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奥田美和子さんインタビュー Vol.1

奥田美和子さん 6月22日にファーストアルバム「二人」をリリースしたばかりのシンガー、奥田美和子さんが初登場! 彼女のデビューからの5年間と、これからに迫ります。

【奥田さんかんたんプロフィール】
1982年生まれ。2000年デビュー、2枚のシングルをリリース。2002年柳美里と出会う。2003年11月、柳美里作詞によるシングル「青空の果て」をリリース。2004年、柳美里作詞によるシングルを2枚リリース。



奥田美和子さん



このインタビューは、6月某日、アルバム「二人」リリースの数日前に行われました。

■6月22日に、ファーストアルバム「二人」がリリースされる奥田さんですが、デビューはけっこう前になるんですよね?

デビューは、2000年の2月ですね。もう5年になります。

■「歌を歌いたい」、人前で自分を表現するには「歌しかない」、と思われたのはいつごろですか?

歌は幼稚園のころから好きで、そのころから「歌手になりたい」と思っていたんです。話をしたりとか、人とコミュニケーションを取ることが得意じゃなかったんですね。友だちといっしょにいても、なかなかなじめなかったり......。
そんななかで、「歌」だけは自分がいちばん素直でいられる場所、みたいな存在だったんです。CDを借りてきて、カセットにおとして、それを聴きながら歌っているということをしていましたね。
高校に入って、「バンドのボーカルを手伝ってくれ」と言われて、「MCをしなくてもいいのであれば」という条件で引き受けたんです。MCはほかのメンバーがやるので、私はただ歌っていればそれでいい、という条件だったんです(笑)。
そのバンドでライブをしているときに、音楽関係者の方がいらしていて、声をかけられ。それがデビューのきっかけになりました。




「人のために歌いたい」と思うようになった

でも、ただ「歌が好き」という思いだけでデビューしてしまったので、2枚のシングルを出して、そのころ「自分は何を歌っていきたいんだろう?」ということに、初めてぶつかったんですね。で、何かが見えなくなってしまって。それで3年間休んでしまったんです。
だから、本当に人のために歌を歌おうと思ったのは、遅いんですけど「今」、ですね。今までは「歌が好き」っていう思いだけだったんです。人前で歌いたいっていう気持ちもなかったですし......。

3年休んでいる間に柳美里さんと出会って、私が性格のこととか、小さいころからの話とか、こういう恋愛をしたとか......。赤裸々に手紙につづってお渡ししたら、柳さんも何かを感じてくださって、返信という形で詩(歌詞)を書いてくれたんです。
お返事をいただいて、最初は「柳さんにしか、私のことはわからない」「柳さん以外の人に、わかってもらおうとは思わない」と思っていたんです。それが、柳さんと「青空の果て」「歌う理由」というCDを出していって、それを聴いた方がホームページに書き込みをしてくださったり、お手紙をくださったりしたんですね。
それらを読ませていただいて、初めて「つらい思いをしていたのは私だけじゃないんだな」って知ったんです。

私はちっちゃいころから、自分をさらけ出すことの怖さみたいなものを持っていて、人とかかわることで傷つくならかかわらないほうが楽だって思っていて、心を閉ざしてきたんです。そこへ、聴いてくださった方々の声が届いて、歌でコミュニケーションがとれるんだということを知り、最初は柳さんからいただいた詩も、自分の思いを吐き出すためだけだったのが、そういう声をいただいて、だんだん人を信じたいと思うようになってきて。
私の歌を聴いて、いろいろ感じてくださる人がいるんだって知って、最近になって初めて「人のために歌いたいな」と思うようになったんです(笑顔)。




奥田美和子さん とにかく伝えたくて書いた、柳さんへの手紙

■そうだったんですねー。デビューのころのお話なんですが、デビュー曲は奥田さんが作った曲だったんですか?

いいえ。大江千里さんがプロデュースしてくださったんです。
(Yahoo!オークション注:大江さんプロデュースによるデビュー曲「しずく」、こちらはアニメ『GTO』のエンディングテーマでした。セカンドシングルは「tsu-ki」)
曲作りのときにいろいろ話し合いをしたんです。それで、千里さんが感じてくださった私をイメージして書いてくださったので、そこに虚構はないんです。でも、そこまで流されて来たわけでもないし、自分が進んで選んできたことなんですが、なんかからっぽだったというか、中身がなかったというか......。

■それはご自分に対して?

自分に対して。今思うとそういう感じでしたね。


■なるほど。柳さんにお手紙を書いたってことですが、それは柳さんの本に出合って、それに触発されたということなんでしょうか?

