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世良公則さんインタビュー2 Vol.1

世良公則さん デビュー30周年の今年、2枚のまったくテイストの違うアルバムをリリースした世良公則さん。アルバム制作の舞台裏を語っていただきました! どうぞお楽しみください。



「WE ARE GUILD9」ジ
ャケット 「WE ARE GUILD9」について

■8月にGUILD9がついにアルバムをリリースしましたね。昨晩たまたまなんですが、クルマのラジオで「あんたのバラード」がかかって、つい聴き入ってしまったんです。

おー、それは偶然ですね(笑)。

■そうなんです。このインタビューのことを知っていたかのようなタイミングで(笑)。

すごいすごい(笑)。




究極の一発録りを

■GUILD9はもう長いこと活動されていますが、今までメジャーでアルバムを作ろうというお話はなかったんですか?

僕のプライベートレーベルで出してはいたんですけどね。
GUILD9は最初はよっちゃん(野村義男さん)に「牛丼おごるから手伝ってよ」(笑)、みたいな感じで僕のやりたいことを手伝ってもらうという形でスタートしたんだけど、ライブを重ねていくうちにどんどんGUILD9らしくなってきたんですよね。(事務所談:初代GUILD9は高砂さんという若い新しいスタイルのベースが参加。個人の事情があり本人も残念な思いで退きました)
櫻井哲夫さんにしたって、ブルーノートで出会って「僕もロックの世界の人とがっつりやってみたい」って言うので、「じゃあGUILD9でやってみる?」ってところから始まっているんですね。そのときGUILD9のベースは僕で、よっちゃんにギターを弾いてもらって、僕はベースを弾きながら歌うというスタイルだったんですよ。

ライブをパーマネントなメンバーでできるようになってから、うち(事務所:Mr.SERA Project)のスタッフたちやよっちゃんのスタッフたちが「カッコいい」と。「ライブめちゃめちゃカッコいいですよ」と言ってくれるようになって、で、やっぱりアルバムを作りたいねと。でも今までやってきたような作り方でプライベートレーベルから出すのではなく......、それはすでに3枚やってきたからね。
そこに、WAVE(レーベル:ROPPONGI WAVE)さんがたまたま30周年でレーベルを立ち上げたいということと、WAVEの方が「世良が30周年でいろいろとセッションをやっていておもしろいらしい」という情報を耳にしたらしく、ライブに来てくれたりしたんです。
まあ、レーベルを立ち上げたばかりなのでそんなに予算があるわけでもないけど、何かおもしろいことができないかと話しているときに、今回、プロデュースを担当した僕の盟友のSOGAが「GUILD9のスタジオライブ。それなら予算内でできませんか」と言い出したんです。ただ、メンバーにはとてつもないプレッシャーがかかるし、それをまたメンバーに言っていいのか? って迷ったんですね。でもSOGAは「このメンバーなら絶対にできる」と言い切っていましたね。
最初、この企画は小さなハコ(ライブハウス)を借りて、関係者と、たまたま来ちゃったというお客さん20人くらい入れて録っちゃおうか、という話になったんですよ。ま、会場が取れなくてそれはボツになったのね。じゃあ、全員で鳴らせるスタジオを2日間だけ押さえてください、というミュージシャンとしては究極の一発録りを選択したんです。




「WE ARE GUILD9」ジ
ャケット 世良名義ではなくGUILD9で

こちらの条件としてSOGAが出したのは「世良名義ではなくGUILD9の名で世に出してください」ということでした。「GUILD9に世良公則がいる、野村義男がいるという認識で仕事をしてくださいますか?」とね。そしたらWAVEの社長が「わかった。じゃあバンド名義のアルバムにしよう。それオッケーだ」と。(事務所談:検索がしやすいようにCDの背には世良の名は付けましたが)じゃあ僕らはその気合に応えようじゃないかということで、メンバーに電話して「GUILD9の名義で、2日で15曲のスタジオライブをやるよ」って。
で、ぼくが15曲選曲して、CD-Rに焼いてメンバーに送ったら「で、世良さん。このなかからどれをやるの? 教えて?」って電話が来たので「いや、全部だよ」と。




アナログなデジタル

■おーー(笑)!

