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世良公則さん『BACKBONE』を語る Vol.2

Sensation I [new]お待たせしました! 世良公則さん『BACKBONE』を語る第2回、後編です!



究極のシンプル

僕は焼物をやってきましたが、(北大路)魯山人にしろ高名な茶人にしろ、その世界観の基本は"シンプル"これに尽きるんです。旨いものを旨く食べさせるとか、季節のものを季節のように食べさせるとかね。
土も、自分で「こんな形にしてやろう」と思ったものはおもしろくない。「こんな形になっちゃった」ってのがおもしろいんだって言うんですね。書の人もそう。かすれさせようと思ってかすれたところではなく、かすれちゃったところがカッコいいんだと。

要するにこんな形にしようと思っている段階ではまだまだおもしろくはない。書でも陶磁器でも無心で向き合ってできたもの、焼けてただれてしまったところが二度と作れない。だからおもしろいんだってことなんですよ。

焼物をやっていて何が音楽に影響を与えたかっていうと、なそうとしてなったものではなく、なったものがおもしろいと思えるように素材作りをしておくってことなんですね


利休が目指したわびさびの世界、それを古くさいと思う人もいるかもしれませんが、実は時代の先端なんですね。

なにが"シンプル・イズ・ベスト"なのかとか、なにが人を感動させるのだろうかとか。それはそれぞれの時代によって違っていて、その時代に最先端の感覚を持っていたからこその茶人であるし、書家であるし、陶芸家であるわけなんです。
世良公則/BACKBONE
世良公則/BACKBONE

古くさいだけのものだったとしたら、それはとうに終わっている文化だし。 歌舞伎でもそうじゃないですか。古典とはいうけれど、その演じ方とかノウハウは継承しているけど、やっているものが古くさかったら誰もカッコいいとは言わないでしょう。歌舞いているものは時代の先端のアートとして美しくあり続けるので消えていかないんだと思います。

最先端ってなんだろうと考えたら"究極のシンプル"じゃないかと。素材になりきってしまうこと。

それぞれの時代の切り取り方によって違って見える。
炎のきまぐれによって違う壺ができてくる陶芸。
意図しない筆のかすれ具合などで名作が生まれる書道。
そういう異質な分野の芸術を見ていると、そんなもので音楽を作れないかなと上がりを気にしないで自分が"素"になるおもしろさを最近頓(とみ)に考えますね。


勉強させてもらった

今回のカバーアルバム『BACKBONE』に関して言うと、もっとできたら次もいけるなとかね。
今回初めてやってみたけどおもしろい。一片の筆になろうとか、一片の墨汁になってしまおうとか。ひょっとすると僕は半紙かと。 でも書家が力余って破れた部分をそれがいいっていうのもあるし、墨が滲(にじ)んでそこがいいねとか。

35年やってきたから多少音楽はわかっているつもりなので、これがノイズなのか音楽的なものなのか、最終的には自分の度量でジャッジするしかないよねっていうところですかね。

そのおもしろさでいうと、まあ特に我々は恵まれたレコーディングができるわけでもないので限られた時間と予算の中で、それぞれが工夫し精神的にも体力的にも精一杯の努力が必須条件です。
チャートで1位2位を取っている人たちは時間も予算も余裕がありますが、僕らは限られた時間と予算のなかで、制約があるからこそっていうのがあるでしょ。

筆にも太さがあるし、半紙にも大きさがあるように。ときには人間が抱えられる限界の大きさの筆で書いてみるのも書なんだけど、小筆で書いても世界観を出せない人が大筆を持つのは憚(はばか)られるでしょ。 そんなことを十分勉強させてもらいましたよ、今回は。

おもしろい。音楽も書になるし、絵になるしっていうね。そういう僕らが日々目にしているいろんな創作物だったりアートと呼ばれているものの、源流みたいなところを目指したらおもしろいかもしれない、というきっかけにはなりましたね。

