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DIMENSION『27』増崎孝司さんインタビュー

Sensation III DIMENSION『27』、増崎孝司さんインタビュー[new]
自ら最高傑作と語られたニューアルバム『27』。ギターラボ10周年の第1弾は、増崎孝司さん3度目のインタビューです!



DIMENSION『27』、増崎孝司さんインタビュー


バランス良くバランスを崩す

■27枚目のアルバム『27』。まずジャケットがすごくカッコいいですね。

ジャケット、いいですよね。やっと僕らもジャケットのこと考えてもらえるようになったのかなと(笑)。(背景の)青い写真を見た人に写真家(増崎さん)、アイドル(勝田さん)、文学者(小野塚さん)みたいだよねって言われました(笑)。まあ、考えていただいた結果、自分たちの実物以上のものができたかなって思います。配色なんかはブルーノートを意識してくれたようですね。

■アルバムはバラエティに富んでいてとても楽しく聴かせていただきましたが、アルバムタイトルが『27』ととてもシンプルです。ということは特にトータルなコンセプトは持たせていないということでしょうか?

以前はバラードアルバムを作ろうとかクラブミュージック風にしようとか考えて、それはそれでいい結果は出せたんですけど、ここ数年はコンセプトを持たない作り方をしています。で、最初にお断りしておきますが、僕らはというか僕はですが、「フュージョン」をやっているという感覚があまりないんですよ。

よくライターの方や一般のリスナーの方はスクエア(現:T-SQUARE)さん、カシオペア(現:Casiopea 3rd)さんなどと比べられるんですが、比べられてもよくわからないし、それはスクエアさんにしても同じだと思うんです。お互いにオリジナルなことをやっていて、たまたま僕らがサックスとギターと鍵盤という構成で、出てきた音がポップだったりロックっぽかったりたまにジャズっぽかったりするだけであって。

前回お会いしたころからなんですが、コンセプトを持つってことに疑問を感じ始めたんですね。CDが売れなくなってきた時代にコンセプトを持つことがいいのかどういう方向性がいいのか......。その時代の感覚に合わせてそのときやりたいことを音にしようと手がけたのが『24』や『25』なんです。それが存外によかったのでそのままいこうと。そのときどきの風景だったり、街で流れている音楽だったり時代の空気だったり、そういったものから漠然と出てきたものを形にしてきたという感じです。バランス良くバランスが崩れているのが、DIMENSIONのいいところだと思うので。僕はたぶん誰よりもフュージョンを聴かないんですよ(笑)。ライブの会場に来ている方の誰よりも知らない。わからないからいいのかなって。ギターといえばロックでしょ、歪ませてなんぼだよなぁと(笑)。ギターはカッティングするかソロを弾くものと思っているので、そういう部分が僕らの均等の良さにつながっているんじゃないかなって思います。

■そうですよね。前回うかがったときもブライアン・アダムスのバンドの......。

キース・スコットはすばらしいですよ! 雑誌で特集されていたときは思わず買っちゃいましたもの。

(一同笑)

今回はプリプロが通常より長めでした。僕自身は最初の段階から参加できなかったんですが、ずいぶん早い時期から曲作りはしていましたね。

スタジオに入る前にデータをやり取りして詰めていくやり方ですか?

いいえ。スタジオに入って「せーの、ドーン!」です。うまくいかなければその日は止めですね。基本的な作りは3人です。あんな感じこんな弾き方とかいいながらワンコーラス作ってしまう。すごく歌もの的な作り方ですね。ソロをやるための楽曲作りではないんですね。ソロはみんなプロだからなんかできるだろうと(笑)。だからといって順番はくじ引きで決めるわけじゃないですよ。

(一同笑)

オリジナルのアイデアを出した人間がイニシアチブを取りますが、「うーんどうだろう?」ってことになった場合はみんなのいいようにやろうよと。

■22年という長い期間活動を続けていらっしゃるわけですが、バランス良くバランスを崩すとおっしゃっていましたが、人間関係だとそのバランスの取り方が難しかったりしますよね。