それ以来誰もなんにも言わなくなったのね。「とにかく、この15曲をやってきて当日本番で自分のやりたいことを表現してくれ」と。で、わいわいと当日録音に臨んで一発録りですよ。
1日目、1曲だけミキサーのジュリアンさんが「この曲だけタイコかぶっちゃうので、歌だけ別に録らせてください」って言うので、みんなが休憩している間に歌入れして。その日は僕一度も休まなかった。

■ふえーー......。

食事している間と、プレイバックしている間と、あと金魚鉢(歌入れのブース)に入るとき以外は座らなかったね。ブースから一歩も出ないんだよ。8時間以上出なかった。
でもなんかね、やれる気がしていたしね(笑)。それがこのアルバムなんです。
僕としてはGUILD9で3年、みんなでライブして、そんなに数多くはなかったけど、集まれるときに集まってね。スタッフも喜んでくれているし、各プレーヤーの事務所の人たちも「やってみたいね」って言ってくれていたしね。
GUILD9名義としてやれるなら、「だからこそこうなった」ってところまで昇華させてしまおうと思ったのね。だから、バンドに圧力をかけることで生まれるエネルギーを今回のアルバムのコンセプトにしようと。じゃなかったらスタジオに入って「スネアの位置がどうだ」とか細かいことを言い出すようになって、すべてが肯定できなくなる。1か月とかかけることになるしね。

じゃあ、1か月かけてどんなアルバムを作って今の音楽シーンに何を言いたいわけ? ってなっちゃう。「はい。自分たちはこんなカッコいいもの作りました」だけになっちゃう。じゃなくて、自分たちがむしゃらにやった後それを人が「なんだこれ? すっごいな」ってほうがおもしろい、ということを事前にメンバーと意思確認できていたので、「だったらオレに任せろ」ということで選曲やらなにやらをしたんです。CD-Rもよっちゃんは「仕事ついでに取りに行きまーす」って取りに来てくれたしね(笑)。また、そういう無理を彼らになら言えるかなーって思ったんでね。

エンジニアのジュリアンさんも「これはシンバルかぶっちゃってるだろ......」ってのもあるんだけど、「だってそういう録音なんだもの」と。そういう意味でも、そこにエネルギーを凝縮できたと思うし。だってそれがこのアルバムのコンセプトだしね。
録りなおしがきかないように、デジタルの装置を使っているけどアナログでやってくださいと。そしたらマスタリングエンジニアの方が「そういうコンセプトでやったのなら」と、フルのインチのマスタリングテープを持ち込んできて、データをそこに一度全部焼き付けてそのままデジタルのマスターに焼いちゃったの。

■うわー。

「それカッコいいですねー」と。こっちの意思を理解してくれて、ちゃんとわかったプロがそれに応えて仕事してくれましたね。それはすごくうれしかったですよ。




「WE ARE GUILD9」ジ
ャケット ■その裏話を知らずに聴いていても、聴いている側にはその意思がモロに伝わってきますよ。

あ、そうですかー。よかったー(笑)。

■ほんとに、ベテランたちが自分の持っているポテンシャルをそのいっときに集中させているというすごさ......。




こつこつやってきた集大成

そう。だって2日でできなかったら契約違反だからね(笑)。
たぶんね、ひと月かけてこのポテンシャルまで持っていっても、それはそれで評価されるものだとは思うんだけど、猛者(もさ)たちが2日間でやってみせる意地みたいな。「こんなにギター弾いたら明日弾けないよ」っていうくらいがんばっていたし。櫻井さんもベースの弦切っちゃうんじゃないってくらいやってくれたし。
でも、それができたから、バンドとしてもよりライブを楽しめているしね。お客さんのなかには「また『銃爪(ひきがね)』かよ」とか、「新曲ないのかよ」って人もいると思うのね。このアルバムに詰め込まれているエネルギーは、そういうことではないのね。「それをいいとか悪いとか言う人は別にいいんです」っていう潔さを持ちましょうねと。

僕のなかでずうっとあったのは、櫻井さんもよっちゃんも以前からツイストを知っていて、よっちゃんは特に『銃爪』を中学生のころにやろうとして「チョーキングってどうやるんだ? ダブルチョーキングって?」というのを本の解説で初めて知って、「おお、こうなっているのか」と。それをアマチュアで弾いていたころはコピーでしかないんだけど、GUILD9で、世良公則といっしょに『銃爪』 を弾いていると「おお、オレはついに本物の『銃爪』を弾いているんだ」と。
ツイストではないけど、今の時代の正統な『銃爪』を弾いているんだってことになるというおもしろさがあるんですよ」って言ってくれるんですね。「またリメイクかよ」ではないエネルギーの魅力があるんですよね。そのおもしろさを感じてくれているからこそ、僕らも「野村義男のバッキングを聴かせてくれよ」となるわけで......。

