ギターラボ トップ > 世良公則さん > 世良公則さんロングインタビュー Vol.10

世良公則さんロングインタビュー Vol.10

世良公則さん日本屈指のロックボーカリスト、世良公則さん。そのロングインタビューの第10弾です。今回も引き続きギターの話。コレクターじゃない世良さんのギターへのこだわりぶりに脱帽です!
音屋吉右衛門ライブレポートへ




世良公則さん年代ものも泣く泣く......

■一時期100本以上あったコレクションのなかには、やはりオールドなどもあったんでしょうね。

年代モノのストラトだけで12本くらいありました。うん。今、もう2本にしましたからね。

■断腸の思いですね。

置くところがまずなくなって。よっちゃん(野村義男さん)みたいにひと部屋そのためにってのはね、さすがに......(笑)。

(一同笑)

■そうですよね。

アコギがまた増えつつあるんですけど、アコギがまたね、ケースが大きいから場所取るんだよね。


アコギは先ほど(Vol.9)のお話だと8本。

そうですね。現在、パッと使うためにセレクトするもので8本ですね。あと、しばらく使わないで置いてあるやつが何本かあると思うんですけど。たまに入れ換えて音を出してあげるんです。そうしないと木が死んじゃうんで。

■ええ。




木も健忘症になる!?

久しぶりに旅から帰ってきては、ひっぱり出して1日中弾いて、収めて。また次の日今度はこっち、朝から夜までずっと弾いて。仕事終わって2時くらいに帰ると、6時半くらいまで弾いて。で、ああ鳴ってきたなって具合になったら、またきれいにふいて戻すっていうね。

■じゃあ、もうギターに触れていない日はないと。

ないですね、うん。かといってテクニカルにうまくなっていくとか、そういうことはないんですよ。要するに木を鳴らしてあげるだとか、テレビの画面だけつけて、音は出さずにずっと弾いて遊んでるっていう。特にエレキでも何でも、木が弾くことで振動するじゃないですか。

■ええ。

たまに振動させてあげないと、木もだんだんと健忘症になっていくんですよ。

■あははは(笑)。

「あれ? オレどんな震え方してたっけ?」って。

(一同笑)

ピックアップもね、「オレは、どんな電気の流れしてたんだっけ?」って。

■あはははは(笑)。

ときどきボーッとしてるんですよ。たまに出して弾いてあげないと「ああ、そうオレはこういうやつだった」っていう自我を思い出させないと(笑)。ずーっとケースのなかで眠ってるとボケが始まってくる。

■そんなもんなんですね。

うん。特にアコースティック・ギターなんて30分くらい弾いてると、テキメンに弾き始めたころと音が変わってきますもの。
だから本来ならばライブの前に10分ずっと弾いておいてあげると、鳴ってる状態でパッと出て行けるんだけど。さすがに出番前はしんどいから。リハでやって、2時間くらいするとまた、落ち着いてきちゃうんですよね。本当は出番前20分くらいずっと弾いてると、出てバーンッてやったら、ボローンって気持ちよく鳴るんですけどね。

■そういうものなんですね。

うん。




世良公則さんゴールドトップのレスポールが相棒

■アコースティック・ギターの方がデリケートだって言いますけど、そういうことなんですね。

エレキもなんかね、一説によるとそういうことがあるらしいんですよ。木が音を覚えてるみたいな。それはまあ、職人の妄想なのかもしれないですけどね(笑)。

(一同笑)

■じゃあ、話しかけたりとかします?

それはないですね(笑)。

(一同笑)

そこまで危なくはない(笑)。そこまで擬人化はしてないです。

■じゃあ世良さんにとって、今、これが俺の相棒だっていうギターは何ですか?

うーん、そうですねぇ。
今使ってるゴールドトップのレスポールは、また次も使うんですけど。よっちゃんからは「そういうギターはちゃんとケースに入れてしまっておいてください」って言われるんだけども、それを弾いていないとギター弾いてる気にならないから、どうしてもライブで使っちゃうんですよね。

■ええ。

それはもう、どこに行くのでも自分で手持ちで持っていきますから。スタッフにも持たせないですね。自分で持って飛行機にも乗るし。どんなにしんどいときでも、そのギターはずっと自分で持つっていうね。学園祭とかに行って、学生が「おはようございます、そのギター運びます!」って言ってくれても「このギターはいいから。そっちのバッグ持ってくれる?」って運ばせない。その1957年のゴールドトップは、やっぱり相棒と呼べるものでしょうね。




弾く以上は「道具」です

■いつごろ手に入れたものなんですか?

デビューして、2?3年目くらいなんですけど。やっと楽器も自分の好きなものを1本くらい、ちょっと奮発して買っちゃおう! っていうときに買ったので、もう25年くらい使ってますね。

■1980年くらいに購入された......?

そう。1979年か80年くらいですかね。

■その時点ですでにオールドの域に達してたギターですね。

そうですね。その当時のオールドギターのなかでも「破格だ!」っていわれてましたよね。でもそのころは、今200万(円)くらいするストラトキャスターが35万くらいで買えた時代ですからね。当時は35万で買えたストラトキャスターが200万とか150万とかって値段が付いている時代ですからね。

■うーん。

「ええええ!?」とか思いますよね。「買っときゃよかった!」って(笑)。

(一同笑)

■でも、この世良さんのレスポールも相当な値段になるんじゃないですか?

