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世良公則さんインタビュー2 Vol.3

世良公則さん 記念すべき年を、2枚のアルバムと親愛なる友を招いたアコースティックライブで飾った世良公則さん。30周年への思いと次なるステップについて語ります! どうぞお楽しみください。

画像:作曲に没頭する世良公則さん




作曲に没頭する世良公則さん



きわめてシンプルに

■以前も言ったかもしれないのですが、世良さんの声って、乾いているのに......。

ウェッティ(笑)。

■そうなんですよ(笑)。私の知ってる範囲の話なんですが、こういう声のボーカリストはそういないと思っているんです。で、今回この2枚(「WE ARE GUILD9」と「JACARANDA」)ですが、まったく音は違うのにどちらもストレートに聴き手の心に届く、その感じがあらためてすごいなーと思ったんです。

ありがたいことです。カッコつけるわけではないんですが、「もっとうまく歌えないのか?」ってね、もっとシンプルにクセを出さずに持っている声だけでストーンっと歌えないのかって思っているんです。
今回DVDにも一部収録されているんだけど、ダグとはたくさんしゃべったんですよ。で、いつもはホワイトスネイクでハードロックをギンギンに演奏している彼が、アコースティックギターをかかえて、「どうしよう......」みたいになっているのね。僕がその横で弾きながら「次のコードはこうね」ってやっていたんですけど、彼がのぞきこむようにして見て「ユーはリアルブルースマンだ」っていうんですよ。DVDでは「世良はグレートプレーヤーだ」って言ってくれているんです。

■おお!

ダグがジョークで「世良は列車の線路脇で育ったんだろう?」って言うんですよ。

世良:なぜ?

ダグ:(列車のバイブレーションをマネして)こういうノリ、オレたちにはできなんだ。昔、アフリカン・アメリカンのブルースマンたちのくらしのなかから生まれたブルースのリズムなんだよ

世良:イエス! アイム・ブルースマン、ね。

ダグ:(笑)。

それがレコーディング2日目で、悩んでいるダグの前でそれをやったら「そうか! オレは今までなにやってたんだ」って、それから楽しそうに弾き始めたんだよね。

世良:難しいことができるかどうかが大事なのではなく、声が、楽器がシンプルに伝わることが大事なんだ。だからアコースティックにしたんだよ。

ダグ:そうだよな。オレはアメリカ人のくせに、シンプルの言葉の意味をはきちがえていたよ。

そう言いながら弾き始めたんです。だから「Soppo」もボトルネックギターと歌のみで、ほかに何もかぶせない。ダグが僕の歌を聴きながら、思いつくままに弾いていく。僕はそれでいいと。でもダグはバッキングをどうやって、それにボトルをどうかぶせよう......とさんざん考えていたんです。「僕歌う、君弾く」と。エリックも「それで十分」と。
そしたらダグも「そうだよ、そういうことなんだよな、音楽って」と。そこからまたおもしろ楽しくやったんだけどね。難しいことは全然やっていないんだよ。あれくらいの名うてのプレーヤーなのに、難解なフレーズはまったく弾いていないのね。それがまたカッコいいんだと僕が言うと、ダグは「次にいっしょにライブをやることがあったら、歌っている世良が思わずこっちを向いてしまうようなフレーズをやってみせるよ」って言ってましたけどね(笑)。

画像:レコーディング中の世良さん




レコーディング中の世良さん



自分に興味があるんだ

そういう作り方をしたアルバムだと、その部分でいうと僕のなかでは「もっとシンプルに歌えればな......」とかね。自分で聴いて「ああ、しみたよ、今の言葉」って思えるとかね。
でもダグは「世良の歌は、言葉の意味はわからないけど、トーンでギターが弾けなくなることがある」って言ってくれたのね。ふだんバンドでデビッド(・カヴァーデイル)さんの声を聴いている彼に言われたのは素直にうれしかったですね。デビッドさんにも「世良の歌はすごいよ」って話したみたい(笑)。
ただ、自分のなかでは「......もうちょっと育つだろう」という気持ちがあるんです。昔聴いていたオーティス・レディングジャニス・ジョプリンみたいな感じが出ないかなと。テクニックで歌うのは間違いだと思っているからそうではなくね。スタジオに入って、歌って、エリックからOKが出たらそれはそれで終わりと。納得がいかないから「もう一回歌わせて」ってやっちゃうと、きっと1年かけても終わらない。