まだできているとは思わないけど、それはそれで自分が素材になってしまうおもしろさ、素材に力がないと旨い料理もできないし、それを盛り付ける器もできないし、そこに飾る絵画もないっていうね。そういうおもしろさがありましたね。
書でいうと半紙からはみ出す勢いがあっていいと思うし、墨がパァーッと飛び散ったのも味だしっていうふうに、もっともっとなっていけるかなってひとつのきっかけをもらったって言えるんじゃないかな。

打ち合わせ中のGUILD9。左から櫻井哲夫さん、横瀬卓也さん、野村義男さん


打ち合わせ中のGUILD9。左から櫻井哲夫さん、横瀬卓也さん、野村義男さん


オリジナルのアーティストから

でも究極は自分の音に誇りを持ちそれに向き合う姿勢が真剣だというベースあっての事。今回、初の他のアーティストのヒットした曲を選択したカヴァーアルバムだという事もあり少し緊張もしていたの事実。
でもいざレコーディングに入るとそんな心配は無用で毎日スタジオに通いそこでは笑顔が絶えない。誰も難しい顔を一度もしなかった。声を荒げることもなく、にこにこ笑いながら進んでいったんですよ。

SOGAさん:もともと過去荒げたことなんてないじゃありませんか(笑)。

うん、そうなんだけどね(笑)。まったく違う4つくらいのチームを作り上げていくなかで、ずーっと笑いながらやっていましたから、それが勉強になりましたね。

SOGAさん:おもしろかったのはAさんアレンジの曲の収録時に、ほかの曲のアレンジャーBさんが見学したいって言ってきたこととか。

そうそう。「ほかのチームはどんなふうにやってるの?」とか「ほかのアレンジャーさんはどういうふうなの?」とか、それぞれ紹介してみんなでレコーディングを見ながら「勉強になった」とかメールアドレス交換したりとかね(笑)。

そこで気にいったプレイヤーがいたら「今度ボクのでも演奏してくれない?」とかオファーしたり。おもしろかったですよ。 そういう感じで出来上がっているので、まあ聴いてくださった方が「へへへ、おもしろいじゃない」と思って聴いてくれたらいちばんいいかなってね。

ただそれぞれの(楽曲の)ファンはね。スピッツのファンなんかは「ありえない!」とか「かわいくない!」とか言ってると思うんだよね(笑)。ブルーハーツのファンなんかもかなり厳しいと思うんだけど、今回僕がカバーをするって言ったら、メンバー自身が喜んでくれたって。

SOGAさん:(甲本)ヒロトさんから「光栄です」って連絡をいただいたり、斉藤和義さんにも優しい気配りをしていただきました。

うん。斉藤くんは自分のライブで『ずっと好きだった』を演奏する前に「このたび世良公則さんがこの曲をカバーしてれくれて」ってメッセージを言ってから演奏して。ファンの人たちもそのメッセージを受け止めてくれるじゃないですか。すごく背中を押してもらえたというか、ありがたいですよね。そういう話を聞くとね。

僕も先日オールナイトニッポンでエレファント・カシマシの曲をかけるときに、宮本くんが休養に入るって聞いていたから「宮本くん早く戻ってきてね」って自然と言葉にできたりする。意外とジェネレーションやジャンルを超えて、会ったこともないけど人伝いにメッセージが伝わってきたりすると「このアルバムはいい着地ができたんじゃない」って思えるんだよね。


エレキの意外性に応じたエリック

■やっぱり世良さんに歌ってもらえるってだけで、そういう思いになりますよね。

うん。そうだといいんけどね。
エリック(・ゴーフェン)とやった『I LOVE YOU』(オリジナル:尾崎豊さん)なんか、はなからエリックと二人で何ができるかっていったら、エリックがあんなおもしろいバイオリンを入れてきたのね。「ええーっ!?」て僕も思ったのね。もっとふつうにバラードだから泣かせてくるのかと思ったらひねってきて。

「あとは世良に任せる」って言ってきたから、スタジオでデータ出ししていろんな組み合わせを試してみて......。エリックがあんな発想で演奏してくるとは思っていなかったし。

