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増崎孝司さん、『In and out』を語る ~番外編~

増崎孝司さん[new] 大変長らくお待たせいたしました! 増崎孝司さんインタビュー『In and out』から派生したスピンオフ・バージョン、公開です。ギター好きには堪えられない増崎さんの"こだわり"が随所に。
年末12月29日、30日にはDIMENSIONの2デイズ公演も控えています♪
※聴き手は増崎ファンを自認する若手スタッフ、hideki。



「こうじゃないの?」という暗黙の決めごとを取り払う

増崎孝司さん


◇(hideki)質問といいますか......。僕は自分でもエレキギターを弾いているのですが、「歪み」はとても意識するんですけど、逆にクリアーな音もとっても好きになって、足元(エフェクター類)を使わずにいかにボリュームやトーンでクリアな音にできるかがずっと課題で......。プロの方々はそこをちゃんと意識してできているんだなぁと。

そこは正直な話、意識してできている人はひと握りだと思います。
ロック系の人は全開でそれ以上は触らないと、それが『美学』みたいになっていたりしますが、じゃあなぜボリュームやトーンが付いているの? と。僕はプロのギタリストこそ、そこをもう一回追求してほしいなと思うんです。

一度試してほしいのは、中途半端に「5」とかにするんじゃなくて、デジタルっぽく「0」か「10」にしてみるとか、それで自分がどういう気持ちになれるかってのを試してほしいんですよ。極端なところを試さないと、その中間には絶対行けないと思うんです。自分の悪い部分を直すのであれば、一度極端に違うことをやらないとわからないじゃないですか。

たとえば、今まで「ポロシャツ=おじさん」というイメージで一度も着たことない人がポロシャツを着るためには、一度そのイメージを取り払ないといけないでしょ。でも、それを着て自分の好きな人やあこがれている人に「似合ってるね」って言われたらその人にとってポロシャツはマストアイテムになってしまうんですよ。それは、たぶん音楽の世界でもいっしょで、自分がここまでやるとダメなんじゃないかなって思うところまで踏み込んでみないと、見えてこないことなんですよ。

たとえば、プロのギタリストがアンプのセッティングをしているとします。自分もそれに倣って同じようにやっても「ん? 同じ音にならないなぁ」と。でも、それは当り前のことなんですよ。その人が弾くと、どんなアンプでもその人の音にしか鳴らないんですよ。逆に、僕は「なんで同じようにしか鳴らないんだよ!」って。

(一同笑)

でも、楽器店のある程度自分と信頼関係がある人が担当だと、「自分はあんなにトレブル上げないのにな」ってくらい上げることがあるんですね。その状態で弾いてみて、「ハイ(High)がうるさくない?」って聞くと「いいえ」って。人それぞれ聴こえているポイントが違うので「そんなにうるさくないんだ」とわかった瞬間、今まで自分が設けていた高域の制限が取れちゃうんですよね。
逆にスタックアンプみたいに、ゴンゴンとロー(Low)を出し過ぎると、ベースの帯域と重なってしまうために、あえてそれをなくしてしまうと「ああ、こういうふうになるのね」と。極端にすることで自分が見えていなかった部分が見えてくるんです。

マニアックな話になりますが(笑)。EMGのピックアップってキャパシティがロー・インピーダンスなので、トーンが効かないような設計にしてあるんですね。ようするにアクティブ化することによって、トーンの落ちを少なくするのがそもそもの目的なんです。トーンの落ちを少なくする=ノイズを減らす、ってことが最優先で開発されたピックアップなんです。
よく電池を使っているアクティブ(ピックアップ)はイヤだって言って、電池入りのコンパクト・エフェクターをいっぱい使っている人がいますが、「それ、思いっきり電池使ってんじゃん」と。

(一同笑)

そういうナンセンスなロジックはどうでもよくて、とにかくその人にとってやってない部分をやってみること。たとえば、つまみを全部「7」にしていたら、九時方向の「2」とか「3」にしてみたらどうなるんだろうとか。EMGの500K(オーム)というポットを変えたらどうなるんだろうなとか、疑問に思うことが次の自分を作っていくことになるので、そういうことはバンバンやってみることですよね。

演奏論にしても、プレイのスタイルにしても、バンドの練習の仕方にしても、今まで正しいとしてきたことを「ホントに正しいのかな?」と疑問に思うことによって違う道が出てくると思うので、そういうことをやってほしいなと思います。

増崎孝司さん


あこがれのギタリストは......

