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松原正樹さんインタビュー Vol.3

今回は松原さんがギターを弾くようになったきかっけや、スタジオワークでのお話をお聞きしました。



■ギターを弾くきっかけや松原さんに影響を与えたギタリスト、音楽などについて聞かせていただけますか?
松原正樹さん 夜の海辺でかっこよく......
う ちが水商売やっていて、おやじが変わり者でね、春には花見茶屋やったりとかね。ぼくが中学のときの夏には海の家みたいなことをやっていて。そこにアルバイ トにやってきたフーテン風のおにいちゃんが、元グループサウンズやってたっていう人でね。ポロポロとギターを弾いてるわけよね。海の家が終わった後、夜に 海辺でギター弾いているのってかっこいいんだよね(笑)。「教えて」って言ったら「いいよ」って言うんで習い始めたのがきっかけなんです。

そのころブラスバンドも夢中になってやっていたので、学校で放課後はブラスバンドの練習して、家に帰って夜はギターの練習するという生活でね。そのおにいちゃんがいろいろ弾いて聴かせてくれるんですよ。
ぼくが初めて買ったアルバムがね、ギターのアルバムが欲しいと思っていたんだけど何の情報もないものだからレコード屋さんへ行って、ギターが写ってるやつと かギターを弾いてる姿が写ったやつを探してね(笑)。これは絶対ギターのアルバムに違いない! と思って買ったのがウエス・モンゴメリーだったんですよ。 それで聴いたら初めて聴く音でね。どうやって弾いてるのか全然分からないし......。「あれ? なんでこんな音するんだろう?」っていう不思議な音だし。真似 しようと思っても全然できなくてね。
それから高校に入るとまわりがみんなロックとか聴きだしてね、学校が情報交換の場みたいになって「ジミヘンのこのアルバムいいよ〜」とか、それ海賊盤だったりね。ツェッペリンとかクリームとかみんなとおんなじように影響受けてると思うんだ。

■一番大切なギターはなんですか?

うーん、ギブソンのES335、これは宝物ですね。1958年製で、もう10年くらいになるかな。ひょんなことからうちに来たのね。

■その物語おもしろそうですね(笑)。

ギターを作るクラフトマンの知り合いがいてね。学校でギターを教えていた人だったんだけど。その人が「大阪に引越しするんだけど、お金が必要になっちゃった んでぼくの宝物のギターを手放すことにしたんだけど、その前に一度松原さんに見てもらいたくって」って持ってきたんですよ。「えー! なんでこんなの持ってるのー?」で、「なに、いくらいるんだよ?」って(笑)。「俺が買う!」って(爆笑)。このピックガードがでかいところがかっこいいんだよね。1958 年から「335」ができて、300数本しか生産してなくって、そのうちの1本ですね。残存しているのは100本以下だって。
奥様:でもいろんなところ変えちゃっているしね、うちは。使うために持ってるから、ヴィンテージとして持っているわけじゃないのでね。

最愛のギブソンES335と松原さん
最愛のES335と松原さん

■ぼくは「松原さん」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはユーミンなんですが、数多くのセッションワークの中で、前もってこういうふうに弾こうとか準備されているものですか?

前もってっていうのはないね。ハイファイセットのバックやっていてスタジオミュージシャンっていうことはほとんどやっていないころにね、「冷たい雨」ってい うシングルのレコーディングで、松任谷(正隆)さんが呼んでくれたんです。「間奏のソロやってもらうから考えといて」って言われて、オケの演奏をカセット テープでもらって、レコーディングの日までいろいろ考えたんですよ。「あ、これかっこいいなー」ってね。それを当日弾いたのね。そしたら「いや、そういう んじゃなくてさ」って言われて(笑)。「えー? これダメなの? せっかく考えたのに......」。「なんかテキトーに弾いてよ」っていうからテキトーに弾いたら「あ、それそれ! OK」って。「なんだテキトーに弾きゃいいのか」ってね(爆笑)。

アルバム「ハイ・ファイ・セット/スーパー・ベスト・オブ〜」ジャケット 「あまり考えたらよくないんだな」ってそのとき思って。でも実はね、カセットテープくれて「考えといて」なんて仕事はないんだよね。だからその場で弾くっていうのはあたりまえでね。おなじソロでも2通りあるんだよね。まるで歌の一部のような、このフレーズがなけりゃこの歌は成立しないっていうようなメロディックなソロだったりね。アレンジの流れっていうのがあって、どうしてもそういうのが必要だなって思ったらそのように弾くし。逆にもっとソロっぽくてアドリ ブっぽいのがいい場合もあるんで、その場合はそのように弾くしね。メロディックで覚えやすいフレーズっていうのはぼくもかなり意識して弾いていましたね。

画像は「冷たい雨」が収録されたハイ・ファイ・セットのベストアルバム

忘れなきゃ多分弾けない
■その数多くのセッションワークの中で松原さんがこれはうまくできた、というベスト3みたいのものがあったら教えていただきたいのですが?

そうやって「あの曲のギターよかったね」っていわれると、「あー」って思い出すんだけど、正直忘れちゃうんだよね。「これそうでしょ?」って聞かれて、「あ、そうだったっけ」って思い出すんだけど(笑)。ほとんど忘れちゃうんだよね。だから多分忘れないと弾けないんだよね。ずっと覚えていてあのときのあ のフレーズがいいんだよね、って言ってたらその同じフレーズ「あ、あのとき使っちゃったからもう使えないな」なんて思っちゃうでしょ。忘れてるからいいん だよね。実は同じフレーズ何回も弾いているかもしれないし。それを覚えてたらね、「おれってこれしかないんじゃないか」ってだめになるんだよね。

奥様:自分の曲も忘れるもんね(爆笑)。
だからね、まわりの人が「この曲はいいね」って言ってくれたら、「あー、それはいいね」って言うくらいのもんですよ。ほんとにどの曲も一所懸命やってるから、「どの曲がいいね」って言われてもいいんです(笑)。


----自分のお気に入りのフレーズは忘れないと次には進めない。なんとも素晴らしいじゃありませんか! これぞアーティストの鏡だ。次回は12月7日。

インタビュー・文/ヤフオク!

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読者コメント(2件のコメントがあります)

日本のメディアは「アーティスト」って安っぽい言葉使うの好きだね。
松原さんの話聞いていれば、生粋の「ギタリスト」だってのが
伝わってくるはずなんだけどなぁ・・・。
まぁ、何にしても渋いプレイヤーです。
でもやっぱりスタジオギタリストなんでしょうなぁ。
ライブだときっちり収まりすぎたフレーズで優等生ぶりを発揮?
もう少し暴れてもいいと思うんだけど・・・。

投稿者:ぴゅーとジャガー | 投稿日:2010年1月28日 00:31

>自分のお気に入りのフレーズは忘れないと次には進めない。
これは「アーティスト」ではなく「ミュージシャン」の鏡と書くべきだと思います。

投稿者:草薙 | 投稿日:2010年1月21日 11:57

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