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宮内和之さんインタビュー Vol.3

宮内和之さんICEのギタリストで、Gibson USAがエンドースする数少ないギタリストの一人、宮内和之さんインタビューの第3弾! いよいよICEデビューです。



宮内和之さん勉強させていただいた作曲家時代

(アポロンでの)デモテープのできがあんまりよくなくて、どうするかと。そのなかにJCM(Japan Central Music)という原盤製作会社があって、「曲はいいわけだから、作曲家として曲を提供することにしよう」となったのね。僕も23、4歳になってたし、「もうこれ以上ないだろう」ということで「はい、じゃあがんばります」ってその仕事をうけたんです。これがまた全然ダメでさ。
ほぼ3年近く、まったく採用されないという挫折の日々......。



■うわー。

うん。ただ、そのときにすごく勉強させてもらったことがあるんですよ。当時のアポロンの一番の稼ぎ頭はアン・ルイスさんのカセットだったのね。桜井さんはディレクターだったので、「あゝ無情」とか「六本木心中」とかのデモ段階の音源から聴かせてくれたの。「曲っていうのはこうやって作るんだよ」ということでね。
歌とギターだけ入ったやつから始まるんだけど。僕は曲を作るとき、アレンジまできっちりやっていたので「それじゃどんな曲かわかんないじゃん」って言われていたのね。曲ができるまでの過程っていうのを、アン・ルイスさんのものだけなんだけど、いくつも聴かせてくれたね。はじめに歌とギターだけのデモがあって、「はい、採用です」で、次「もう少しちゃんとしたデモを作ってもらいました」、今度アレンジャーの佐藤準さんに入ってもらって、「こういうアレンジになりました」と。
あと、伊藤銀次さんが譜面を送ってくるんだけど、カセットに入るくらいの小さな譜面なのね。僕は読めないんだけどさ。それを見てディレクターとかが「これはいい曲だね」とか言ってるわけ。「なんで?」って聞くと、「メロの起伏がこうなっているから」とか教えてくれるんです。まずメロディーありき、ってことを得たことがすごく大きかったんだなあ、とICEになってから思いましたね。サウンド先行ではなく、まずメロ、っていうね。そうすると「オレの曲はなんなんだ?」って考えるようになったね。
歌詞なんかもすごい作詞家の先生が書いてきたのを巡って、論争が起こるわけ。「てにをは」でね。「これはやっぱりイヤだなあ」「でも、ご本人はここの"は"は変えられないっていってるよ」「じゃあ誰が電話すんの?」みたいなね。そんなことで論争になるんだあって。歌謡界も一番いい音楽の作り方をしていた最後のころだったのかもしれませんね。

一同:うーん。




宮内和之さんカッコイイだけじゃダメなんだ

そういうことを教えてもらって、「だから君はもういちどやり直し」ってね(笑)。

■それまでの宮内さんは、サウンド的なアプローチをしていたんですね?

そうですね。「このギターのリフ、カッコよくない?」そんな感じだよね。曲として成立させるにはどうする? っていうのが決定的に欠けていたんだね。

■そこから作るスタイルは変わりました?

極端に意識して変えよう、というよりは無意識に変わったんだと思う。それまでは果たしてメロはどうなのか、っていうところにはいかなかったからね。「全体でカッコイイじゃん」と。カッコイイったって当時のちっちゃなドラムマシンとギターくらいで「カッコイイ」もしれているけどね(笑)。でも、それくらいの意識でやっていましたね。




宮内和之さんたどりついた正解は「邪魔な扉はオレ」だった

■なるほど。ICEの結成は何年でしたっけ?

