラ。手で持って上から見たとき一番かっこよく見えるようデザインされているという。
1994年の初代「ユーノス ロードスター」から人気の定番。2016年モデルからソフトトップ(屋根)が脱着可能になり、遊びの幅が広がった。
NSXの上級グレード「TYPE R」を再現した2002年発売のモデル。特徴的な大型リアスポイラー、クリアパーツのテールランプがかっこいい。
トヨタ・86の姉妹車にあたるモデル。イメージカラーのWRブルーが鮮やか。前期と後期で大幅にデザインが変わっている点にも注目。
2018年、26年ぶりにトミカに復活したフェラーリを集めたセット。488 Spider、La Ferrari、La Ferrari Aperta、488 GTBの組み合わせ。
子ども人気No.1。ギミックも豊富で、遊びがいのある車種が多い。一方スポーツカーと比べてコレクション需要が少ないためレアになりやすい傾向もある。定番人気モデルは長年レギュラー。廃番になったあとリニューアルして復活することもある。
人気のスポーツカーとパトカーという間違いない組み合わせ。栃木県警が2018年、本当にGT-Rパトカーを採用したことも大きな話題になった。
2002年発売以来つねに売れ筋上位の人気車種。はしごが3段階に伸び、360度旋回する。シルバー部分をしっかり塗り分けている点も注目。
パトライトにクリアパーツをあしらった人気モデル。後部ドアが開いて中が見える。後にトミカリミテッドから本格的なモデルも発売された。
1977年からカタログに載り続けるご長寿モデル。コラボモデルなどバリエーション豊富で、ロンドンバスだけでコレクションができるほど。
2015年発売。荷台部分はシールではなく塗装の日通ロゴが入った本格的なつくりで、ウイング開閉ギミック付き。ホイールは8個。
長らく愛されたサファリパーク車両。シール付き。トミカくじやセット商品などで、シマ模様が異なるバリエーションが展開されている。
人気のキャラクターとコラボレーションしたトミカは数多い。現行品では国内キャラクターが「ドリームトミカ」、ディズニーキャラクターが「ディズニーモータース」で主に展開。きかんしゃトーマスモチーフの「トミカトーマスシリーズ」も人気だ。
2020年、ドラえもん50周年を記念して作られたラッピングバス。前方ドアはどこでもドア、行き先表示はどらやきという凝った仕様。
トミカ博開催記念モデルとして展開されたスポーツカータイプの車種。アンパンマン、ばいきんまんの2種類があり、複数のバージョンがある。
トヨタ・istにピカチュウの耳としっぽをあしらった車種。シールでなく塗装なのではがれにくい。他にも様々な車種のバージョンがある。
ピカチュウと同様にスヌーピーの顔を車両にあしらったモデル。上陸50周年、ピーナッツ生誕70周年などやはり様々なバージョンがある。
人気の「すみっコ」とのコラボモデル。廃番の丸くてかわいいモデル、開閉ギミックのついた現行の屋台タイプが展開されている。
マーベルキャラクターをあしらったトレーラーなどのシリーズ。フロントマスクがスパイダーマンやハルクの顔になったトレーラーも展開。
往年の名車が集まる1970〜1980年代。ほぼすべてが日本製だが、年代により作風の変化を感じやすい時期。特に1970年代初期は職人の手作り感も残る。シャーシは金属製で、最初のトミカはホイールキャップに白塗装スタンプまで施されていた(1Aホイール)。
1972年発売。国内高級車の代名詞。ラジエーターグリルやヘッドライトは別部品。一体型のバンパーとシャーシは金属製で風格がある。
1978年発売。「カウンタックLP400」の発展型にあたるモデル。細かなパーツまでしっかり彫刻で再現。エンジンフード開閉ギミックつき。
1979年発売。スーパーカーブームの象徴。前後のフェンダーと大型のリヤウイングが特徴。「湾岸ミッドナイト」コラボモデルも登場した。
1988年発売。サイドから見たときの流れるようなプロポーション、ドア部分のスリットが特徴。リア部分まで完成度は高い。内装はベージュ。
1981年発売。日本初のエレクトリック・ディスプレー・メーターを採用した高級車として知られる。当時の流行だったサンルーフ付き。
1982年発売。輸出向けの「スープラ」として知られる高級車。ボディはシルバーと黒のツートンで、ホイールは高級感ある金色系。サンルーフ付き。
1970〜1980年代に比べると車種のバリエーションが増え、名車だけではない変化球が増えてくる。珍しい工事車両や実際には存在しない車も加わってきた。いわゆるVIPカーが登場するなど大人も驚かされるラインナップになっている。
1993年発売。三菱ふそうトラックにスケルトンいけすを載せたモデル。現行品と異なり、小さな魚がたくさん泳いでいるかわいい外観だ。
2002年発売。トミカの工事車両としては珍しく荷台が動かず、キャブが動いてけん引動作ができる。大人も思わず集めたくなる完成度だ。
