ギターラボ トップ > 野呂一生さん > 野呂一生さんインタビュー Vol.1

野呂一生さんインタビュー Vol.1

野呂一生さん日本を代表するギタリスト、野呂一生さんインタビューの第1弾! 12月21日にリリースされたニューアルバム「CASIOPEA + Synchronized DNA / SIGNAL」のお話や、音楽の道に進んだきっかけなどをお話ししていただきました。どうぞお楽しみください!



CASIOPEA + Synchronized DNA、中央が野呂一生さん

画像上:CASIOPEA + Synchronized DNA、中央が野呂一生さん



「SIGNAL」の意味

■ニューアルバム「SIGNAL」を聴かせていただきました。1曲目がいきなりサンバ調のリズムだったりして驚いたんですが、作曲を担当された方の個性がかなり前面に出ているアルバムだなという気がしたんですが、そういう意識は野呂さんにはあったのでしょうか?

いいえ、そういう意識はなかったです。
メンバーそれぞれが(カシオペア以外で)いろいろな活動をしていることによって、個性というのが強くなってきているのかもしれませんね。

■アルバムタイトルの「SIGNAL」には、どんな意味を込められたんですか?

これは「合図」とか「信号」という意味があるんですけど、生きているということ自体が、外に向けて「ここに自分はいるんだ」というSIGNAL(シグナル)を発しているわけです。SIGNALはあらゆるところに存在していますよね。収録されている楽曲それぞれがSIGNALを放つような、そういう作品になればいいなということでこのタイトルにしたんです。
曲のバリエーションという点では、1曲1曲が比較対照になるものがないような構成で出来上がったと思いますね。



「いや、わかるけど元気にいこうよ」と

■今回は野呂さんの曲がいつもより少ないですよね?

今回ぼくは4曲提供させていただいたんですが、まあ4曲といっても6曲分くらいはあるのかなぁ(笑)。

■前作「MARBLE」に収録されていた25分の大作、「UNIVERSE」には及びませんが、今回も10分以上の「PAST AND FUTURE」という組曲がありますね。

そうですね。ダイナミクスの大きな流れを持った楽曲をやってみたいな、というのが最近ありまして、12分くらいの作品なんですが、そのなかにいろんなSIGNALが込められているんです。

■テーマはあらかじめ決めてから、作曲にとりかかるんですか?

そうですね。これはテーマを作りながら、「これ夜明けみたいな感じかな?」っていうふうに考えつつ作ったんです(笑)。
タイトルの「PAST AND FUTURE」って「過去と未来」ですよね。その間にいつも存在する「現在」という時間から、過去や未来へ送るSIGNAL、ということで考えたんです。時間軸に沿った構成になっているんですが、最後は「元気にいこうよ」と締めくくってます。

■ぼくはカシオペアのサウンドを聴いていて「ネガティブ」な要素を感じたことがほとんどないんですね。「未来」とか「明日」とか、さきほど言われた「元気に」というようなポジティブなイメージなんです。
それというのも、野呂さんが目指す方向性が「ポジティブ志向」だからなんでしょうか?

そうですね。聴いている人に楽しんでもらう、というのが根本にありますから、あまりネガティブでウツになっちゃうのも困るんですね(笑)。
ネガティブなサウンドというのも、もちろんありだと思うんですよ。同調するという点でいうとね。たとえば演歌というのは、そういうネガティブな気持ちになったときに聴くと、すごく同調しやすいんですね。それによって救われる人もいると思うんです。
それとは違って、「いや、わかるけど元気にいこうよ」っていうね(笑)。ぼくの場合は励ますタイプのほうが多いし、そのほうが好きですね。

■なるほど。よくわかりました。



すごくいい先生に恵まれた子ども時代

■では、このへんで野呂さんが「音楽をやりたい」と思ったきっかけについてお伺いしたいのですが。

そうですね。あまり要因っていうのはないんですよ。
小学校の先生がすごくおもしろい先生でね。担任の先生も、音楽専科の先生も。小学2年生のころから調音とか、作曲法とかを教えてくださったんですよ。いまでもお歳暮贈ったりしているんですが。

(一同笑)

そういう流れで、自然と音楽の世界に入っていけたんです。
あと、図工の専科の先生もただ絵を描くんじゃおもしろくないという方で、多方面から考えることや見ることを教えていただいたりとか。
すごくいい先生に恵まれた子ども時代だったんです。自然と何かを作るとか、作曲をするという方向に、気が付いたら向かっていたんですね。だから先生っていうのは責任重大な職業なんですね(笑)。

■音楽がいつも流れているようなご家庭だったんですか?

