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宮内和之さんインタビュー Vol.5

宮内和之さんICEのギタリストで、Gibson USAがエンドースする数少ないギタリストの一人、宮内和之さんインタビューの第5弾! いよいよ最終回です。



宮内和之さんカッティングをするならゴールトップのレスポール

■ギブソン以外ではどうでしょう?

59年のストラトがありますね。
でもカッティングで呼ばれたときは、僕はできるだけストラトでケリをつけないというか、ハムバッキングのカッティングをする人というタイプを目指しているんですよ。そういうギタリストが好きでね。
ストラトでカッティングっていうと、Charさんもいるし。僕らの世代で影響受けていない人はいないしね。そこへストラト持って出て行くのは、ちょっとダメだろうなと。「オレはレスポールで」と。カスタムとかは鮎川(誠)さんが持っているし。言い出せばキリがないんだけどね。
ゴールドトップ持ってカッティングっていうと、タワー・オブ・パワーのブルース・コンテという人がすっごく好きで、その人の影響を受けているので、カッティングをするならゴールトップのレスポールという意識があったからね。
そのゴールドトップは注文して探してきてもらったものなんです。「70年代に使われていたような音が鳴るゴールドのレスポールがあったら」って。50年代のものになると1千万とかしちゃうからね。でも、そのころはすっごく安く買えたの。僕のはたまたま60年代のをギターショップの人がテキサスがどこかで見つけてきてくれて、「どうですか?」と。弾いてみたら「すばらしい!」と。ほかの人が弾いたらどうも弾きにくいらしいんだけどね。ネックがちょっと太めだから。僕は太めの方が好きなんだけどね。使い続けているからどんどんよくなるでしょう。1996年に入手したので、もう10年くらい使っていますね。ライブになると新しいギブソンも使ったりしますけどね。




宮内和之さん寛大な計らい

■ライブでは変えたりしますものね。

うん。僕のはギターもオールドだけど、アンプもオールドでね。会場ごとにぶっ壊れたりするのよ。新しいとそういうこともないでしょ? で、新しいほうがヌケがよかったりするのよ、ライブだとね。オールドだと、PAを通してドーンっと出すと音のオーラが抜けちゃったりしてるんだよね。まわりがなくてまんなかの音だけになっちゃうようなね。そういうことが意外とあって。ギブソンから提供していただいている新しいのは、スタッフからも評判がいいしね。そういうことでうまくまかなえているという感じですね。

■なるほど。話は変わるのですが、昨年(2006年)のギブソン・ギターショウでのICEのライブで、宮内さんギブソンじゃないギターで登場しましたが、あれは笑いを取ろうと?

(一同笑)

違う、違う(笑)。あれはね、過去に何回ものあるのよ。
弾いている最中に気がついてソロはずしたりね、「あ、やべえ!」って。でもね、あれは「Morning Dew」って曲なんだけど「これはストラトじゃないとこの感じが出ない」って言ったら、聴いてくれて「そりゃそうだろう」とギブソン側が使用を快諾してくれたんですよ。

■寛大ですねー。

うん。僕には甘いんだよね。本社の偉い人が来ているときにも、ニコニコして「いい音して るね、そのストラト」ってね。

(一同笑)

まあ、間に立ってくれている人がICEのことをすごく好きでいろいろやってくれたので、本社の人たちもすごく好意的なわけ。ギブソンファミリーみたいな扱いをしてくれるのね。CDを送っても喜んでくれるしね。
前にこのギター(ギブソン・ファイヤーバードの宮内さんモデル)を作ってくれたときも、作ったっていう人がメンフィスから来て、僕が弾いているときに顔を思いっきりギターに近づけて見てるわけ。「誰こいつ? どけよ」みたいなね。終わってから「ギターどうだった? 僕が作ったんだよ」っていうわけですよ。これはプレゼントしていただいたんです。僕の名前が入ったファイヤーバードで、契約したときだから1998年かな。

実は、ギブソンは2回も誘ってくれたんですよ。最初にお話をいただいたときは、僕はESPと義理があったから、そう言ったのね。ESPの稲垣さんは「あ、どうぞ。ウチは2つ契約していても全然かまいませんから」って言ってくださったのね。でも、ギブソンはアメリカということもあって、「ウチにするか、そっちにするかどちらかにしろ」と。僕は今まで話したように人に助けられてここまできているので断ったんですよ。「すみません。義理があるんで」と。
そしたらその1年後、SHIBUYA-AXのライブ会場まで来てくれて「そこまで言ってくださるなら、お願いします」ということになったんだけどね。でも、もっとほかの人がいいんじゃないかって言ったんですよ。もっと商売になる人。いるじゃない? そういう人。「よかったら紹介するよ」って言ったのね。