はい。「命」が映画化されるときに、柳さんの存在を知りました。
私ふだんは全然本を読まないんですが、「命」をきっかけに、柳さんのほかの本も読ませていただいたんです。なにか自分と重なる部分、ものごとに対する感じ方とか考え方とか、そういう部分がすごく似ているなあと思ったんです。人になじめなかったこととか、自分にとってマイナスなところでも、この人(柳さん)には深いところで理解してもらえるんじゃないかというふうに感じて......。
最初はスタッフから私の気持ちを伝えて、作詞を依頼してもらったんです。でも、「小説以外はお断りしていますので......」と一度は断られて。でも書いてもらえるもらえないは別にして、とにかくこの思いを聞いてほしい、私がうまく言えないこととかも、「とにかく聞いてください」という思いで手紙を書いたんです。

■一度は断られたのに、自分の思いをどうしても伝えたくて手紙を書いたんですねー。けっこう大胆な行動に出ましたね(笑)。

そうですねー(笑)。でもそのときはそれしか方法がないというか、そうしたいという思いだけで。




本当に不思議な出会い

■そのお返事が「詩(歌詞)」で返ってきたんですよね。そのいただいた「詩」は、奥田さんとしてはすべて受け入れられる内容だったんですか?

その「詩」は、私のことを、柳さんというフィルターを通して生まれてきた言葉でもあるし、柳さん独特の表現だったりするんですね。
私が言いたかったことを、「ああ、こういうふうに書くことで、表現できるんだなあ」っていう意味では、全部納得しました。そのときの私がうまく言えなかった状況を、柳さん独特の世界観で表現してくださっていたので、そこにとまどいというのはなかったですね。

■そういう出会いって奇跡的ですよね。

そうですね。柳さんと私という関係でいうと、ほんと不思議ですよね。全然違うところで生まれて、友だちでもなく。人間はひとりひとりみんな違うのに、こういう出会いができて......。手紙にしても、柳さんには毎日たくさん送られてきているはずなのに、私の手紙に何かを感じて答えてくださっていることも、不思議で。
私のなかでは、そういうタイミングだったのかな、って思うんです。もう歌いたいのに歌えない、どうしたらいいのかわからなくて、もがいてもがいて、もがいているピークに柳さんに出会って。
でも、それは3年間休んでいたから出会えたのだし、休んでいなかったら柳さんの本も読まなかったと思うし......。うん。本当に不思議だなって思いますね。




ちょっと前に出たいなって

■そうですか。今回の柳さんとの一連の活動ですが、このアルバム「二人」で完成形というか、ひとつの形はできましたよね。次に、「これをやりたい」という目標ってありますか? まだ早いでしょうけど(笑)。

今まで、自分をさらけ出すのが怖いと思っていたので、3年間のお休みのあいだも、自分の言葉で歌をつくることもできずにいたんです。書きたいんだけど、言葉を知らなかったりとか、どう表現したらいいのかもわからない......。もう真っ暗闇だったんですね。
そんなさなかに私が伸ばした手を柳さんが取ってくれて、「ああ、受け止めてくれる人がいるんだな」ということを知ったんです。「青空の果て」から2年くらいたって今(現在)になり、最初は声だけを聴いてもらえればいい、と思っていたんですが、だんだん自分を知ってもらいたいとか、人を信じたいとか、「前に出たいな」という気持ちが強くなってきているんです。
なので作詞をして、自分が思っていることを言葉にすることができたらいいな、と思いますね。

■そうですか、それはぜひ実現させてほしいですね。

はい(笑)。

---アルバムで聴く声の印象よりもかなり華奢(きゃしゃ)な奥田さん。じっと聞き手の目を見つめ、しっかりと考えながら答える姿にすっかりやられました。さて次回はデビュー前の奥田さんに迫りますよ。どうぞお楽しみに!

今秋公開予定の映画「殴者」の主題歌に奥田美和子さんの楽曲が決定しました!




「奥田美和子/二人」ジャケット 【アルバム「二人」】
ヒットシングル、TBS系ドラマ『ヤンキー母校に帰る』
主題歌「青空の果て」から、最新シングルのテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『雨と夢のあとに』主題歌「雨と夢のあとに」など4枚のシングルに加えて、「青空の果て」のニューヴァージョン「絶望の果て」を含む全13曲収録。
全作詞とビジュアルプロデューサーは作家の柳美里さん。




●撮影・文/Yahoo!オークション

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