2003年発売。モデルは11代目クラウン アスリート。サンルーフバイザー付きで、テールランプはやはり赤とシルバー。左右ドア開閉。
2008年発売。ヘッドライトとグリルはメッキの一体パーツで再現。ドアサッシに黒い塗装が入るなど高級感ある作りだ。左右ドア開閉。
2012年発売。1980年発売の「メルセデス ベンツ 300SL」同様にガルウイングドア機構を備える。トミカとしては珍しくドアミラー付き。
通常のトミカよりも高級な大人志向のラインが「トミカプレミアム」「トミカリミテッドヴィンテージ」。トミカにラインナップされている車種がさらにディテールアップしていることもあり、両方手に入れるとコレクションの良い入り口になる。
ランボルギーニ創立25周年記念で作られた最終型カウンタックモデル。ホイールもカウンタック専用仕様のこだわり。エンジンフード開閉。
レーシングカータイプのWRX。スポンサーロゴやフロントガラスの“ハチマキ”も再現。大きなリアウイングは別パーツとして脱着可能だ。
フェラーリの大人気車種。クリアパーツのヘッドライト、しっかり彩色されたランプ類など随所に気合いを感じる。エンジンフード開閉。
根強い人気のX100系チェイサー。オレンジのウインカーレンズがアクセント。リアスポイラーとサンルーフバイザーは脱着可能。
上下2段に乗用車を積載可能、トミカの飾り台として使える。ボディはダイキャスト素材を使い重厚感のある作り。コレクション用に。
店には常時140車種が並び、毎月新車が発売される。種類豊富なトミカの中、子どもに人気なのは「働く車」。中でもはしご付消防車は「一番売れたトミカ」と言われるほどだ。
一方、働く車は大人のコレクターも引き寄せる。6000台以上のトミカを所有するコレクターのあなんどいるさんは「バスならバスマニア、パトカーならパトカーマニアがいる。コレクターの目にもかなう出来になっているんですね」と話す。たとえば日本通運トラックは「かなり出来が良いんです。荷台の凹凸をものともせず、ロゴがきれいに印刷されていて、コレクターが見ても満足です」。
そんなあなんどいるさんがほれ込むのは1970〜1980年代のトミカ。中でも推しは1972年の初代トヨタ
センチュリーだ。「特に出来がすごいんです。小さなサイズ感のなかに高級車の風格を出せている。フロントはクリアパーツで精巧に作られているものの、今のような機械作りではない手づくり感がある。当時の最高傑作です」
写真:あなんどいるさん提供(以下同)
外国車ではランボルギーニ
カウンタックとポルシェ930ターボがイチオシだ。
「トミカは1980年代から作風が変わり、クリアパーツが塗装に変わったり裏板がプラスチックになってくる。そんな中でも一環して出来がいいんです。カウンタックは通常品もセットものもカラバリが多いので、当時に思いを馳せて集めようという人にはそういう魅力もありますね」
バリエーションを語る上で外せないのはソアラ
2800GTだ。
「1980年代を代表する日本の名車ですが、前期と違って、後期はサンルーフが開閉(可動)式になっているんですよ。『子どものおもちゃなれども』という本気を感じますよね」
1970〜1980年代、いわゆる盤石の人気車種を出してきたトミカが徐々に変化球を出すようになったのが2000年以降。この時代を語る上で外せないのがグロリアとクラウン
アスリートだ。
「いわゆるやんちゃ仕様のVIPカーで、『トミカ的に大丈夫かな』というくらい攻めた車種。ともにフロントは別パーツ、リアは丁寧な塗り分けと細かな印刷が施され、出来がめちゃくちゃ良いんです。今後、希少度がより高まってくるかも」
最近トミカは人気のスポーツカーやスーパーカーが増えている。そうした現行品を入り口とするコレクターも多いという。そんな入門に向いているのがトミカプレミアムやトミカリミテッドヴィンテージだ。シルエイティなどトミカの通常ラインナップに入ってこなかった大人好みの車種に加え、フェラーリ
テスタロッサのようにかつての名車も復活している。
「当時フェラーリを持っていなかった人が買いなおし、比べてみるのも面白いんじゃないでしょうか」
ところでコレクションといえばプレミア価格。どんなトミカがお宝になりやすいのか聞いてみると、「当時そんなに爆発的に人気だったわけではないモデルです」。
要するに流通量が少ないものほど後々レアになるということ。水族館トラックやライオンバスのように子どもが遊び倒して状態が悪くなりやすいものもレアになりやすい。
そんなあなんどいるさんが探しているお宝トミカはどんなものなのか。実は最近、長年探してきた香港トミカをYahoo!オークションで入手して満足しているという。流通量が極めて少なく、レアな香港トミカの中でも突出した人気を博すという「ギャランGTO」だ。
監修:あなんどいる
3歳からトミカの収集をはじめ、コレクター歴は23年。所蔵品はトミカだけで6000台以上。ミニカーコレクション全体では1万台を超える。
Yahoo!オークションについて