「フェンダーならこのアンプ(フェンダー)でしょう」って人がいますが、そうは思わないけどな、と。「フェンダーのアンプってどういうイメージを持っているんですか?」って聞いたときに「歪まない。クリーンだ」とみんな勝手に思っているだけなんですよね。

クリーンな音の定義なんですが、ディストーションのことを「ハイ・ゲイン(High Gain)」って言いますよね。ゲインを上げると。
僕は20代後半のころ、よくロスに行ってマイケル・ランドウとかルーク(スティーブ・ルカサー)と仲良くなったんですが、ランドウのクリーンな音を聴いて驚いたんですよ。歪んでるんです。フェンダーのブラックフェイスのアンプを使っていてるんですが、プリプリっと歪んでいるんです。で、ボリュームをちょっと絞ってやるとクリーンになる。これがクリーンだと。

「そっかクリーンの定義が違うんだな」と。そういうのって身をもって体験しないとわからない。
クリーン・チャンネルでもプリップリに歪む手前まで上げてしまうとすごく太い音になる。でも、ちょっとハイを落としたいと思ったときに、アンプを触らないでこっち側(ギター側)で落としたときに「あ、こういう音、こういう音。この音!」って。それを一回体験すると作れるんですよ。
自分のギターのボリュームとトーンがまず1番目のボリュームとトーンで、アンプについているのは2番目に入っているプリ・トーンだと思えばかんたんだと思います。

今僕がやっているハイ・ゲインの作り方も、基本的にアンプをクランチにしておいて、それでボリュームを「5」にしたときにちょっと(歪みが)残ってるくらいにしとくんですね。で、歪ませるときはフルトーン社のOCDを使っています。それともちろんハイ・ゲインの3プラスの3chの二つの歪みを用意しています。

そうすることで引き出しが増えていくと、なんか決まったレールにはめ込まなくていいというか、そういうスタンスでいることで発想が広がるんです。ディストーションはこれじゃなきゃ、クリーンはこれじゃなきゃというルールを自分にあてはめない。誰もディストーション・チャンネルをクランチにして、ディストーション・ペダルを踏んじゃいけないなんて誰も言っていないわけで、ね。けっこういい感じになりますよ(笑)。

(一同笑)

◇目からウロコです(うるうる)。

一度やってみてください。自分が作っていた歪みの音がなんとなくドンシャリっぽいなと思ったらやってみてください。すごくファットな音になりますよ。企業秘密ね(笑)。

(一同爆笑)

僕の永遠のトーンを持っている人がいるんですが、それはブライアン・アダムスのところにいるキース・スコットなんです。 あのギターを聴いたときに「なんてすばらしいトーンなんだ!」と思ったんですよ。ストラトキャスターなんですが。もうブリッブリの生き生きとしたゲイン・トーン。
「(Everything I Do)I Do It For You」という曲のギターソロが今でもいちばん好きなんですよ。

たまたま僕がある人のヨーロッパ・ツアーをやったときなんですが、ドラムがもう亡くなりましたがトニー・トンプソンで、ベースがブルー・マーダーのトニー・フランクリンだったんですね。キーボードがポール・マルコヴィッチというネルソンのキーボーディストで。
まず、ミディムの音楽祭に始まってパリに行って、スイス、オランダ、ドイツ、ハンガリーだったかな。で、イタリアがなくなってロンドンに行ったんですが、回るのがU2のツアーバスだったんですよ。このバスがスゴくて、2階建てで真ん中がベッドルーム、前後にラウンジがあってね。

