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世良公則さんロングインタビュー Vol.11

世良公則さん日本屈指のロックボーカリスト、世良公則さん。そのロングインタビューもいよいよ最終回! ロックは格好から。その原点は変わらないみたいです。
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ブラジリアン・ローズウッド

■現在アコースティック・ギターでのメインといえば何ですか?

リイシューモデルのSJ-200。Gibsonのジャンボというシリーズのギターで、ナチュラルカラーです。それが今1番よく使っています。アコギに関してはケースバイケースで、バラードやるときとストロークをやるときで使い分けているんですよ。新品からきたえてやっている途中のギターで。ちょっと鳴ってきたかなってエンジニアが言ってるんだけど、僕にはまだよくわかっていない。
特にモニターのエンジニアの子が「SJの200にしてくださいよ。よく鳴ってきているから、モニター作りやすいんですよ」って言うから「そうなの? キミがそう言うならそうしてあげる」って言ってるんですけど。
でも、バラードではヤイリで作っていただいたアコースティック・ギターが1番好きで弾いてますね。ヤイリの職人さんと、ヤイリの社長さんが何十年も倉庫に隠していた(笑)木材を吐き出していただいて。


世良公則さん

■へえ! すごいですね。

ブラジリアン・ローズウッドっていう木があるんですけど。もう売買できない、伐採もできない木なんですよ。で、古いビンテージ・ギターがいいっていわれるのはその木を使ってる。音がいいんですよ。まあ、今は伐採もできない木なんですけど、倉庫に30年くらい溜め込んでるのがある、っていうのを工場に遊びに行ったときに社長がポロって言ったのを聞いちゃったんですよ。ははは(笑)。「それ出してもらえませんかー?」って言ったら、社長が「世良さんは弾くからなあ、アコギ好きだもんね」「好きですよ」「弾くからなあ......わかった」って。
何か月後かにヤイリに電話して職人さんと話してたら「やっと社長が出してくれて、今作ってますから」って言ってくれたんです。去年のはじめくらいに届いたのかな。それはもう、バラードとかつまびいていると、そのブラジリアン・ローズウッドっていう木のよさが、ふわっと出てくるんですよ。新品なのに。
小池さんという(ギター)ビルダーのマスターが、本当に時間をかけてセットアップしてくれたので、もう最初から弾きやすかったです。

■そうなんですね。




古いからいいギター、なんじゃない

で、GibsonのSJ-200は新品だったので、ちゃんと楽器屋さんにフルメンテナンスに出して、全部フレットも打ち変えてもらったんです。その前は手に入れてから3か月くらいたってから、音がビビリはじめたんですよ。要するに、息が吹き込まれて、やっと動き始めるんですよね。

■木がですか?

うん。弾いていると振動するじゃないですか。すると「僕はこっちに曲がりたい木だったんだ!」「僕はこんな風に反りたい木だったんだ」ってのを、木が思い出すんですよ。そうすると、ゆがんでくるんですね。それをメンテナンスに出して戻って来ると、1度ちょっと背伸びしているから、次はわりと落ち着いて、しばらく使えるっていうね。
古いギターはそれを何度も繰り返して弾き込んでいるので。「あ、いい音がするね」っていうのはそういうことをへてきているからなんだよね。
ねじれて使えないギターとか、割れてしまっているギターって、実はいっぱいあるんです。エレキでも。それを、割れもせずにまっすぐピシッと良い音が出るようにちゃんと耐えてきているギターだから、いいギターなんですよ。ただ「古いからいいギター」なんじゃないんですね。




世良公則さん歴戦の勇士こそ、価値がある

■ええ。

だから1本それが残っているということは、そのかげには何百本もあるんです。

■そうなんですね。

いく度となく調整することによって、いい音がする楽器として認められて、それで値段が付いているんです。「オールドギターでビンテージで珍しい楽器」っていうんじゃないんですよね。そこからもともと始まっているんですよ、ビンテージのシリーズを求める、っていうのはね。