そうですね。うちの母も先生をやっていましたので、クラシックがかかっていることが多かったですね。

■そうだったんですね。



カシオペアを結成したわけ

■野呂さんが音楽を表現しようと思われて、最初に選んだ楽器がギターだったんですか?

いえ。まだ音楽家になるとは全然思っていなくて。でもきっと何かを作る職業につくだろうなとは漠然と考えていて。そうこうしているうちに小学校の後半から「マジック」にハマってしまいまして(笑)。

■マジック、ですか?

ええ(笑)。人を驚かせる喜びがすごく楽しくって、しばらくマジックにハマっていたんですよ(笑)。
そして中学生になって。そのころギターを持ってきて人気者になっているやつが現れたんですね(笑)。それを見て、「これはいいかも。マジックより仕込みが少なくて済みそうだ」ってね。

(一同笑)

非常に不純な動機なんですが。それで14歳くらいからギターを始めたんですよ。遅かったんです。
小学生のときに、工作でちょっと大きなものを作ってみたくて「ギターキット」でギターを作ったことがあったんですよ。ガットギターなんですけどね。当時「1,800円でギターが弾ける」(笑)、ってことで出ていたんですよ。作ったら1曲くらいは弾けなきゃ、ということで「禁じられた遊び」だけは弾けるようになったんです。
その程度の知識で中学生になってフォークギターを始めたんです。そうすると謎の三角のプラスチックに出合うわけですよね。「なんだろ、あれは?」ということで下敷きを三角に切ってまねてみたり(笑)。
「なんでこっちのギターの弦は鉄で、向こうのはナイロンなんだろう?」とか。そんな程度の知識しかなかったんです。

■それは意外ですねー。マジックに目覚めた少年が、ギターを持ってさっそうと現れた少年を見て「あっちのほうが楽そう」と思ってギターにいったわけなんですね。

ほんとに、ちょっとした不純な動機で始めたものが、今に至っているということでね(笑)。
最初はコードしか弾けなかったものが、どんどん奥の深さを知っていくんですね。「ああ、ギターでいろんな音楽ができるんだ」ってことがわかっていきまして。
それで18歳のときに、それまでジャズとかフラメンコとかギターが主役の音楽はありましたが、ギターがフロントに立っているバンドってそうないよな、と思い始めまして。
ギターに限らず各楽器が主役になるバンドがおもしろいんじゃないか、という発想で始めたのがカシオペアなんです。




画像上:CASIOPEA + Synchronized DNA、上段中央が野呂一生さん



グランド・ファンク

■14歳でフォークギターを弾き始めて、18歳でカシオペアに至るまでの4年間にバンド活動とかなさっていたんですか?

していました。高校生くらいまでは地元の友だちとバンドを作っちゃ解散し、作っちゃ解散しって(笑)。
そのころはまだボーカルがいて、いわゆるヘビメタ。当時はハードロックと呼んでいましたが、そういう感じのものをやっていましたね。ユニゾンのリフっていうのがメインで、「勝手に歌ってくれ」って感じのすごく安易なつくりでしたね。

(一同笑)

そうこうしているうちに「何か物足りないなぁ」と思うようになって、楽器メインの今のスタイルに至るんです。

■当時野呂さんが好きだったロックギタリストはどなたですか?