(一同笑)

「いや、でもいい」って言ってくださって。

■好きだったんですね。宮内さんの演奏も。

そうみたい。なんでだろう? カッティングばっかりやってきたのにね(笑)。




宮内和之さんギタリストとしてグルーヴを作ることを追究

■カッティングというとやはりシングルコイルのストラト、みたいになっちゃいますよね。

でしょ。全然違うんだよね、僕のなかではね。
さっき全然弾いてなかったみたいなこと言ったけど、すっごく研究したもの。18歳のときに、六本木までファンクのコンファンクションってバンドの演奏、見に行ったもの。僕がコピーしたのと全然違っていたので。六本木の友だちの親がやっているお店に、コンファンクションがハコバンで出るって聞いて見にいったら、もう全然違うのね。
ジェームス・ブラウンのギターもシングルのカッティングじゃあの音が出ない。なんでだろうと映像を発掘してみたら、ファイヤーバードでやっている。「こりゃあ違うさ」と。
カッティングの歯切れが違うでしょ。実際ファイヤーバードでやってみたら「おお!」と。奥行きが全然違うんだよね。
シングルだとおんなじプレイはできるんだけど音の深みが出ない。バリー・ホワイトの「愛のテーマ」も、もうずーうっとコピーしていてそのために(ES-)335買ったりしてね。多分これはハコモノの音だろうと、絶対にシングルコイルの音じゃないのよ。そしたらこのあいだ、このあいだだよ。You Tubeで判明したの。レスポールカスタムだった。センターでね。やっぱりなと。
多分だいたいはハムバッキングで解決する。僕はICEでは解決させている。さっきの「Morning Dew」とヤッチー(平松八千代さん)のアルバム以外、何年もレコーディングでストラトでカッティングはしていない。

■なるほど、そうだったんですね。すごいこだわり。

うん。そこまではすごくやったな、と自分でも思いますよ。
グルーヴにかかわってくる問題だから、奥行き、間だよね。チャッ、チャッって切れちゃってると、どうも次の音符までの間が体感的に気持ち悪いっていうのがあるんだよね。もっと粘っこいはずなのに、出ないなーと。そういうことばっかりオタクのようにやっていましたね。
みんな早弾きだとか、フレージングだとかにいくんだけど、そこまでいかなくてさ(笑)。もうチャッチャだけで。それだけで成立させられたらカッコいいなあと。単音カッティングでオレは飯食えるなって思ったの。でもそんな需要がなくてさ(笑)。

(一同笑)

ダンスマンの曲を作ったことがあって、レコーディングに呼ばれたの。あの人はJADOESから始まってキャリアもすごいでしょ。で、ドンズバなの。「カッティングはこう入れて、単音はこうで」って。で、演奏したらすっごい喜んでくれてね。やってきてよかったなーと(笑)。ブラコンものの単音カッティングってあるじゃない? メチャメチャ自信あるんだ(笑)。

■そういう極め方もあるんですね。

そうなのかもね。高3でヴァン・ヘイレンまではできたの。

■うわー、すごいじゃないですか!

(笑)うん。その後、なんたらマルムスティーンってのが出てきて、そのあとそういうのがいっぱいね。で、世の中早弾きブームみたいになっちゃって。ギターソロっていったら、みんなそんなんなっちゃってさ。これじゃ踊らないだろうと......。

(一同笑)

ヴァン・ヘイレンのすごさはリズムのすごさだから、バッキング、カッコいいと思っていたんだけど。それでちょっと弾かなくなったってのもあったのね。以前、雑誌に書いたんだけどプロのバンドの年長のひとたちに呼ばれていって、ギター弾いたんだよね。そしたら「おまえ、カッティングいいなあ。サイドギター向きだな」って言われたときはなんかバカにされたような気がしてさ、そのころは。でも今は違うなって。
グルーヴを作るという立場。ギタリストとしてグルーヴを作るっていうのを、追究してきて、終わったと(笑)。