■ええ。

生き残ってきた、歴戦の勇者なわけですよ。こいつを戦わせたら、ある程度何回戦かまで絶対に勝ち残ってくれるっていうのがあるわけです。馬と同じで。だから、足を折っちゃったり、息上がっちゃったり、いろんなことがあるわけじゃないですか。でも、名馬といわれるものっていうのは何万頭何千頭のなかの1頭だから、血統はいいんですよね。
いい木をふんだんに使える時代にいい職人さんがいい所だけを使って、ちゃんと仕事しているから。それでも、ひん曲がったとか、ずれちゃったとか、ゆがんだとか、割れたとかいっぱいあってね。そのなかで生き残っているものの「よさ」ってのがあるんです。

■うーん。そういうことなんですね。


だから、新品のまま飾ってあるオールドギターはたいがい、いい音はしません。

■誰かが使っていることがやはり大事と?

うん。誰かが使っていて、何度かそうやって修理して、それでもきちっとそれに対応できて、っていうのはOK。なかにはまれに「何? この新品!」っていうものすごいいい音がするギターもあります。それに最初に当たっちゃうと、もうビンテージは何でもいいんだって思っちゃう人もいるけどね。ボクが最初そうでした。最初にめぐり合ったレスポールが、ものすごい、いい音がしたんです。

■ええ。

「うわー、やっぱりビンテージってすばらしい!」と思っていたら、2本目が使えなくてすぐ手放した。

■ああ......。

「オレはコレクターじゃない!」とかっていう気持ちが、そのころ若かったからあって。「こんな音がペンペンなのはいらない!」とかね(笑)。

(一同笑)

■なるほど(笑)。




世良公則さんレプリカにも理解は示せるけど......

ギターも楽器ですから、弾いてやらないと価値はつかないですよ。でも、「その造形が好きだ」ってショーウィンドウのなかに入れておきたい人たちの気持ちもわかるけどね。ただ、プロだったら使いたくなるしね。うん。それがプロじゃなくて、でも音楽が好きで好きで、たとえば(レッド・)ツェッペリンが好きで、ジミー(・ペイジ)にあこがれて、いつか本物のジミーが手にしていたのと同じレスポールを手にしたいからって仕事頑張って。で、お金持ちになったんで「ポーンと買っちゃいましたよ!」っていうのもそれはそれでね、ステータスだから。すごいステータスだなあと思うし。
僕たちはどこか「ギター=道具」として見てしまうから、ステータスとして扱われることに抵抗は感じるけども......。でも、理解はできる。

■おっしゃるとおり、Gibsonのギターショーに行くと、40?50代の人がポンと現金で買って。

ね。

■「調整しますよ」って言ってるのに「いや、すぐ家に持って帰る」って言って、帰ってる姿を見たら、かわいいなあって思えて(笑)。

今は、レプリカでも100万とかするでしょう? とてもじゃないけど......。僕は弾くから、レプリカに100万も出せない。「高い!」と思っちゃう。

■うん。

「だってレプリカだろ?」って思うんだけど。普通に新品でもGibsonの適正価格で出してくれるなら、弾くかもしれないけど。だったら「それを何本か買うのを我慢して本物買えば?」って思うけどね。でも、最近はレプリカの楽しみ方もわかってきた部分もあるんです。

■ほお。

手が届くんだったら、僕も1本ほしいなと思う。そうすると、よっちゃん(野村義男さん)に「んーー?」とか言われるんだけど(笑)。

(一同笑)




世良公則さん

新品を買って、わざとくすませたり

「あれはあれできれいだよ」と思う。で、まあ僕のことだから、今自分が持っているピックアップのストックに変えたり、ストックしてるコンデンサに変えたり。ハンダもね、ストックしているのがあるわけですよ。「40年代50年代のハンダってのは、成分が違うから音が違う!」とか言われて(笑)。ツマミも、本物と変えてね。

■ええ。

うん。これは本物に似せたGibsonのものだけど、こっちは本物のGibsonって入れたりして、より本物に近づけて。何かこう「エヘヘ」って満足げに弾いちゃうってのもね(笑)。

(一同笑)

それもおもしろいかなと。限りなく本物に近づけてやるっていうね。だって、昔新品のレスポールを買ったときに、自分でヤスリかけて、表面のテカテカを取ったりしてましたもの。粉になる、何番か忘れたけど細かいヤスリがあるんですよ。それをピックアップとかをテーピングして、粉が入らないようにして、くもらせるんですよ。新品のテカテカがイヤでね。