それは今自分に興味があるからなんだね。明日はもうちょっと違うかもとか、もう1年かけたらもっと違うかもといったふうにね。1年後の自分の歌を聴いてみたいなとか、1年後また彼らといっしょにやったときに「お、世良、その声いいねー」と言われるようになっているかもしれないとかね。ダグが言った「次にやるときには」っていうのと同じだよね。

■では、まだ自分には伸びしろがあると......。

そうだね。まだ伸びしろがあるだろうと。
レコーディングっていうのはどうしてもその日、その瞬間を焼きつける仕事だからね。ライブはそのときから少し日にちがたっていたり、違った解釈が生まれたりするものだからね。そういういろんなものを感じてもらうのがライブだから、「再現」っていう意味でいうと完璧な再現は無理だよね。何万回歌ったって同じにならないから。
それはたとえば、ホームランを打ったバッターが「同じ球は二度と来ない」って言うでしょ。同じような球は来るかもしれないけどまったく同じはないとね。1球1球が勝負だよね。それに近いものがある。同じ球も来ないけど、同じスイングもできないから。だから最近はライブがすごく大事なものになってきてるんだ。

先日、音屋吉右衛門のライブで野村義男はついに僕に「アッコちゃん」を歌わせましたからね......。必ず「CROSSROADS」を演奏するんだけど、同じじゃつまらないって言い出してブルースを始めて、すごくテンポを上げだすの。「え? 何やる気?」って思っていたら「好き、好き、好き、好き?」って歌い始めたの。「アッコちゃーん、アッコちゃーん、好き好きー」っていっしょになって歌ったら、「次、頭から歌えるかな?」っていうから「アッコちゃんが来るかと......」って歌ってしまって(笑)。

(一同爆笑)

そこからロックンロール・ギターバトルになってね。最後は強引に「CROSSROADS」に持っていって締めましたからね。

(一同笑)

「アッコちゃんかよ......」と。オープニングで当日いきなり「仕入れてきたからー」って言って「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」やったりね。こっちは事前に歌詞カード用意して大変(笑)。彼しか思いつかないよね。

画像:左、エリック・ゴーフェンさん




左、エリック・ゴーフェンさん



だから、次はどんなことでもできる

■世良さんの30周年っていうのは自然体な感じも受けますが......。

うん。ただ、スタッフとしては30周年だからこれ(「WE ARE GUILD9」と「JACARANDA」)を実現させたいと思ってくれたと思うのね。しかも僕が30代の終わりのころに「世良のステージには感動がない」と言われて、アコースティックに踏み出したことへのひとつの区切りは、やっぱり30周年だからつけようと。多少無理があってもギター1本持って海を渡って、アメリカで食事当番しながら、語り合いながら作って形に残そうと。
それがここ10年ちょっとやってきていることを、30周年だからこそ形に残さなきゃいけないと。それが一番大きなイベントになったと思うのね。

僕らにとってはこれがものすごいイベントなんだけど、世間の人たちには、今まで培ってきたことを自然に泉が湧くように表現している、ってくらいの受け止め方をしてもらえればいいのかなって思うんだ。ドームでやったねとか、2枚組の「TWIST BOX」出しましたとか、普通はそうなのよ。それよりは価値があるでしょ。
今の世良を聴いてくれた人が、過去にさかのぼって聴いてくれるのは大歓迎だけど、今この時点で過去の世良をボックスにして出したところで......という思いが僕らにはあったんだ。地下ではものすごく「30周年だ」ってがんばっているんだけど、表では「今までやってきたことを呼吸するようにすーっとリリースしたね。カッコいいよねそういうのも」って思ってくれたらうれしいかな。
ただ、これが30周年でできたから次はどんなでかいことやろうが、売れセン狙って作ろうが「そんなの関係ねえ?」でいけちゃう気がするんだよね(笑)。

(一同笑)

来年の春に、すっごいコマーシャリズム満点の作品を作ってそこに突っ込まれても「今回売る気まんまんですから」って言っていける気がするんだよね。
「だってプロだもん、売りたいもん」「オレだってスタジアムでやりたいもん」ってそんな夢があってもいいと思うんだよね。今回30周年でできたことが、僕のコアになるんだよね。それがあるから次とてつもなくコマーシャルなことができる。
「世良さん、今回売る気ですねー」ってインタビューしてくれたら「売る気でーす!」って(笑)。それでも聴く側の人たちが「こいつの音楽にウソはないな」って思ってくれればパワーになるでしょ。(満面の笑顔で)なんかそんな感じでやれている今がすごく楽しいよ。

