ギターラボ トップ > 土屋昌巳さん > 土屋昌巳さんスペシャルインタビュー Vol.10

土屋昌巳さんスペシャルインタビュー Vol.10

土屋昌巳さん大好評をいただいている土屋さんのインタビュー第10弾!



土屋昌巳さん名作をコピーすること

Vol.9からのつづき

インタビューを始める前に、お聞きしたいと言っていた「これからギターを始める人にアドバイスを」ってまさにそれですね。
まず「歴史に残っているやつをひと通り聴いてごらん」って、それで自分の感性で合うものと合わないものが当然出てくるから。
でも聴いたことは絶対、無駄にはならないんですよ。「何これ?」って思ってもそれには絶対、理由があるし。でもそういう「名作」といわれているなかでも「これカッコいい」と思ったらまさに宝箱ですよ。そのなかにおそらくすべてがありますね。

次にそれをコピーすることですね。マイルス(・デイビス)なんかも盛んに言ってましたけど「うまくなりたかったらコピーしろ」と......。で、できませんから、完全なコピー。できない理由には技術的なこともあるし、自分だけが持ってる感性とか個性があるんですよね。

■ええ。

そのなかで、まあ大げさですけど自分なりのスタイルなり、自分の持っていきたい方向......、そしてその辺までいくと、才能がある子は自動的に掘り下げ出すんですよね。「何でかな?」って。だからまずは自分の衝撃を受けた「名作」をだまされたと思ってコピーして。でもそれができなかったら、その時点であきらめた方がいいですね。

■ああ......。

やっぱりそれが才能ですから。絶対、神様が理由をつけて全部つくっていますからね。
もしかしたらものを作ったり、絵を描いたりという別の才能があるから。なんらかのきっかけで音楽カッコいいなって思っても、まちがった道だなって感じた時点で、僕はそこで「無理してがんばれ」って言いたくないんですよね。
だって、人生を棒に振っちゃいますからね。苦しいですもん。だからそういう作業をやっていて「うわあ、めんどくせえ」とか「あ、イヤだな」って気持ちの方が強かったら、そのときにすっぱりあきらめた方がいい。

■うーん。



土屋昌巳さんジェフ・ベックだって練習する

自分のことをいえば、そういう作業がもうおもしろくてしょうがなかったんですよ。そりゃ大変ですよ。「天才」っていわれてる人たちだって、もちろん努力してやっているわけですから。
たまたまジェフ・ベックっていうギタリストが大好きで。「JAPAN」のときに大きな練習スタジオでツアーのリハーサルをしていたんです。隣の小さいスタジオでジェフ・ベックがリハーサルをやってたんですよ。ジェフ・ベックが練習するってこと自体が、僕の概念にはなかったんですよ(笑)。あの人こそ、スタジオに現れて「こういう曲ね」ってミュージシャンに言って、バーっとあのギターが弾けると思ったら、コージー・パウエルと一緒に同じフレーズを延々とやっていて。それが聴こえてくるんですよ。

■へえー!!

なにかものすごい勇気をもらいましたね(笑)。「あ、ジェフ・ベックも練習するんだ」って。そういう作業が苦じゃないんですね。おそらく、しょっちゅうやっていたいんだと思いますよ。そういうことなんですよ。
「いやあ、コピーしろって言われたけど、コピーめんどくさいや」って思ったら、その時点であきらめると。だってそれを端折っちゃったらもっと大変ですもの。まったくゼロからでしょ。

■ええ。



土屋昌巳さん記憶

いわゆる「芸術」、音楽だけじゃないんですけど、映画も絵画も。最も大事なのは「記憶」なんですよ。実態はないんだけど「どこかで見たことある」「どこかで聴いたことある」っていうのが、実は根っこなんですよ。だから本当に優れたものって、必ず「元」がありますしね。映画なんてはっきりしていますね。自信のある監督などは全部しゃべっちゃいますしね。
そういうのを聞いてからそれを見ると「なるほどな、これなんだ」っていう。
ジョージ・ハリスンの名言に「マイ・スイート・ロード」が何かの盗作なんじゃないかってたたかれたときに「ポップスってそういうもんじゃないの?」って一言ね。「うわ、カッコいい!」って。「記憶」なんですよ、要するに。

■はい。

だから、その人の記憶を再現してその人なりのカタチを付けたものが、ポップスであり、ロックンロールであり。必ずルーツがあるわけでしょう?