海外のギタリストはみんな好きでしたね。誰ということはなく。
「ジェフ・ベックっておもしろいギタリストだな」とか、「サンタナはくいーんって感じの音だな」とかね(笑)。当時人気のあったギタリストの音を聴きあさっていましたね。

中学3年のときに、グランド・ファンク・レイルロードが来日したのを見に行ったんですよ。後楽園球場でしたね。音はデカイし。みんな興奮しているし。ぼくも興奮したんですけどね(笑)。「もうバンドっきゃない!」って感じで。バンドやりたい、と思ったきっかけはグランド・ファンクでしたね。
大ロックカーニバルっていって、マシュー・マッカーンとか、井上堯之さんのバンドとか、麻生レミさんとか参加していて。その場でいっぺんにいくつもの音楽に遭遇して、「こういう時代なんだ」と。
中学3年生だったんですけど大人の世界を垣間見た気がして、少し背伸びした状態がしばらく続きましたね。

■その原体験が「バンドやろう!」につながったんですね。

そうですね。ベンチャーズ世代の人とは、そのへんがちょっと違ったんですね。



ギターは独学です

■でも、それが物足りなくなって楽器が主役のバンド、「カシオペア」結成へとつながるんですね。何かお手本になるようなバンドはありましたか?

うーん。お手本になるようなバンドはなかったですけど、当時ジェフ・ベックがインストのアルバムを出しましたね。
で、ちょうどカシオペアを始めたころにサンタナの「哀愁のヨーロッパ」が大ヒットしたんですね。ディストーションのかかったギターサウンドのインストゥルメンタルが世に出始めたころですよね。「こういったものでもリード楽器として成り立つんだな」って思ったんです。

それとひずんだ音なんだけど、ロックのフレーズじゃないものにしたい、と思ったんです。
ロックバンドをやっているころに、ジャズ喫茶によく通っていて、「この音は、はずれているのにはずれていないぞ。なんでだろう?」と、それでテンションノートとかを知って。これはジャズ理論を参考にすると、ペンタトニックというロックの、これさえ弾ければ大丈夫、っていうところから脱却できるかなって気がしたんですよ。
その後ジョー・パス・ジャズスタイルという洋書と出合って、表紙が気に入って買ったんですが(笑)。それを見たらオルタードスケールとか基礎理論が書いてある。「なるほどなあ」ということで、それを参考にして曲作りをやりはじめたんです。

■じゃあどなたかに習うことはなく......。

なかったですね。完全に独学です。ずいぶんと遠回りしてきたな、という感じはしますけどね(笑)。

---カシオペアの取材(「We Love Music」インタビュー)以来の野呂さんでしたが、変わらず丁寧な口調と、大人な物腰で、それはステキな方でした。なんといっても、「ページ、拝見したことありますよ。(渡辺)香津美さんとかよっちゃん(野村義男さん)が出ていましたよね」、と開口一番「ギターラボ」の話をしてくれたのが、担当としては一番うれしかったです! 次回もどうぞお楽しみに。



●撮影・文:Yahoo!オークション ●写真提供・協力:株式会社カシオペアインターナショナル
●協力:株式会社キューアンドカンパニー ●ジェネオンエンタテインメント株式会社



「CASIOPEA + Synchronized DNA / SIGNAL」ジャケット画像【ニューアルバム「SIGNAL」】
12月21日、ジェネオンエンタテインメント株式会社より発売
3,000円 (税込)
日本最強のフュージョングループCASIOPEAと、まさに細胞までがシンクロされたSynchronized DNAのダブルドラムが合体!
【収録曲】
01. AWAKEN(Issei Noro)
02. MIST(Minoru Mukaiya)
03. 心奥KOKORO-CK(Yoshihiro Naruse)
04. WILL YOU LOVE ME TOMORROW(Akira Jimbo)
05. ESCALATION(Issei Noro)
06. ASOBIにつれてって(Yoshihiro Naruse)
07. LIFE LONG SERENADE(Issei Noro)
08. PITY(Yoshihiro Naruse)
09. ARDENT(Minoru Mukaiya)
10. PAST AND FUTURE(Issei Noro)
?DAWN、?STRAIN、?SORROW、?TESTED、MENTALITY、?UNLIMITED

全10曲収録
●PERSONEL:CASIOPEA:野呂一生(G)、向谷実(Key)、鳴瀬喜博(B)、Synchronized DNA:神保彰(Ds、Left-channel)、則竹裕之(Ds、Right-channel)



野呂一生さんオフィシャルサイト
神保彰さんオフィシャルサイト
則竹裕之さんオフィシャルサイトへ



登場アーティスト

キーワードで検索!

キーワード : カテゴリ指定 :    
検索オプション