画像:キッチンでお茶をいれる世良さんとエリックさん




キッチンでお茶をいれる世良さんとエリックさん



よっちゃんを納得させるすごさ

■そうですよねー。そんな30周年をプロデュースしたSOGAさんってすごい人ですよね。

(なぜか小声になって)すごいでしょー。だから頭上がらないの。
もともとSOGAはプロデュースが本業で、僕がマネジメントも含め特別に依頼しているわけ。僕はやはりアーティストだから、その部分を大事にしないで見栄とかそっちに走ることがあるんだけど、そこをテキメン見抜いてしまうからね。すごいよ。あの野村義男でもステージ終わったら、僕に聞く前にSOGAに聞くからね、「どうだった?」って。

先日東北で音屋吉右衛門をやったんですよ。そのホールの開館10周年を、ギターラボや僕のサイトで音屋を知って「ぜひやってほしい」と言ってくれた方がいらしてね。1000人くらい入るホールなんだけど、ライブハウスでやっているのとおんなじに進行したんです。
で、はじめのうちは東北の人たち、おとなしいというか静かに楽しんでいるといった感じなんですよ。「あれ?」って感じでそのうちパニクっちゃってね。
アンコールに入る前によっちゃんがSOGAに「ダメ、東北ダメ、全然ウケてない。ねえ、何言えばいい?」って聞いているのね。それに対してSOGAは「そのままでいいんですよ。音屋はどこに行ったって音屋なんですから。それにお客さん楽しんでいますよ、私も楽しんでますし」と。よっちゃん「よっしゃ、安心したー!」って僕になんにも聞かずにステージに向かって行ったの。

(一同笑)

案の定、その後はもうどっかんどっかん笑ってくれて、最後の「燃えろいい女」では総立ちで踊ってくれて大いに盛り上がったんですけどね。

■そうだったんですねー。30周年もそういう形で締めくくり、さて。

さてこの次は? でしょ。

■そうなんです。僕勝手なこと言わせてもらっていいですか?

いいよ。

■世良さんの最大の魅力はやっぱりその声。だから......ジャズとか。

あ......、あるよね。それこそビルボードライブって(東京ミッドタウンに)オープンしたじゃない? ああいうところでやる、くらいのことがあってもおもしろいよね。

■ええ、本気で言っていませんね(笑)?

いや、まじでまじで。

(一同笑)

こないだあのビルボードライブをテレビで紹介しているのを見たんだよね。こういうところでやれたらカッコいいよなって思ったんだよね。まあそれでブルーノートやっているんだけどね。あのブルーノートでやっているのを、もっともっとジャズに近づけるんでしょ?

■そうです、そうです。

画像:レコーディング中の世良さん




レコーディング中の世良さん



VOCALIST、世良公則を

■あと、対極ですけど世良さんがいいと思う日本のほかのアーティストの曲を、世良さんの解釈でやるという......。

実は、それは3年くらい前からSOGAが言っていて、徳永(英明)くんがそれ「VOCALIST」でやったでしょ。「やられた」って言ってたの。SOGAは「究極はそこですよ」、企画として「世良さんがオーバーシーズとドメスティック両方やるってのもいいですよね」と言ってたの。言ってた、言ってた。
最初は洋楽の「What A Wonderful World」とか「Love Me Tender」を櫻井(哲夫)さんとのSTB139でのセッションでやったりしたのも、SOGAの「世良さんの解釈で世良さんのレパートリーじゃない曲を聴かせてほしい」というリクエストから始まったのね。だから「夜空のムコウ」とか「やさしいキスをして」なんかもチャレンジでやったのはその布石だったんだよね。
徳永くんも最新作で「やさしいキスをして」やっているんだよね。同じ曲でも彼と僕とでは声の特徴が違うからいいかなって思うんだけどね。

(ここでSOGAさんがインタビュールームに登場。「まったくおんなじことを言う人がここにいたよ。感性同じだね」と、世良さんが今話していたことを説明)

SOGAさん(「以下「SOGA」):徳永さんの「VOCALIST2」がヒットしたとき、どさくさに紛れて「VOCALIST 3」って出して売っちゃえ、って言っていたら「JACARANDA」と同時期に「3」が出ちゃったんですよ。音楽業界に激震が走るところでした。悪いことはできない(笑)。

(一同爆笑)

SOGA:ライブでもほかの方の曲をやっていますでしょう。そのなかで「ああ、あんなふうに聴こえるのか」って思ったのが、GENTLE3で披露した「やさしいキスをして」なんですね。やっぱり、しみるんですよね。ほかの曲も1ファンとして聴いてみたいと思っています。

■ですよね。

ギターラボさんにも言われたんだから「あり」ってことだよね?