■ええ。

すると、くすんだ感じになるんです。で、わざとぶつけた跡を作ったりとかしてね。よく昔、戦車(の模型)を作るときに、銃弾の跡を線香でつけたりとか、ジオラマ? あれ状態ですよ。新しいの、ピカピカしているのイヤだから、線香を近づけて。色がワッと変色するんですよ。くもらせたりとか。わざとコンクリートのところに行ってこすった跡をつけたりしてね。

■へえー! こだわってますねー(笑)。




世良公則さんカッコよくなければロックじゃない

うん(笑)。昔ストラトキャスターでね、エリック・クラプトンキース・リチャーズがタバコをこう(ヘッドの弦と弦のスキマに)さして弾いてて、ヘッドが焦げてるっていうのがカッコよかったんですね。それを再現した「レリック」っていうシリーズまで出たくらい。「焦げ跡まで再現!」みたいな。僕らそれが出る以前からやってましたもん。自分たちでタバコの火であぶって。

■はっはっはっは(笑)。

キースの写真で(ヘッドに)タバコをさして弾いてて「あ、これカッコいいね」って、用もなくタバコを吸って......リハ中とかにね。さして弾いていたもんね。

■まずは格好から入るんですよね(笑)。

そうそうそう! 格好から入るのよ。カッコよくなければロックじゃないって。その格好が好きでビンテージギターを手に入れ始めたんだよね。あれと同じものを弾きたいって(笑)。

(一同笑)




---長きに渡ってお届けしてきた世良公則さんロングインタビュー、いかがだったでしょうか? 世良さんのギターキッズぶりと、ロック小僧っぷりに圧倒されたインタビューでした。世良さん、いつまでもカッコよくいてください! またいつかご登場ください。どうもありがとうございました。



【世良公則さんライブ情報】[new]

昨年行われた「Acoustic Works」再現! 世良公則、エリック・ゴーフェン、神本宗幸によるライブが決定! 詳細は世良さんオフィシャルサイトで♪


●文:Yahoo!オークション
●写真提供・協力:有限会社ミスターセラ・プロジェクト
●協力:株式会社アトスインターナショナル

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読者コメント(8件のコメントがあります)

rさん
ありがとうございます。がんばります!

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年2月26日 19:44

気長にまってまーす。だめもとで さらにリクエストするとー。
 多分少しは雑誌等でインタビュー等もあったかもしれませんが大槻啓之さん(浜田麻里のアレンジ・曲で知られる方)ですね。プロデビュー時の頃のことが(1979年ごろ)しりたいんです。

投稿者:r | 投稿日:2007年2月23日 21:19

rさん
なるほど、わかりました。さっそく探してみますが、ご期待にそえるかどうかわかりません。あらかじめご了承くださいませ。

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年2月22日 20:09

岩井真一さんというかたです。稲垣潤一さんのバックをされていた方。神戸のアマバンド「魔璃鴉;マリア」から稲垣潤一のバックされるまでの経緯が特に知りたいです。これまで楽器雑誌等をはじめ、インタビュー記事を知らないので、ぜひぜひと。

投稿者:r | 投稿日:2007年2月22日 06:32

rさん
ご期待にそえるかどうかわかりませんが、いちおう書いてみてください^^;

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年2月21日 19:24

このギターラボへの要望をこちらにかいていいですか。
 ぜひ インタビューして欲しい方がいます。

投稿者:r | 投稿日:2007年2月17日 12:05

rさん、コメントありがとうございます!
世良さんからそのお話は聞いていませんでした。
機会があれば、お聞きしてみたいと思います。ありがとうございます♪

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年1月15日 12:13

スターリンやアナーキーをデビュー時 応援したり,
スタークラブのヒカゲ氏と パフエを食べたりすると 以前
雑誌で読みました。 東京ロッカーズとか フリクションとか その辺については どんな風に見ておられたんでしょうか。 ぜひ 知りたいです。

投稿者:r | 投稿日:2007年1月12日 22:26

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