今僕が思うことは、ここ数年は勝田くんを中心にバンドが動いているんですね。メロディーメーカーであり、メロディーを吹く人間ですから。そのうえで小野塚晃という鍵盤奏者の音をもっと出したいなと僕は思っています。僕以上に出て欲しいなと思っています。
ただ、不幸なことにギターって歪ませるとドーンっと前に出ちゃうんですよね。だから今回のアルバムで僕が心がけたことは、必要なところに必要なリックだけ入れることなんです。

以前、大きなラックを使っていたころは鍵盤の代わりを全部ギターがやっていたんですね。要は鍵盤のシークエンスの部分なんかもギターがやっていたんです。ライブになるとギターが何人もいないと曲の感じが変わって聴こえてしまうんです。「アレンジ変えたんですね」って言われたことがあるんですよ。「ああ、やっぱりそういうふうに聴こえちゃうんだ」って。

今回のアルバムで僕がやっていることって言ったら、メロディーラインを差し引くとそんなにないんですよ。もちろんやっているんだけど。たとえばこの曲はこの一音色だけでいきたいと。そうすると鍵盤とサックスだけですかすかに聴こえてしまう。そこで自分のなかでバランスを取っているんですね。ほかのメンバーの意識が前を向くって感じ。自分がちょっと引くだけでこんなに聴こえ方が違うんだと。

優先順位でいえば、勝田くんのサックスが頂点にあるとしてその次に存在感があるのは小野塚くんでいてほしいと思ったんですね。ギターはなくてもいいかなと思ったときもありました。ソロさえいらないかもって。メロディーをサックスとユニゾンすることによってサックスのパワーが前に出るならそれだけいいやと思ったんです。

あとはギターらしいカッティンで空間をたくさん残して入れる。それが自分が考えてきたカッコいいギターのスタイルなんですね。 のべつまくなしにガンガンいくのではなく、ある瞬間にスッと入ってて「あっ!」っていう感じ。それが本来僕がやりたかったギターの形なんかじゃないかなと。それが機材を変えたり、聴こえ方を変えたいなと思った理由なんですよね。

『26』と同じことをしようと思えばできたんですが、したくなかった。 自分がそういうスタンスでギターに向き合っていけば、今の若いアマチュアの子が出てくるんじゃないかなとか、街中の楽器屋さんにいいギターがたくさん並んでいるのにどうして関心持ってくれないかなとか考えちゃって。それが今回のやり方につながったとも言えますね。 才能あるプレイヤーの二人が相手なので、そこに僕がどうやって枕木を入れるかだけだったんですよね。そういう感覚でやりました。オレがオレがって行くのはどうだろうと。

■ユニゾンが多いなとは思いました。

そう。だからけっこう大変だったんですよ。
キーボードもサックスもギターのフレーズは弾いていないんです。その逆をやりました。運指で苦労しましたけど、練習するたびに「うわっ、難しい!」と(笑)。そういった意味でもこの『27』は最高傑作と言っていいと思っています。

最初聴いたらアタマからずっとギターが鳴っているって思うかもしれませんが、ユニゾンやっているだけなんですよね。実は。 サックスとユニゾンしていて、ギターが抜けてサックスのソロになったら音像が少し抜ける。それを本来なら鍵盤が埋めるんですがギターがやる。それによって鍵盤も自由にやれるんですよ。僕はそれがギター本来の役割だと思うんです。歌ものってそういうものですよね。

そのためにラックをやめて、素のトーンしか出ない状況を作ろうと。楽器を使い分けることによって様々な色出しをする。だから楽しかったですよ、今回。いっぱいギターを並べて「どれにしようかなぁ」って(笑)。曲によって楽器を使い分ける楽しさ。で、アルバムはすごくポップに仕上がりました。ここまでメロディーを強調したポップなものは今までなかったですから。


DIMENSION『27』、増崎孝司さんインタビュー


自分を変えること

■今のお話をうけてなんですが、機材リストを見てなるほどと思いました。それでヴェムラムをメインで使われたんですか?