1992年かなあ、もっと前かもね。公式には1993年から。
じゃあ、その辺のことを踏まえて、もう一度やってみるかと。そのころマネージメントしたい、と言ってくれる方が現れたんですよ。僕の友だちが原宿のライブハウスでデビューするかもしれないということで、ギターを弾いたのね。そこでキーボードの人が「なんかすごくないですか? 宮内さんって」ってことになり、「やりましょうよ。僕メンバー集めますよ」って言ってくれたのね。
それでドラムとかみんな集めてきてくれたなかに国岡(真由美さん:ICEのボーカリスト)もコーラスでいたのね。何度かライブをやっていくうちに、どんどんメンバーチェンジがあって、知り合いも増えていって、「マネージメントしたい」という人が現れたんです。「いいドラマー、知りませんか?」って聞いたら、紹介してくれたのがウチの山ちゃんで。そこからバーンといくはずだったのね。でも最後の難関があってさ。
それは僕のボーカル。あきらかにそれが原因だなって分かっていたの、この「華」がない理由を(笑)。それで合間に、コーラス2人用にポップスを作って、その子たちが歌うコーナーを設けたの。それがまたすごく評判がよくって(笑)。「あれ? オレ?」

(一同笑)

「じゃあ、そっちをメインにしたライブをやってみないか?」ということでやってみたの。それがえらい評判よくてね。僕もギター弾いてるの気持ちいいしさ(笑)。
「これけっこうよくない?」って。そうしたら東芝からすぐ声がかかったの。なんだかんだいって、何かやるとレコード会社から声はかかるの。でも、そこから先にいかないっていうね。そのときはうまくいってね。僕よりもキャリアも経験も豊富なメンバーのおかげで、とんとん拍子に進んでいったのね。「何もかもオレがやるんだ」っていうのをやめたら、いい方向に動いたんだよね。最後は自分が敵だったという......。邪魔な扉はオレだった、というね。これはけっこう人生だなって、今でも思うよ。

(一同笑)

写真:愛器ギブソン・ファイヤーバードと宮内和之さん




愛器ギブソン・ファイヤーバードと宮内和之さん



宮内和之さん自分のギターは持っていなかった

そのときに「ギター、けっこういけてない?」って言われて「やっぱり?」って(笑)。じゃあそろそろ弾こうかなって。

■ギターとのスタンスって、そのころそんな感じだったんですか?

そう。あのね。ギターをずーっとやってくると、ギターが入った音楽に飽きてくるというか、ギターが入っていない音楽が新鮮だったりするわけ。ピアノトリオとか、いいなって。「ギターで構築するのはもうズレてるな」って思っちゃっていた時期だったのよ。
お披露目ライブをやったときには、人の紹介で、もうすでにESPがバックアップしてくれることになっていたんですよ。当時ESPで、今SCHECTERにいる宮崎さんという方が、まだデビューもしていないのに「宮内さんのカッティングすごいから、どんどんウチのギター使ってください」って、よくしてくれたんです。「ありがとうございます! じゃあギター持とうかな」って(笑)。ホント助けられているんだよね、僕は。それで、ギターを弾いていてくれた2人には「ありがとう」みたいな。

(一同笑)

でも彼らも「そのほうがいいと思うよ」って言ってくれて。彼らはもうギターで食っていたからね。今でもまだ食ってるし。それでギタリストとしてギターを前面に出してやろうと決めたのは(ICEの)2枚目からなんだよね。まあ、1枚目から「ギターが、ギターが」って言われてはいたんだけどね。僕としてはちょっとしか弾いていなかったつもりなんだけどね。
1枚目出して、すぐにライブをやらなくちゃいけなくなったんだね。そのときにシンコー(ミュージック)にいたんだけど、シンコーのロックの人たちが「ギター、ギター」っていうものだから、「じゃあ」......「じゃあ!!」って(笑)。でも自分のギターも持っていなかったんだ。

(一同笑)

■ええー!? そうなんですか?

うん。3枚目のアルバムで「kozmic blue」という曲を出したときにテレビに出なくちゃいけなくなって、アコギ持ったほうがいいな、ってことで買ったんだよね。そのときまで自分のギターっていうのを1本も持っていなかった。

一同:はあ?。

あははははははは(笑)。




宮内和之さんかわいそうなギターたち

■それはまた信じられない話ですね(笑)?