僕はセールスプロモーションのミーティングで言ったんですけど、「ビジネスとしてこの商品を扱うときにみなさん、仕事しやすいっていうのと、イージーに仕事をするのは違いますよ。ミュージシャンも必死で演奏しているんだから。だからプロモーションしやすいように『銃爪』と『ゼッタイ・フューチャー』をDVDにしたんです。みなさんが仕事をしやすくするためです。よりわかりやすいほうでプロモーションしてくれてかまいませんよ。みなさんが伝えやすい環境を作るのは、こちら側と してもあたりまえのことだから。でも、イージーはいけませんよ」ってね。

■勉強になりますね。

いえいえ。
プロモーションでうれしい話があったんですよ。それはね。渋谷のスクランブル交差点のビジョンで流れたんですよ。そしたらマーティ・フリードマンからメールが来たんですよ。「今渋谷のビジョンでGUILD9のDVDが流れていますよ。チョーカッコいいですねー。感激しました」って。

■ええー!? すごい。

ふつうなら「見ました」でいいのに「カッコいい」と思ってくれてそれをすぐメールしてくれたことがうれしかったのね。「今渋谷に立ってます。見てます」って。僕らも友だちのDVDとか見るけど、見たときにメールなんてふつうしないですよ。「どこがよかった?」って聞かれて答えられなかったらイヤだしね(笑)。よっぽどカッコいいと思ってくれたんだなあと。「ありがとう! また機会があったらご一緒したいですね」って返信しましたよ。
マーティがそう言ってくれたのがうれしかったし。「あれはオレが全部自分でパソコンで作ったんだよ」って打ったら「マジですかー!?」って(笑)。

(一同笑)

そういうテンションでやる音楽もいいよね、と。また、それを受け止めてくれるレーベルの人たちもいてくれてね。おもしろかった。世良がソロ活動のためにメンバーを集めて、30周年だっていうんですっごい装置ですっごいライブをやるんだっていうのもあるんだろうけど、GUILD9は3年間いっしょに小さなところでコツコツやってきて、スタッフの人たちが「これ見せたいな」とか「これをパッケージにしたいな」とか思ってくれたことの結果なんだね。
よっちゃんのスタッフの方がほかの仕事の現場で「野村ほんとにGUILD9、楽しんでやっているんですよね」って話が外から伝わってきたりね。僕もうれしいしね。
30周年で大きな仕掛けで動いたのではなく、それまでやってきてくれたみんながある意味集大成としてやってくれたのがこの「WE ARE GUILD9」です。




「WE ARE GUILD9」ジ
ャケット 「WE ARE GUILD9」
世良公則(vo.g)
野村義男(g)
横瀬卓哉(dr)
神本宗幸(key)
櫻井哲夫(b)
【収録曲目】
1.ゼッタイ.フューチャー 2.UNDER DOGs
3.BORN TO BE ROCKIN' 4.1977 5.僕という存在の理由
6.ボクを許さないで 7.GOOD TIME,SHOW TIME 8.NIGHT WORKER
9.NOBODY KNOWS 10.ソ・シ・テ・ボクハ・・・眠リニ堕チテユク
11.銃爪 12.宿無し 13.NEWS 14.美しい月 15.あんたのバラード




さあ、いかがでしたか? 「WE ARE GUILD9」はこういう背景から生まれたんですね。次回からは、ソロ作品「JACARANDA」についてをお届けします。どうぞお楽しみに!



●文:Yahoo!オークション
●写真提供、協力:Mr.SERA PROJECT






世良公則さんオフィシャルサイト



読者コメント(1件のコメントがあります)

そうゆうアルバムだということは知ってましたが、改めてインタビューで読むと「へぇ〜!」とか「すごい!」とか口ばしってました。
「何でもやれる気がする!」そんな気にさせてくれるアルバムですね。
JACARANDAのお話も楽しみにしてます!

投稿者:りえ | 投稿日:2007年11月11日 21:36

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