うーん。どれがメインってことはないんですけど、自分を変えるためには機材を変えるのが手っ取り早かったんですよね。レコーディングのころよく聴いていたのがデレク・トラックスだったんですね。ここまで泥臭いトーンでフュージョンをやったらどうなうんだろうと。ハービー・ハンコックのアルバムで彼が演奏してるジョン・レノンの「イマジン」。ここでハービーのピアノと掛け合いをやっている。それが荒々しくミスマッチなんですね。ハービーのピアノが霞んでしまうくらいの演奏なんです。巧いとかじゃなくてカッコいいんですよ。自分もそういうのをやりたいなって思ったんです。

それで自分のトーンを一から見直そうということになって、去年の暮れに出合ったのが66年のショーマン(Fender Showman)のヘッドだったんですね。すぐこれに合うキャビネットを作りたいと。実はそのときエレクトロボイスの15インチのスピーカーが付いているものがあったんですが、さすがに大きなものは使いたくないと。それでスピーカーを作ってもらったところから始まったんです。
で、ああいうファットなトーン、「ギターだね、これは」というものを揃えていって、同時にアンプで歪ませずストンプペダルで歪まそうと、そのほうが遅れずに聴こえると思ったんですね。それで6L6の真空管でクリーンな音をファットな音にしようと。基本さえちゃんとしていればそこから音は崩れないので、ペダルをいろいろ試していたらヴェムラム(VEMURAM)のジャンレイ(Jan Ray)が自分にはまったんですね。メインとなるゲインペダルは何があるだろうと、OCDとかカレン(Karen)とかいろいろありますがそこはまだ悩んでいます。

どれもいいけどどれもパーフェクトじゃない。組み合わせることによってストンプペダルの最大限の良さを引き出したいと。録音の終了間際に、だいたいの答えが見つかったんですね。やはりクリーンは6L管だと。でも歪みはEL34がいちばんいい音がしている。アンプとの組み合わせをいろいろ試したところ、自分が納得出来る音になったのはバジャー(SUHR Badger)だったんですよ。バジャーのヘッドはよくできてる。これとクリーンを同居させたペダルを作ろうと。それが今日やっとできたんです。

(一同)おおー!

いろいろな人たちに協力してもらってね。
今後はこれをライブでもレコーディングでも活用しようと思っています。
サウンドって突き詰めるとそういうことになるんだと。ダウンサイジングしながらも、相反するものはそれできちんと持たなきゃダメなんだと。一つですべてやるというのはデジタルツールだけですね。ただそれもフラクタルオーディオ(Fractal Audio Systems)やケンパー(KEMPER PROFILER)にしてもいろんな音を同居させるという意味ではかなりの域に達していると思います。

大きなラックをやめてストンプペダルにしたメリットは、もう少しこういう音にしたいなと思ったときすぐにそこにリプレイスできるんですよ。レゴみたいにね。
19インチラックマウントはそれができないんです。時代遅れとまでは言いませんが、実に利便性がないツールだなと思うんです。

一方、ペダルボードはサイズ的にも70センチ程度のたいらなところに自分でコンパクトエフェクターを置いて、人から「これがいいよ」と勧められたらそれをさっとリプレイスできる。そこに自分のマインドを付け加えられるということは、プレイヤー、音楽を奏でる人にとっては非常に利便性が高いんです。これからの未来のために、これを基盤にしようと思ったんです。