■ええ。

そこを面倒くさいと思わず、おもしろがってどんどん探求していけるかいけないかが、僕は「才能」だと思うんです。だから今のロック聴いても、ハードロックだったら絶対レッド・ツェッペリンジミ・ヘンドリックスにはぶつかるわけだし。じゃあ、あの人たちがなんでこうやったのか? をちょっとさかのぼって、ヤードバーズ。
なんでこんな時代にこんな音楽やってたんだ? で、当然ブルースにいくわけですよ。そのときにジェフ・ベックが聴いてた人「あ、ロカビリーも聴いてたんだ?」で、ブルー・キャップスとかビル・ヘイリー(&ヒズ・コメッツ)とかにいくわけですよね。

■はい。



土屋昌巳さんライナーノーツがたよりだった時代

1960年代や70年代にはもちろんYahoo! JAPANなんかないですし(笑)。検索なんていう、そんな便利なモノはないわけですから(笑)。ヘタをすると音楽雑誌すらないわけですよね。

■ええ。

本当に限られた情報で。ただ、音楽評論家なんかも本当にすばらしい人が多くて。
そういうことを情報として、ライナーノーツにきっちり書いていてくれていたんですよね。「なんでこの人がこんなギターを弾けるようになったのか?」みたいな。まあ当時としては自分が「どうだ!」っていうためだったんだろうけど。でもよく考えればすばらしい。
だから僕みたいに右も左も分からない人にとっては、レコードに付いてくる、輸入盤買っちゃうとないんですけど、あのなかの評論家の解説というのが、とっても役に立ちましたね。ていうかそれしかなかったですねー。そのなかに自分の知らないミュージシャンの名前があったら、もう即、レコード屋さんに行って探して......。ハズレもありますよ、そりゃあ(笑)。

■(笑)ええ。

その方法が全部正しいとは言いませんけど、でも絶対ね、そういうまあ努力とは思わなかったけど、結果的にいえば努力ですよね。

■はい。



土屋昌巳さんギターはシンプルだけどややこしい

ムダになりませんから、100%。これは断言できますよ。
その時点で「うわあ損した。こんなレコード買っちゃって」とか、「なんだよこれ?」とか思うんだけど。なんでもないときにそれがひょっこり顔を出すんですよ。確かに遠回りにはなるかもしれないけど、ムダにはならないんです、本当に。もちろん効率よくいけたらそれに越したことはないんですけどね、正直言って。努力なんかしなければしないほうがいいんですけど。でも、結局結果的にはそういうことになっちゃうんですよね。

■はい。

そんな簡単に正解は出てきてくれませんから。あーでもないこーでもないとやっているうちに「あ、これだったじゃん」って。だから100のうち1くらいだと思えば間違いないですね。直接そのときに役に立つのは。

■ええ。

あとの99も全然無駄じゃないんですよ。面倒くさくなったらそこでおしまいですね。
特にね、ギターって本当にややこしくて面倒くさい楽器ですから。シンプルなほど、厄介ですし。逆にプロの人でも、持っている楽器をちゃんと鳴らせている人って何人もいないんじゃないかな。ビジュアル系以降、90年代以降、いわゆる「ローディー」とか「ギターテック」とか僕らには何のことか分からない職種の人がいて。別にその人たちが悪いとかいうことはなんにもないんだけど。要するにギターの音を作ったり、調整したり、アンプの音作ったりするのは自分たちの仕事じゃない、みたいな概念でギター弾いちゃっているギタリストがいるけど、やっぱりそれは間違いですしね。

