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森岡賢さんインタビュー Vol.2

森岡賢さん元SOFT BALLETのメンバーでキーボード・プレイヤーの森岡賢さんのインタビュー第2弾! どうぞお楽しみください。



森岡賢さん愛されたくて作った虚像

■最初5人だったお客さんがどんどん増えて数千人になり、森岡さんがなりたかったロックスターになれたわけですが、それはその後の森岡さんにどんな影響を与えましたか?

うん。これはこれからデビューしようとしている子たちに言いたいことなんですが、クラスの人気者は、やはりクラスの人気者でしかなくて、本当の意味での人気者、数千人、数万人を集められる人になるにはストイックさを失ってはいけない、ということですね。


これはこの歳になってわかったことですけど。というのは、言葉は悪いですが僕自身が「人のだましかた」や「人の心のつかみ方」を二十歳くらいのころにはすでに知っていたんです。もっと言うと「売れ方」とか「ヒットのさせ方」までわかっていたと思うんです。ちょっと奢(おご)ったいい方ですみません(笑)。
ただ、実際パンドラの箱は開けるべき人が開けるもので、そうじゃない人が開けちゃうと「魔」もいっぱいやってくるんですよ。甘い考えで売れちゃうと、その後すごく大変なことが待っているんです。それは僕が身をもって体験したことです。今だから言えるんですけど、売れれば売れるほど苦痛でした、ほんとは......。

■それは実際の自分とのギャップというか......。

ギャップというか、そうですね。マリリン・モンローのドキュメント映画をごらんになったことありますか?

■ええ。マリリン・モンローという虚像と、ノーマ・ジーンという本当の自分の間にあるジレンマで苦しんだお話ですよね。

そうです。まさにあの心境ですね。僕も彼女と同じで、人から愛されたくて、人気者になりたくて、ウケたくてモテたくて......。それが僕を動かしていたコアだったんですね。純粋にいい音楽で、土屋(昌巳)さんみたいにいい音を追究してっていうのではなく。そういう部分は藤井(麻輝)君が請け負っていて、僕はとにかく愛されたかったから。もちろんそれが曲にも反映されていたわけだけど、愛されれば愛されるほどどんどんどんどん自分がなくなってきちゃうんです。どれだけ華やかなステージでお客さんに愛を振りまいたりしていても、家に帰ると部屋の片隅でガタガタ震えているような。そんな日々でしたね。まあ、とはいってもそれが何万人規模で動員できるほどすごかったとしたら、もうこうして生きていないかもしれませんね。



森岡賢さん振り返ると、いい仕事したなと

■SOFT BALLETの森岡賢と、本当の森岡賢の間での葛藤ですね。

ええ。当時はそうでしたね。大変でした。
廃人みたいでしたよ、ステージとメディアに出ているとき以外は。SOFT BALLETがブレイクするちょっと前あたりのころなんですが、都心に住んでいたんですね、僕。でもそこはよくないからってことで、ちょっとはずれたところに引っ越したんです。そしたら当時学生だった及川光博君がね、電車のなかで僕を見つけたらしいんですよ。当時オフのときの僕は、ピエロの休日っていうか、ジャージ姿に半分黒髪の混じった汚いブロンドで(笑)、コンビニの袋を提げて乗っていたらしいんです。それでも気づいた及川君が「あ、森岡さんですよね? 握手してください」って(笑)。僕は覚えていないんですけど。で、及川君は「仕事をしていないとこんなふうになっちゃうんだな。僕はちゃんと仕事をしよう」と、僕を反面教師にしたという......。

(一同笑)

ただね、今振り返ると、がんばったなーと思えるし。いい曲も作れたし。自信を持って「これは僕の書いたSOFT BALLETの曲です」って言えるものもできたなって思います。でも、まあ......、ステージの上を天国だとしたらそれ以外は地獄に近いものだったかもしれませんね。