宮内和之さん魂こめて

■いやいや、何をおっしゃいますか(笑)。まだまだこれからですよ。話は変わりますが、 今後の活動についてお聞かせください。

うん。アルバムを作ろうと思っていて、今作曲ばかりを狂ったようにしているところですね 。夏ごろにはレコーディングを終わらせようと思ってはいるんですが。やっぱり、バンドに戻ろうかなと。
もうほんとに10何年いっしょにやってきて、それもなかよしこよしでやってきたわけじゃなくて、やっと集めたメンバーでね。バンドなんてさ、カッコで括ったところを話すようになったら、もう終わりなのね。「こういう感じ」って言ったときに、「ああ、ああいう感じね」って出てくる。「こうでしょ?」って。そうじゃなくて、いろんな意見が出てくるとただ意見が多いだけで本質には行き着かなかったこと散々経験してきているから。彼らとはそういうことがないから、やっとね。
デビュー当時、そういうバンドができなかったから「ライブやりません」って僕は言っていたわけだから。それがやっとできてきてね。

ギターショウの前にイベント的なライブをDUOでやったんだけど、そのときの演奏がすげえよくて、みんな歳同じくらいだしさ。こういうバンドは日本にはちょっといないし、多分出てくる土台が今の日本の業界にはないと思うのね。すると、このバンドで演奏することが新しいことになれば、それでいいかなと思っていて。バンドを意識して、打ち込みをしないで作ろうと思っているんですよ。

誰でもプロになれる時代になったでしょ? そういうなかで違いは何だ、ってことでいうと、なんか「人の心」というか「魂」というか、そういうものだと思うんですよ。
クライブ・デイヴィスというアメリカ音楽界の大物だった人の書いた本を読んだら、同じようなことが書いてあったんですよ。「誰が弾いても同じ"A"なのに、なんでこいつが弾く"A"は違うんだ。こういうやつがプロになるんだ」ってね。山あり谷ありを経験したきた者たちが、ミュージシャンとして魂のこもったものを出す、ということが今一番大事なことなんじゃないかと思うんです。そんなレコーディングに突入しようとしています。




---さあ、いかがでしたか? ギタリストとしてグルーヴを作ることを追究する、実に理にかなった、しかもカッコイイ姿ですよね。参考になったと思います。宮内さん、ありがとうございました! 次回から、宮内さんの新コーナーもスタートします。どうぞお楽しみに!



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2006年5月24日リリース。約3年ぶりとなるアルバム。多彩なサウンド、秀逸なメロディーとエレガントなヴォーカルで、洗練されたポップスに昇華させている。その手腕はやはりさすが。(Yahoo!ミュージックより)
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●写真、文:Yahoo!オークション
●協力:株式会社レイトリーミュージック、スタジオTYPHOON






ICEオフィシャルサイト



読者コメント(6件のコメントがあります)

魂こめてこその「音楽」ですよね。
>xさん

そうですね。次はぜひ、国岡さんも!
>yatiさん

宮内さんは「ほんもの」です。
インタビューでも数箇所「ボツ」、ありましたよ^^
>gonzoさん

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年5月18日 15:47

洋楽しか聴かなかった私がCDを買った(買い続けている?)唯一の邦楽アーティストがICEです。宮内さんはギタリストだけでなく、作詞家作曲家としても最高だと思ってます。
いい年してICEの曲で何度泣いた事か!

ライブで宮内さんが歌うコーナーがあるのですが、
右翼に怒鳴り込まれた、というエピソードがあるぐらい
政治やマスコミを揶揄するような歌詞を歌います。
「どうせ日本はアメリカの田舎」と歌った時、
この人こそがROCKだ、とサブイボ立ちました。

新作待ってます!!

投稿者:gonzo | 投稿日:2007年5月16日 03:49

よかった〜新しいアルバム聞けそうですね。次回インタビューはユニットでぜひ登場願います。

投稿者:yati | 投稿日:2007年5月15日 23:59

素晴らしいインタビューありがとうございました。
宮内さんの過去が知れてよかったです。
次回は新作と併せてギタープレイの部分での突っ込んだ話を聞きたいです。
もっとギタリストとして取り上げられていい人だと思うんだけどな〜、宮内さんの弾く“A”は魂こもってますよ。

投稿者:x | 投稿日:2007年5月15日 10:40

>wさん
ご丁寧にありがとうございます! 宮内さんにもう一度念を押してインタビュー予約します♪

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年5月 8日 21:10

ぉお!インタビュー第5弾まってました。
今回もたっぷりと鯉はなしを楽しませて貰いました。

ほんでもって、夏頃にはニュウアルバム(かも)!
そのうえ、国岡さんとツーショットでインタビューと追い打ちの予告まで!

中身の濃い全5回のインタビューありがとうございました。

投稿者:w | 投稿日:2007年5月 1日 21:29

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