■そうですね。



土屋昌巳さんフェンダーの悲劇

最も優れたエフェクターは、自分の指先ですからね。指先から伝わったやつをどうやって、あのコイルが巻き付いているピックアップに伝えるかっていうことを考えていけば、いろんな要素があるわけですよ。だから、まあそういう音の伝達とか弦が乗っかるブリッジの材質とかね、金属の。突き詰めていくと、50年代とか60年代のギターになっちゃうんですけどね。

■ええ、そうですかー。

今はもうその金属がないですから。NASAが全部押さえちゃってますから、いい金属は。だからスペースシャトルはビンテージ・ギターが飛んでると思えば間違いないですよ。

(一同笑)

いやホントに。コンデンサーとか抵抗に使う鉱物とか、ベストのものを使えたんですね、当時は。

■ええ。

あとで楽器メーカーの歴史を見ていけば、フェンダー社かなんかが、1965年かな? 国家の手が回った。要するにCBSっていうところに買収されちゃったんですね。国家ぐるみでそういうことをしているんですね。

■ええ。

いろいろ思想的な面で、ジミ・ヘンドリックスとかジョン・レノンとか大きいじゃないですか。

■はい。

一言で言ったら「世の中を変える」わけでしょう? だから要するに音楽そのものを骨抜きにしちゃえって。しかも楽器なんかにいい金属や木材を使わせないみたいな。こわいですよ、アメリカってやることが。だからアメリカのフェンダー社って、そこで変わっちゃいましたからね。フェンダー社の人には怒られちゃうかもしれないけど、がんばって1973、74年ぐらいまでのギター。ベストは50年代から63、4年くらいのやつですけどね。

■そうなんですねー。

お買い求めはYahoo!オークションで(笑)。

■あはははは(笑)。



---さらにディープな世界へと突き進む土屋ワールド。この続きはまた次回!



●文:Yahoo!オークション●協力:株式会社一口坂スタジオ
●協力:クール・コーポレーション



土屋昌巳さん公認ファンサイトへ



読者コメント(13件のコメントがあります)

ippu-do いいですよねぇ。ええ、もちろん土屋さんですよ。実は「すみれ・・・」から入ったんですが、それが確か小5か6の時でした。中学の時にやっとアルバムが揃って・・・。今でも好きなバンドのひとつです。その後好きになったバンドにはなぜかプロデューサーが土屋さんだったりして。自然と毒されてました。土屋ワールドに。特に低音の創り方と全体的な厚みが大好きなんです。
「夕焼けにゃんにゃん」に出演していた土屋さんにファンレター送ったんですけど・・・返事がこなくて・・・子供心にショックでした。wwこれからもがんばって下さい。応援しております。

投稿者:skunk-haze | 投稿日:2009年10月 5日 22:38

一風堂は山口百恵と並ぶ(それ以上!!)昭和の偉大のミュージシャンです

投稿者:浩二 | 投稿日:2008年6月 2日 11:41

土屋昌巳さん!あなたの大大ファンです。天才土屋昌巳!

これからも音楽頑張ってください!!

投稿者:浩二 | 投稿日:2008年6月 2日 11:38

funnnyarapa-さん
コメントありがとうございます! 大変うれしい内容で、インタビューした甲斐がありました。Vol.3のあたりに書いてありますが、「1対1」という構図がとても潔い、と気に入っていただいたようで遠慮なくいろいろ語っていただきました。
個人の愛すべき力に……、同感です! これからもがんばりますよ。本当にありがとうございます。