借りていましたね。「テレビに出るので、色味として赤いストラト(キャスター)貸してください」とか。終わったら返して。持ち運びがイヤだからさ。

(一同笑)

■そこからギターのお話にもっていこうと思うんですが。まさかそんなこととは努々(ゆめゆめ)思っていませんでしたが、それ以降は自分で買うように......。

猿のように買っていました。

(一同笑)

まあ、家ではギターべけべけ弾いていたし。高3まではよくいろんなギタリストが言ってるみたいに「ギターといっしょに寝てる」みたいな、本当にそうだったの。自分で「オレおかしくなるんじゃないの?」って思ったくらい。自分の部屋に入って、イスに座ってギターを持つ、ここまでは無意識なんだよね。「何やってるんだ、オレ?」みたいなね。本当に一日中弾いていたからね。好きだったからね。デビューしたてのころ、宣伝の子が有名な「P誌」の特集をとってきてくれたのね、こんなぺーぺーに。でも持ってないじゃん。

(一同笑)

しょうがないからさ、事務所に前借りして(笑)。向いに宮地楽器ってのがあってさ。そこで買って......。最低だよね。

(一同笑)

■それはご自身で選ばれたんですか?

うん。ストラトも欲しいしさ。あと(ギブソンES-)345、茶色いセミアコとか、12弦とか選んだかな。1本も残っていないよね。そういう買い方をしたギターは。もったいないことしたと思うよ。




---いよいよICEとしてデビューした宮内さん。ご自身のギターがなかった、なんてびっくりですね。次回もどうぞお楽しみに!



DVD「ICE / RIGHT NOW!」ジャケット画像最新アルバム「ICE / RIGHT NOW!」

2006年5月24日リリース。約3年ぶりとなるアルバム。多彩なサウンド、秀逸なメロディーとエレガントなヴォーカルで、洗練されたポップスに昇華させている。その手腕はやはりさすが。(Yahoo!ミュージックより)
発売:BBMC



●写真、文:Yahoo!オークション
●協力:株式会社レイトリーミュージック、スタジオTYPHOON






ICEオフィシャルサイト



読者コメント(4件のコメントがあります)

wさん
コメントありがとうございます!
そうですね。ICEの露出もめっきり。。。ですよね。
でもご安心ください! ギターラボでは、今後も宮内さんとICEをフォローしていくつもりですよ。ご期待くださいね♪

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年4月17日 11:59

興味深く拝見させて頂きました。
最近はICEもめっきり露出が減り淋しい限りですが、こうして特集を読めて嬉しく思います。
次回以降もたのしみにしております。

投稿者:w | 投稿日:2007年4月11日 21:09

ひろきさん
コメントありがとうございます! ICEは玄人ウケする、と昔雑誌で読んだ気がします。ぼくは玄人ではありませんが、いい音楽は時代も世代も超える、と信じています。次回もお楽しみに!

投稿者:ギターラボ編集部 | 投稿日:2007年3月28日 20:04

今回も非常に楽しく拝見させて頂きました。あまり、宮内氏
のデビュー前の話って、あまり聞く機会が無かったので。それにしても、是非またライブをやって欲しいです。妻と「いつか行こうね」と言いつつ、時間の折り合いが付つかず、無念の日々を送っております...。以前ICEの「TRUTH」のビデオ映像の中で、宮内氏が「俺達の音楽は、そーなんだよ、そこなんだよ!みたいなのが分かってる人が聞いてくれてると思う」みたいな発言されてましたが、その通りだと思います。きっとICEが好きな人は音楽的視野が広い人だと思うんですよね。次回も期待も楽しみにしてます。

投稿者:ひろき | 投稿日:2007年3月25日 19:32

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