SOGA:実現したいとは思います。

僕が作ったらどうなるのか、って考えたらおもしろいよね。でもGENTLE3で僕が「夢先案内人」を歌ったとき、宇崎(竜童)さんが「いいねー!」って言ってくれたもんね。「世良くんやさしく歌えるんだね」って言われたの(笑)。




「JACARANDA / TWIST INTERNATIONAL」ジャケット 「JACARANDA / TWIST INTERNATIONAL」
世良公則(vo.g)
ダグ・アルドリッチ(g)
エリック・ゴーフェン(vio、サウンドプロデューサー)
【収録曲目】
1.あんたのバラード 2.性-さが- 3.Days-デイズ-
4.Soppo 5.そっと・・・kissを、 6.宿無し
7.Against The Wind 8.歩み(そして・・・明日)
9.銃爪 10.燃えろいい女 11.バラードが聴こえる
12.Jacaranda-ジャカランダ-




と話は尽きないのですが、今回はここまで!
次のプランが決ったころ、あらためてまた世良さんを直撃したいと思います。




●文:Yahoo!オークション
●写真提供、協力:Mr.SERA PROJECT






世良公則さんオフィシャルサイト



読者コメント(4件のコメントがあります)

JACARANDAを購入してから09,7月12日まで、
世良さんの生の演奏をずっと心待ちにしていました。


金沢へは、昨年あたりでしたか、めざましテレビのゲストでいらしていました。
行こうかと思いました。でも、なんだか違うなと思って行きませんでした。


世良さんの、JACARANDAの空気を感じたいと思ったから。

待っていても駄目だから、世良さんを金沢に呼んでしまおう!なんて無謀な事も
友人に持ちかけたこともありました。
(素人が出来るか・・と一笑されてしまいました。(::)シュン)


ようやく、世良さんの生の演奏を聴けました。凄かったです。
アコースティックでの演奏なのに、あのズシリとした重みのある迫力。
そうかと思えば、夜空のムコウの、とてもしなやかで優しい音・・・。


遅ればせながらの一ファンとしてこれからも、世良さんの演奏を楽しみにしていきたいです。

金沢のLIVEハウスでの、LIVEでの演奏も聞いてみたいです。
世良さんのLIVE。無謀でも、企ててみたくなりました・・・・。(夢ですね。)

投稿者:ゆーこ・ジャッケル | 投稿日:2009年7月14日 02:40

血管切れそ〜な熱々の男臭さの聞いた世良節が大好きでした(^_^)
JACARANDAの世良さんからは熱々からフッと力みが抜かれ、やさしさやぬくもりを感じました。逆に私の心が熱々になりました(*^_^*)
私はファンになって、24年くらいになります。
世良さんが今まで積み重ねてきた何かの厚みをすごく感じました。何かなのかよくわからないけど、ズシンと心にしみました。
私もそれだけいろんなものを積み重ねてきたからなのかな?

投稿者:今の世良さんはもっと好き | 投稿日:2008年2月 8日 21:55

私は12歳の時から世良さんのだいファンです。
今はアメリカに住んでおりますが、車に中では世良さんのCDを聞いております。いつまでたってもカッコ良く、セクシーな世良さんが大好きです。
きっと私が死ぬまで世良さんの大ファンです。これからもステキな歌を歌っていてください。

投稿者:midori65 | 投稿日:2008年1月27日 14:19

世良さん
最近は俳優として画面でお見かけしませんがお元気ですか。
私たち夫婦は世良さんの俳優としての演技の素晴らしさを忘れておりません。
 特に忠臣蔵の堀部安兵衛、他のどの俳優の安兵衛よりも素晴らしかった。「決闘高田馬場」は何十回も見ました。永久保存版で毎年夫婦で楽しんでいます。
 是非また画面で自然体で迫力のある演技を見せてください。
期待しております。

投稿者:63歳と61歳の夫婦 | 投稿日:2008年1月11日 15:43

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