■だいたいアコギじゃななかった時点で驚きましたよ。

あ、そうなんですよね。絶対アコギでやるだろうと思われているから、ここはエレキで、とね。

一回も歪まない。これだったらふつうバンド入ってくるだろうみたいなね(笑)。そこにエリックの(口マネをしながら)あのバイオリンがね。そうなんだよね。多分エリックも送られてきたデータがエレキだったので「なんだ!? アコギじゃないぞ」って思ったんだろうね。
これはエリックでやる意味があるんだろうから、自分もいつもアコギでやっているアコースティック・ワークスのようにやっちゃいけないって刺激されたんでしょうね。だからそういうふうなのがおもしろいんですよ。

アコギをエレキに持ち替えるだけで、エリックがあんなふうに反応してくる。もちろんソロはちゃんと弾いているんだよとは言いつつも、エンディングに向かって変な世界に入っていくようなね。

ああいうのもことさら打ち合わせをしなくても、そういう解釈をして投げ返してくるってさすがにホントにわかってるな、フレンドだなって思うし。僕も聴きながらニヤニヤしちゃってね(笑)。
スタジオでスタッフに「こんなデータ届いたんだけど」って渡したらみんな「えっ!?」って顔して、そのうちみんなニヤニヤし出して、エンジニアの方が「こんなのどうですか」「じゃ、こんなのは」と出してくれてそれで成立しちゃう。

そういう音楽のおもしろさみたいなことを、もっともっと打ち出せるセッションやシーンがあってそういうTOP10とかじゃない世界観がね、もっともっと伝えたい世界が見えてきたよね。こののち10年、20年、届けたい世界観がいろいろ無性に湧いてきてね。


3歳児に「せらしゃん」と

■なるほど、そうだったんですね。ところで、去年の『マルモのおきて』から始まって、世良さんのテレビの露出ってこのところ半端ないでしょう。

でも1年に1作品なんだけどね(笑)。

SOGAさん:『マルモ』は去年の夏に終わっていますし、それから1年後に『梅ちゃん先生』なんですけど、マルモがリピート放送されているのでみなさんが目にする機会が多いんですね。「立て続けに出てますね」って言われますが、出ていないんですよと(笑)。

『梅ちゃん』なんかある週にパッと出てきて数週後にはパッと消えてね(笑)。あと音楽番組もね。

■そうなんですよ。撮影時期って集中しているんだと思いますが見る側はね。

そうだよね、ひと月遅れとかでオンエアされることもあるしね。

■そんな感じで、世良さんがシーンのドまんなかに帰ってきている感じがしていたので今回の『BACKBONE』を聴いたときに世間に定着している"世良公則ってこんな感じ"というのをいい意味で裏切ってくれた痛快さを感じたんです。

SOGAさん:今回は新しい試みが多くて手探りではあったんですが、仕上がったときにとても楽しいものになっていましたね。

うん。さっきも言ったけど僕が素材として、書でいえば墨だし筆だし、陶芸でいえば土だし、料理でといえば材料でいい出汁が取れていればおいしいちゃんこ鍋なりになっているんだけど(笑)。
どう仕上がるかよりも、いかに自分が素材としてピチピチ新鮮でいられるかと。味付けがどんなによくったって、素材がおいしくなければ台無しなわけですよね。 だからミーティングでとにかく自分をどう伝えるか、そして相手がそれをどう受け取るかだったのね。

演奏する人たちも初めての人が多くて、GUILD9でやろうがそうじゃなかろうがそのどれもがおもしろいっていう感覚でね。GUILD9でもよっちゃんに完ぺきに任せた曲、みんなで合わせながらやる曲、終わりを決めながらやる曲の3つに分かれたんですが、そうやって作ってみるとそれぞれがおもしろかったりするし。