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年2月26日 18:55

土屋さんへのインタビュー、共感すること多々でした。本当に面白くVo.1から11まで一気に読んでしまいました。実は、このインタビューの存在を知ってから実際に読み出すまで結構、時間が経ってます。何故かといえば、「すみれセプテンバーラヴ」の人だな〜と思ってちょっと敬遠してしまいました。でも読み始めたら、面白い面白い!最近、少子化が問題になっていますが、日本の国土から考えたら4000万人もいれば充分だって。日本人は、減った方が絶対いいと思うね。
共感を感じ続けているうちに、25年くらい前の、雑誌、「宝島」の対談で「すみれセプテンバーラヴ」のこと、「売れるものを作れって言うから、売れるように作ったら、やっぱり売れた。」と種明かしをしていた土屋さんのインタヴューを思い出しました。結局の所、彼は、ずっと変わっていない人なんですね。尊敬します。この企画をなさったインタヴュアー、また、インターネットに対して、かなり批判的な内容だったにも関わらず掲載している、ヤフーに感謝します。
体制にでなく、個人の愛すべき力にインターネットが活用されるよう常日頃から祈っております。

投稿者:funnnyarapa- | 投稿日:2007年2月26日 03:21

>duaneさん
コメントありがとうございます!
土屋さんの懐の深さは、日本でも類を見ないスケールですよね。「美乃家セントラル・ステイション」のコメントは2件目ですが、あらゆる世代に浸透してるあたりは、さすがです!

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年1月26日 11:05

土屋さんを初めて見たのは大橋純子さんのライブ(確かマザー牧場??)でした。むちゃくちゃファンキーで16ビートカッティングをバシバシ決めまくり、ソロもサイコーでした。出身の静岡県のことを日本のカリフォルニアです!と叫んでいたのが印象的だったなぁ・・。ファンク好きの私は大好きなバンドでしたよぉ。

投稿者:duane | 投稿日:2007年1月25日 22:52

>元王子在住さん
コメントありがとうございます!
はじめて聴くアーティストなどは、特にありがたいですよね。
違う分野に興味が向く、といった効果もあるんですね^^ すごいです。

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年1月 9日 14:26

はじめまして。
ライナーノーツを読むのは、私も大好きです。そこで目にとまったミュージシャンを求めると、さらに深く広く見聞がひろがります。
例えば、ビートルズ>ジョージ>クラプトン>ロバート・ジョンソンやYMO>はっぴいえんど>バッファロースプリングフィールド>C.S.N&Y>ウッドストック>ジミヘン、またJAPAN>ブリキの太鼓>ギュンター・グラスのアート(映画・版画)、といった具合です。

投稿者:元王子在住 | 投稿日:2007年1月 6日 13:07

>musicboxさん
コメントありがとうございます!
マーチンクラブから辿っていただけたなんて、光栄です。
土屋さんの見識には、ただただ頭が下がります。
もう少し続きますので、ご期待ください!

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年1月 4日 16:40

はじめまして。大晦日に自作曲のミックスダウンをしていました。一息ついて拝見しています。マーチンクラブのリンクからたどり着いたのですが、いやー参考になりました。音楽・ギターに関する考え方について新たに発見した部分、再認識した部分有りと今日は収穫でした。
 これからも楽しみにしています。

投稿者:musicbox | 投稿日:2006年12月31日 20:34

mimijpさん
コメントありがとうございます!
ミュージシャン、音楽関係のお仕事の方からも絶賛の
土屋さんインタビュー。年明けに更新します。お楽しみに!

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2006年12月28日 11:19

土屋さんのコメント楽しみに見ています。できれば、長編でお願いします。ところで、12月20日に発売された「MAGIC VOX」が翌日完売になり、Yahooオークションでは¥35500とか¥51000で落札されていました。凄い人気です。私も初期の一風堂はMAGIC
VOX で初めて聞きましたが、凄いです!!!嵌まりました。コンサートやって下さい。絶対見たいです!!!買えなかった人にもMAGIX VOXの再販をしてあげてほしいです。誰かこの現状を土屋さんに伝えて下さい!!!

投稿者:mimijp | 投稿日:2006年12月27日 22:47

登場アーティスト

キーワードで検索!

キーワード : カテゴリ指定 :    
検索オプション