うん、完ぺきなコンディションだとね......。でもね、チューニングを完ぺきにするためにペグを換えていたりとか、ピックアップを換えてみたりだとかしているから......。フルオリジナルだと何百万という値段がつくのだろうけど。でも、もう原価償却はしてるんじゃないの? っていう。

■ええ。

それを飾ったりとか、ショーウィンドーに入れてとかだったらね、何かとても高級なぜいたく品を飾っているっていう感じだけれど、結局、弾く以上は「道具」なので、うん。あこがれの道具なんだね。僕のテクニックに合っているかどうかは別としてね、ただヘタくそなりに、そういう音を出したいっていう追求かな。あこがれの音を追い求めるギターがあるので。だからどうしても手放せないでいるし。やっぱりなんか......ね、それはありますね。




世良公則さんつるしより鳴らないビンテージもある

まずね「いい音するんじゃないか現象」っていうのがあって。ただ「ビンテージギターに興味があって弾きたい」って人にいっているんですけど。たとえば、59年のレスポールが世界最高の値段がついてる。ウン千万もする、と。バイオリンに匹敵するくらい、高くなっているっていうのがあるんだけど「でも、いい音がするかどうかは別問題だよ」って。

■ええ。

僕はたぶん、プレイヤーのなかで、何十本も59年のレスポールを弾いたことがある数少ない人間だと思うんですよ。それというのも専門のコレクターの人とかそういうビジネスをなさっている方々の倉庫に行く機会があって、そこには59年の、それこそ1千万クラスのレスポールが10数本、ダーンって並んであるんです。それを全部アンプを通して弾いた経験があるんですよ。

■ほうー。

テレキャスターもそうだし、マーチンの40年代の1千万するようなやつも。そういう人たちがそういうものを扱っているLAにあるお店に行くと弾かせてくれたんだよね。片っ端から弾いてきたことがあるんです。買えないんで、とりあえず弾くっていうね(笑)。弾かせてもらったときに「何じゃ、これは?」っていうのもあったんですよ。

■なるほど。

「うわあ、その辺のつるしよりひどいな」っていう。カチンカチンの音がするのとか、ジャランジャランの音がするのとか、ペキペキな音がするってのが、59年のレスポールにもあるんですよ。




いい職人あってのいいギター

■それは、弾かれ続けていないからですか?

それもあるけど、やっぱりセットアップです。同じ部品使っていても、ギターってセットアップする職人さんによって、モノが違うんです。だから家具でもあるでしょ? 同じ木を使っていて同じ工場で作られていても、人間国宝の職人さんが組み立てた家具って、百年たってもシャッシャッてスムーズに動くじゃないですか。そうじゃない人が組み立てたらガタピシするというようなね。

■ええ。

同じなんですよ。だからその当時のギターはすごいんだけど、その工場にいた職人さんがすごいということなんです。だから、バイオリンの名器といわれるストラディヴァリウス級のモノを作った職人さんがちゃんといたんです。でもフェンダーとかはパートのおばさんとかなんですよ、それが。

■ふえー。

今、フェンダーでも100万200万っていう値段がつくギターは、ネックに名前が彫ってあるんですけどね、「ダニエル」とか。それがおばさんの名前だったりするわけですよ、パートの。

■ふうん。

ただ、そのときの木のよさとか組み立てた工程をチェックしたり、きちんとチェックが機能し働いているので、そのおばさんも何百本も組み立てるうちに要領を得てくると。うまい人もいればヘタな人もいるっていう。だから「これは高いギターですよー」って言われて、「あ、そうですかー」ってパーンと弾くと「いりませんねー」ってなことになりますからね。

■ほおー。




世良公則さん「世良なら仕方ない」と言われるとうれしい

なんでかっていうと、僕は弾きたいから。これは飾っておくにはよいけど弾けない、っていうギターもありますから。ただ、年代と品番とで高級なギターだって言われて買って、よい音がしなかったって後悔することもあります。

■うーん......。あくまでも鳴らすのと飾っておくのは別なんだよと。

そう。だから、ボロッボロだけど音がすばらしいからどうしても欲しい。「ボロボロなんだから安くして!」っていうのもあるからね(笑)。

■そうですよね(笑)。

いい音するやつはね、楽器屋さんもそれ、わかっているからね。「これはいい音するから、ボロボロだけど安くできないよ」とか言うんですよ。そうするとね、今度は信頼関係なんですよ。「世良だったらしょうがないか......」って言わせられるかどうか(笑)。

■あっはっはっは。

まあレスポールはものすごくお高いから無理だけど、たとえばそれがね、ちょっとお手ごろな値段だとね。たとえば何十何万だったら「この何万、切って!」って言うとかね(笑)。「まあ世良さん、弾いてくれるからなあ......」って言われると、うれしいですよ。

■ああ、そうですよね。

「飾っとくんじゃないから。弾いてくれるからなあ」って言われると、弾き手としてはうれしいですよ。「弾くためのアイテムとして、よりクオリティーの高いものが欲しいけど、なかなかないんだよね」っていう。それこそよっちゃんは情報をいっぱい持ってるから「どこどこ楽器店に置いてあった」って聞かされると、ガーッて、ペダル1個でも探しに行ったりするのね。

■すごいですね。やっぱりその辺は本当にギター小僧だなって感じなんですが。

そうねえ。だからやってること同じなんだよね。アマチュアの子とね。うん。なんにも変わんない。




---オールドだから、高価だからって必ずしもいい音が鳴るわけではないんですねー。勉強になります! 次回もどうぞお楽しみに!



【世良公則さんライブ情報】[new]

世良公則+GUILD9のクアトロツアーが決定! 詳細は世良さんオフィシャルサイトで♪


●文:Yahoo!オークション
●写真提供・協力:有限会社ミスターセラ・プロジェクト
●協力:株式会社アトスインターナショナル

世良公則さんオフィシャルサイトヘ

登場アーティスト

キーワードで検索!

キーワード : カテゴリ指定 :    
検索オプション