固まるにはまだ早いかなっていう思いと、まあ逆に放っといても固まるだろうしね。それはけっこう感じましたね。歌ってみたらけっこう歌えちゃうみたいな(笑)。

■たしかに、おっしゃっているようにGUILD9が登場してもなんとなく「え?」みたいな感じがあったりして、最後の最後『銃爪(ひきがね)』でやっと「ホッ」っていう。

(一同笑)

■それまでは「うわーーっ」て感じが続いていて最後にそんな感じ、というのが僕の感想なんですね。

なんで最後にあれがきてるのかっていうね。

■ええ(笑)。

うん。で、その流れのまま『the ultimate WE ARE GUILD9』に入るとそこには新曲があって、それも「この人けっこう怒ってんだ」と『アイノウタ』って言いながらも全然バラードじゃないじゃんって言われながらね(笑)。

(一同笑)

泉谷(しげる)さんに、「おまえ、『アイノウタ』っていってるくせに全然ラブソングじゃないんじゃねぇか!」って言われるし「すみません」って(笑)。あとはGUILD9の世界で。もうそれしかないと。
「やっぱりこうだよね」ってのがまた『BACKBONE』の1曲目の『チェリー』に戻ると「でもここいくんだよなぁー」みたいな(笑)。変な2枚ですよね。

SOGAさん:世良の年令で世良のキャリアだと、ああいう一種の試され方というか身の任せ方というか、周りも許さないんですよね、ふつう。でも、どちらかというとそれで何か別の可能性が見えればそれでいいし、変に数字で縛られていない分、そういう部分に関わることを全部なくした段階で「何をやりたいか」、そこからプロジェクト自体が始まっているんですよ。

あと世良の音楽人生のなかでそこまで遊んだのはないだろうというのもありまして、ここはひとつポピュラー性も出てきたことだし(笑)、3歳児にまで声をかけられるようになったし。


「せらしゃん、せらしゃん」ってね。

(一同笑)

SOGAさん:ここはひとつ遊んでみようか、と。余裕が出てきたといえばすごく横柄に聞こえてしまうかもしれないんですが、自分たちも楽しんでみたいなって気持ちになったんです。

■それが伝わってくるんですよね。SOGAさんがおっしゃったように、ふつうなら許さないだろうなって一線を、一気にズバァーーッと。

(一同笑)

そう、だからダーンッて入っていきながら肝になる曲は自分でソロを演奏していたりとかね(笑)。
うん。

世良公則さん


世良公則さん


僕らがたたかれたからわかる

たぶん音楽以外にいろいろな趣味とか、ちょっとお茶を点ててみようかとかいう気分みたいなものすべての、安土桃山時代でいえば歌舞伎ものの世界観だったりとか、時代の最先端とは何かっていうのはきちんとした伝承とか経験とかキャリアを踏まえたうえで、どこまで歌舞けるかっていう世界観って意外に失われがちだけれども、多分あの時代の「歌舞く」ってのはこういうことなんじゃないかなと、それはモノづくりだったり、モノを見るときの目だったりとか。

我々が常に目にしている音楽の世界は一部であって、それを僕は否定しないし、最近AKB48のメンバーの人たちの名前もずいぶん覚えてきて、「あ、この子はここがかわいいんだ」とか。

(一同笑)

■うれしいですね(笑)。

名前と顔が一致してきて「この子最近きてるんだよね」とかわかるし(笑)。そんななかでそんな音楽の一部をどうこう言うことによってほかのジャンルのスタンスを際立たせようとする風潮は、僕らがデビューしたときに散々やられたんですよ。

■そうでしたよねー。

「あんなテレビに出てるようなヤツはただのアイドルだ」とか「女の子にキャーキャー言われるのはロックじゃねぇよ。だからこっちがホンモノだよ」とかね。そう言われていたから「そこをまた蒸し返してどうする?」と。 違うところに目を向けてもらうとか、そこから幅が広がるし、音楽って底深いなぁとか、だからこそその上にいる人たちってスゴイ努力をしてしるんだなとか、スゴイパワーなんだよねとかね。