森岡賢さん



森岡賢さん消化不良の再結成

■再結成を一度されましたよね。そのときはそういうものは吹っ切れて......。

うーん。あれは僕にとって再結成であって、再結成でないというか......。うーん、なんだか消化不良な感じがありましたね。
というのは、結成当初は3人が仲間意識を持ってやっていたんですが、それがいつしか、3人ともアーティストとして当然のようにエゴを抱えるようになっていったんですね。ひょっとして最初にそれを出したのは僕かもしれませんが。ようするにバンドが噛(か)み合わなくなった状態で解散したんです。本当は自分ひとりで立っていくことはできないのに、みんな「ひとりでもやっていける」って思ったんですね。
僕としてはこのあいだの再結成で、みんなでお風呂に入れるくらいのレベルになってやりたかったんですけど。僕自身にも反省点は大いにあるのですが、ビジネスライクになってしまったなあと。それが消化不良な感じなんですね。もちろんバンドとしてアルバム(「MENOPAUSE」2003年10月29日リリース)も残したけれど、正直なところを言うと、僕はSOFT BALLETとしてのアルバムではなかったかな、とちょっと思っています。



森岡賢さん日本人ならではの観点

■やはり、一度こじれちゃうと時間が解決できない問題もあるのかなあと思うんですね。音楽活動ということ、形として何か残さなくちゃいけない契約的な問題もあるでしょうし。音楽的に真摯(しんし)なものと、売れなくちゃみたいなものの折り合いがつかなくなっちゃうんでしょうか?

そうですね。今まではそれを両立させることがビジネスとして求められていましたけど、その辺がだんだんいい意味で変わりつつあると思うんです。「売れ線とはこうである」みたいな定義が、今はもう崩れちゃっていますよね、いい意味でね。
本当に音楽を愛していたり、本当に伝えたいことを持っている人が生き残れる時代にしていくべきだと思うし。その辺の変わる空気みたいなものを感じますしね。そういう葛藤(かっとう)は必要なくなっていくんじゃないかなっていうふうに思えたりもしていて......。僕はそういう部分は、欧米より日本のほうが進んでいるような気がしているんです。
SOFT BALLETのころはヨーロッパやニューヨークのほうが、日本よりはるかに土壌がいいと思っていたんですよ。当時のスタッフの方々はそういう提案には乗ってくれなくてね。悔しかったですけど、一番悔しかったのはプロディジー(The Prodigy)が出てきたことですね(笑)。今SOFT BALLETやX JAPANのようなビジュアル系の音楽が、ヨーロッパやアメリカですごくウケているんですね。そうやって考えると、次はアジアなのかなと。

坂本龍一さんと小室哲哉さん。お二人はまったく違ったアプローチでご自身の音楽をプロデュースされてきた方たちで、僕も大変敬意を感じているのですが、それぞれ「音楽で地球を救おう」みたいな活動をされていますよね。僕はあまりそういうのは得意じゃないんですが......。でもそこには日本人ならではの観点というのを失っちゃいけないなと思うんですね。もし僕が「音楽で地球を救う」みたいな企画に向き合うことができるとしたら、その日本人ならではの観点で向き合いたいと思っています。ヒットするとかではなくて、そこが大事なのかなと。でも、こんなふうに考え出したら音楽やる必要なくなっちゃうなとは思うんですけどね(笑)。



森岡賢さん



森岡賢さんいまだに葛藤が

■お話をうかがっていると、森岡さんご自身のなかにある両極が、行動の原点にあるような気がしますね。森岡さんを挟んで天使と悪魔がいて、それぞれ誘惑するような図というか......。

ああ、そうかもしれないですね。いまだにその葛藤みたいなものはありますね(笑)。それこそアイドル歌手になったほうが楽だったんじゃないの、とかね。そんなに楽なものじゃないでしょうけど。ほんとはかわいい女性とかに「わー、きゃー」言われたくて曲を作ったのに、レコード会社の偉い方たちに言われちゃって、あれ? おかしいなー、みたいなこともありましたね(笑)。