どこに向かっていたときだったか定かではないんですが、みんな早く目が覚めちゃって、ラウンジから外をながめていたんです。日の出で明るくなってきて、風車があって......そのときに誰かがその曲をかけたんですよ。それがスゴくよくって。「タカ(増崎さんの愛称))、キース・スコットって知ってる?」って誰かに聞かれて「いいだろう」って。そしてみんな歌うんですよね。洋楽っていいなあって。そのときのイメージも手伝って、キース・スコットは僕のあこがれのギタリストなんですよね。

で、ハリウッドボウルで見たんですよ。派手な演出はいっさいなかったけど、音がめちゃくちゃよくって、演奏者の手だけで作られている音ってホントにいいなと。今でもああいうストラト・サウンドが出せたらなぁーって思うんです。

オーリアンズとかそういう永遠のストラト・サウンドももちろんいいんですが、ゲインを使ったストラト・サウンドといったら、僕のなかではキース・スコットのことですね。 僕はリックよりはそういうトーンにあこがれるタイプなんですね。ラリー・カールトンもそうだし、(ジェフ・)ベックもそうだしね。どうやったらああいうトーンが出るんだろうなと。アンディ・ティモンズに今年頭に会ったんですね。たまたまプロモーションで来日していたんだけど、お互いに「あれっ!?」って(笑)。彼のトーンも好きなんですよね。

■(編集長)そういやhidekiくん、増崎さんのアルバム聴いた後で、アンディ・ティモンズがどうこうって言ってなかった?

◇言ってました(笑)。

これ(『In and out』)は、そんなに影響出てないと思うんだけどー(笑)。

(一同笑)

アンディは好きですね。あとジノ・ヴァネリのとこのギターの......。先日、来日して菰口雄矢くんといっしょにやってた。

◇あ、菰口さんとは面識があるんです、僕。

そうなの? 彼うまいよね。すばらしくうまい!

アレン・ハインズですね。

そうそう。ロスで紹介されて、そのときは全然知らなかったのね、彼のことは。そのうちいろいろ名前を聞くようになって。いいよね、プレイもトーンも。 最近ああいったいいトーンを持ったギタリストが増えてきているので、僕のなかでの音楽生活はとても充実していますね。

あと、ウェイン・クランツもいいね。ニューヨークで見たときに、ぶったまげましたね。「すげぇ。こういう人いるんだ」って。トリオでやっているんですけど、もう自由でなんにも決めごとがないのに、あんな人を感動させることができるんだって。

新しいスタイルのジャムバンドというか。新しい時代の音楽スタイルはホントに変わってきているなぁと。 ギターは昔、ジャズではバッキングのための楽器だったけどウェス・モンゴメリジョージ・ベンソンがああいうスタイルを築いてニュージャズって言われる人たちが歪みを駆使して、そういうスタイルに行っているを見ると、僕もスゴく刺激を受けるしね。

僕は今、いろいろな人たちに影響を受けているし、楽しませてもらっているなとは思っていますが、僕のアルバムが若い人たちにとってそういうものになってくれたらいいなと思っています。


増崎孝司『In and out』  増崎孝司『In and out』

収録曲
01.Natural Spirits
02.Let Me See Your Smile
03.Fly Like The Wind
(テレビ東京系「ゴルフの真髄」エンディングテーマ)
04.Goodbye To You
05.Blue Eyes
06.In and out
07.Flashback
08.Shadows
09.Voices
10: Smash 2011
All Songs&Sound Produced&Guitars:Takashi Masuzaki(M-9/Music:DIMENSION)


DIMENSION『24』  DIMENSION『24』

収録曲
1.Make A Splash
2.Upside
3.Free Spirits
4.The Winds Of Change
5.The One
6.Tears
7.Walk On
8.Sense Of Touch
9.Green Day
10.Together
All Songs by DIMENSION


~年末恒例、目黒ブルースアレイジャパン2days公演決定!~
2011年12月29日(木)、30日(金)目黒ブルースアレイジャパン
開場:18:30、開演:20:00(両日とも)
詳細はこちら(外部リンク)


---いかがでしたか? 音楽、楽器に寄せる熱い思い、果てなきこだわり、届きましたか?
続編公開が遅れましたこと、ここに重ねてお詫び申し上げます。




●協力:株式会社ビーイング(外部リンク)
●文:Yahoo!オークション



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