我々が出て何がよかったかっていうと、やっぱりミュージシャンってカッコいいよなという漠然とした世界観がここ20~30年でちゃんと広まっていることだよね。
だからバンドやる子も音楽に携わる子も増えているし、だからよかったんだくらいのことなんですよね。ギターを弾くヤツが増えた、ミュージシャンを志すヤツが増えた、音楽ってひとつじゃないってことをみんな知ってると、そういうことだけでも(原田)真二や僕たちは出てよかったんだねって。


オリジナルになりえる作品

今回のアルバムで取り上げさせていただいたイエモンがいたりブルーハーツがいたりエレカシがいたり奥田(民生)くん、斉藤くんがいたりね。「あ、世界ができてるじゃん」と。
誰一人として消せないバンドやミュージシャンたちがいるじゃない、ってことが確認できただけでもおもしろい。次じゃあ何作るのってね。またスタッフミーティングをするとワイワイいろいろ出てきておもしろんじゃないかな。

■すっごく楽しそうですね。これを聴いちゃうとファンは欲が出てきますよね。

うん。いちばん多いのはオリジナルアルバム作ってくれって声ですよね。
でも「カバーだ」とは言いながらもね、僕のなかでは「オリジナル作るくらいアレンジ凝っているんですけど......」ってね(笑)。詞とメロディお借りしているだけで、発想は全部僕なんですけどってね(笑)。

このままコードを変えてメロディと詞を入れ替えてやりたいって曲、いっぱいありますものね。それでレコーディングしたら完ぺきなオリジナルアルバムになるでしょうというくらい、短い時間でわりときつかったし潤沢に準備期間があったわけではありませんが、努力はしましたよ。

能力からすれば十分オリジナルアルバム作れるくらいのレベルになっているので、それはおもしろかったですね。 トラックダウンしてるとき思ったもの。「これメロディと歌詞変えたらオリジナルでいけるんじゃない?」って。

■オリジナルと言っても過言ではないカバーですよね。昔はカバーっていうと先人の名曲を焼き直す的なものが多かったですが、最近はそこにこだわらない、いい曲ならやってみたいと。

多分ジャズアレンジでいきましょうとか、全部ブルースっぽくしましょうよ、っていう自分の音楽の世界観に合わせてやる人たちもいると思いますが、正反対の、たとえば世良がボサノバでやるっていうのもありなんだけど、(本作は)全部がばらばらっていうね。スタジオが毎日おもしろかったからいいのかなって思いながら。


キャリアを積んだからこそやらなきゃいけないこと

■さっき「『BACKBONE』って背骨でしょ、出汁がよくとれるんだよね」ってシャレでおっしゃっていましたが。

SOGAさん:えっ!? そういうこと?

(一同笑)

SOGAさん:たぶんそれをレーベルの人が聞いたら「いやいやいや^^;......」って。

(一同笑)

"しゃんとする"って意味ですから、人間の体を支えるっていう意味ですから。

SOGAさん:出汁の問題って言われたら、ね(笑)。

いや、さっき料理にたとえたものだから(笑)。

SOGAさん:(笑)すごいなと思ったのはオールナイトニッポンで『小さな恋のうた』をスタッフさん4人くらいコーラスに参加してみんなで生で歌ったんですけど、みんなちゃんと歌えるんですよね。これがヒット曲の強みだなぁって。

うん。ヒット曲は強いよね。そういう意味では力をもっているから。
ヒットした時点で時代から力をもらうってのもあるし、僕らもライブで『燃えろいい女』をみんなで合唱したりするとひとつになれるっていうのは、やっぱりあの曲がヒットしたから。それがひとつの条件になっているんだよね。

曲も人に力を与えるし、その時々の消えがたい記憶の一部になって共存していっしょに生きていくわけだけど、曲自体もヒットしたということでパワーをもらっているから。その曲が始まるとみんなが口ずさめるとか、サビだけは完ぺきに歌えるとか、そういうことっていうのはやっぱり力あるなぁと。そういう意味ではそんな力のある曲に、こっちがアプローチしていくっていうのはおもしろい作業ではあるね。