【森岡賢語録その2】

●ギターラボはよく読ませていただいています。土屋さんのインタビューには、お酒の席でご一緒させていただいた時に聞いたお話と同じものがあって、「おー!」って感じでした(笑)。最近ではジム・オルークのインタビューがおもしろかったですね。あの方にすごく興味がわきました。ああいう普遍的なものを取り上げていらっしゃる、っていうところもいいですよね。

●僕が日本人で好きだったアーティストは、細野(晴臣)さんとYMO、そして土屋昌巳さんです。僕はキーボードですが、土屋さんのギタースタイルからパフォーマンスから、ポップな音楽への取り組み方、それもかなり奥深く追究されているところ、なんでもできちゃう懐の深さ......。あんな、職人とアーティストと仙人が混在しているような人って、ほかにいないですよね。でも皮肉かな(笑)、 僕は土屋さんにあまり好かれていないようですが......(苦笑)。
(ギターラボの)インタビューにあったように、土屋さんはギターやその周辺のプロダクトにもすごく神経を使われる方でしょ。音作りのうえで当然それは必要なことなんだと思うんですよ。でも、僕はそういうことにかなり無頓着(むとんちゃく)で、ありもので「バン!」っと音が出ればいいやと......(笑)。こだわりを持ってやる人には、多分そういうところがなんと表現したらいいかわかりませんが、うざいというかうとましいというか、きっとそうなんですね。まあ、その両方が引っ張り合うことで相乗効果をあげるのだろうと信じていますけれど......(笑)。

●SOFT BALLETも、藤井麻輝が土屋さんのようなタイプで、MacもEMU (サンプラー)などもいち早く手に入れて取り組んで、自分で波形を作ってドラムの音を作り出したり。なんでもトライしていたんですね。本当はそれも立派なアートで、立派な音楽ですよね。
僕は当時、子どもだったので、まあ今でもそうなのですけど(笑)。それを素材ととらえ、「おお! すごい」と玩具のごとく自分の曲に取り込んですぐに使ったりしていたのですが、もちろん、僕のそういう部分だけではダメで。彼のきちんとしたロジカルな部分と相まってさらなる説得力が生まれたんだと思うんです。僕はシンセサイザーでいうならば、インターナルの音をそのまま使っちゃうタイプなんです。それか、アナログでとことん凝(こ)って、納得いくまでやるかのどちらかなのですが......。



---ディープなお話が続きましたね。森岡さん、飾ることなく本音を正直に話してくださいました。次回最終回は、これからのことをお聞きしました。どうぞお楽しみに!



●文、撮影:Yahoo!オークション






森岡賢さんオフィシャルサイト



読者コメント(2件のコメントがあります)

KENラブ☆25歳さん
コメントありがとうございます! 森岡さんついでにYahoo! JAPANもおほめいただき光栄です♪ 森岡さんの今後の活動も楽しみですね。

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年3月23日 18:35

森岡賢さんのファンになって半年程になります。職場の先輩がSOFT BALLET のファンで森岡賢さんを初めて知りました。
見た瞬間!!すごく綺麗な人だなぁ〜、何てイイ声なんだろう‥と衝撃的でした。
それから携帯で森岡賢さんを検索して調べたり画像や着うたをダウンロードしてCDを購入したり‥でも、森岡賢さんの情報は少なくてファンサイトも閉鎖状態で、もう手がかかりがないのかと諦めかけていました。
そんな時にもう一度、ファンサイトを開いてみたら新着情報が載っていて死ぬ程、嬉しかったぁ!!!
Yahoo!最高ダァーッ☆☆☆
しかも画像付きなんて更に嬉しかった!!
ありがとうございます!!!
森岡賢さん大好きデス!!!!!
これからもずーっと応援していきます!!

投稿者:KENラブ☆25歳 | 投稿日:2007年3月19日 05:18

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