SOGAさん:twitterかfacebookか忘れましたが、40代の男性が「これでやっとカラオケでモンパチ(モンゴル800)が歌える」ってポストしてくださって......。要するに世良が歌ったことによって免罪符が出たってことなんですよね。

40代がカラオケでモンパチ歌うと「世代に迎合してんじゃないの?」みたいにとられかねなかったんでしょうね。 そういう世代に関係なく音楽を楽しむって文化は、これから先、我々が作っていかなきゃいけない責任でもありますよね。

若い人がたまたま世良のライブに来てくれて、「(お客さんが)40代50代のおじさんおばさんばっかりだった」ってメールで感想をくれるんだけど「だから? だってその人たちは音楽をずっと聴き続けてきたんだから胸を張っていいんだよ。

君は20代でそんなこと言ってるけど、君が50代になったときにその人たちみたいに『おぉーっ』てやるパワーはあるのかい?」って問いたいですよ。
そういう先輩を見て「僕もこの年令になるまで音楽を好きでいたい、こういう場所に来て『Yeah!!』って言える情熱を持っていたいって思ったらあこがれの存在でしょ? それを『なんか年齢層高いよなー』って言うようなヤツはどこか違うんだよ」って思わせたいよね。

SOGAさん:最近20代のバンドやっているかわいい女の子がライブに来るんですよ(笑)。

うん。「師匠~~!」みたいな感じでね(笑)。「世良さんのロック最高!」って「なんかやってるの?」って聞いたら「バンドやってまーす!」って。

SOGAさん:「『JACARANDA』や『DAYS-デイズ-』をバンドでやってまーす!」って言うんですよ。

「カバーさせてもらってまーす! 『JACARANDA』はむずかしいー」ってね。

SOGAさん:「今『アイノウタ』勉強してまーす!」とか言って。すっごいかわいい女の子ですよ。

うん。そうなんですよね。
それをやっていくのが僕たちの責任だし、若い人がチャートを駆け上がってくるのは毎年必要なことなんだけど、キャリアを10年、15年、20年と積んでいくなかでいい演奏をヒットチャートとは別に残していくことでセッションとか、カバーを作るとか、いい演奏、いいライブで「いいな」と思えるものを世代を超えて残していって、30代にはその世代じゃないと出せないプレイ感みたいのが必ずあるので、そういうものを共有できる活動を「やらなイカン」なって今回のレコーディングを通じてすごく思いましたね。

20代後半から30代のプレイヤーと仕事をして、「ベース、そこもっと暴れていいよ」「え!? いいんですか?」「いいよいいよ」「じゃあ」みたいなことがあってね。そういうことを発表したり共有できるのは、やっぱりキャリアのある人じゃなきゃできないかなって思うんですよ。そういう部分で我々が連携していくことが大事だなって思いました。


---いかがでしたか? 世良公則というロックシンガーが考える音楽の世界。ほかの"アート"と呼ばれるものから得るインスピレーションやアプローチ。35年というときを経てなお、いっそうその世界観を突き詰めようとする意志の力を、強く強く感じたインタビューでした。

2013年もギターラボは世良さんを追い続けます。新しい世良さんの一面を、みなさんにお届けすることができたらうれしいです♪




【LIVE情報】
2013年2月、あのユニットが東京で暴れる(笑)!
■音屋吉右衛門(世良公則×野村義男)
「さあ! どこからでもかかって来なさい!」2013
日時:2013.02.16(土)
1st:開場 15:00 開演 16:00(終演予定 17:30)
2nd:開場 18:30 開演 19:30(終演予定 21:00)
会場:東京スイートベイジルSTB139


ここから先はソールドアウト済み^^;
■O-kiraku LIVE 2013
日時:2013.01.26(土)
出演:世良公則
開場/開演:18:00/18:30
会場:兵庫・たつの市総合文化会館 アクアホール


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