プロのプレイヤーというのは弾けばその人の音になるんですよ。その聴こえている音がその人の脳のなかでなっているイメージの音にどう近づけるかだけなんです。なかには頑なにラックの方がいいという思い込みがありますよね。その思い込みをどう捨てるかなんです。僕の場合、ライブで使い始めたんです、いきなり。
勇気がいることではあるんですが、ライブはごまかしが利くんです。自分さえごまかしてしまえばいい。ずっと僕のエンジニアを担当している人に「どう?」って聴いたら、「今までのなかでいちばんいい」って言ってくれたんですね。それくらい生々しい音がしていると。それからは楽でしたね。

あとはいかにイメージの音に近づけるか。なのでたくさん投資しました(笑)。でも楽しいです。組み合わせる楽しみですね。20年前には大枚叩かないと出せなかった音が、数千円、数万円で手に入れらるようになりましたから。いい時代ですよね。

歪みはOCD、ジャンレイの2つで、ディレイとかはプラグインでつけてしまいました。リバーブはブルースカイ(blueSky Reverb)とエル・キャピスタン(El Capistan)。そんな感じです。使用したギターはフェンダー・ストラトキャスター('68)とジョンサーのショアラインゴールドのストラト、あとこれ用に買ったフェンダーのテレキャスターがあります。フロントがハムバッカーなんですよ。それは「えーっ!?」っていう音で、なかなかよかったですよ。「Travelers」はレスポール・ゴールドトップを買った日に家でプロトゥールズでリフを録ったんですけど、踊れるディスコっぽい曲、ゆったりしたグルーブのR&Bっぽいね......。
(ここからスマホに入った写真を見せてくれる増崎さん。写真を見ながらマニアックな話に花が咲きました^^;)

ラックをやめてコンパクトに変えて制作した最初のアルバムです。その辺も合わせて聴いていただけると楽しいのではと思います。


DIMENSION 27
DIMENSION『27』
1.One And One
2.Summer Night Out
3.Growing
4.Amnesiac
5.Blow
6.Seawind To Salou
7.Endless Story
8.Blue Sky
9.Travelers
10.Letters

『DIMENSION年末年始スペシャル公演決定!』

・2014.12.29(月)
Live Dimensional-2014 年末SPECIAL
会場:目黒ブルースアレイジャパン
開場/開演:18:30/20:00
チケット料金:S席¥6,500(指定/SC込み)A席¥6,500(指定/SC込み)★飲食代別途
チケット一般発売日:2014.11.29(土)
チケット問合せ:03-5740-6041~目黒ブルースアレイジャパン
サポートメンバー:則竹裕之(dr),川崎哲平(ba)

・2014.12.30(火)
Live Dimensional-2014 年末SPECIAL
会場:目黒ブルースアレイジャパン
開場/開演:18:30/20:00
チケット料金:S席¥6,500(指定/SC込み)A席¥6,500(指定/SC込み)★飲食代別途
チケット一般発売日:2014.11.29(土)
チケット問合せ:03-5740-6041~目黒ブルースアレイジャパン
サポートメンバー:則竹裕之(dr),川崎哲平(ba)

・2015.1.10(土)
Live Dimensional-2015 新春SPECIAL
会場:京都RAG
開場/開演:18:00/19:00
チケット料金:¥5,500(税込み/飲食別)
チケット一般発売日:2014.12.6(土)
チケット問合せ:075-255-7273~京都RAG
サポートメンバー:未定

・2015.1.11(日)
Live Dimensional-2015 新春SPECIAL
会場:京都RAG
開場/開演:15:00/16:00
チケット料金:¥5,500(税込み/飲食別)
チケット一般発売日:2014.12.6(土)
チケット問合せ:075-255-7273~京都RAG
サポートメンバー:未定
(★こちらの1/10&11の京都公演に関しまして、二日間通し券の割引あり。
二日間通し券は¥10,000になります。尚、学生の方で当日学生証を提示して頂いた方に、前売り及び当日券は各¥1,000、二日間通しチケッ トは¥2,000を当日返金させて頂きます。)

・2015.1.17(土)
Live Dimensional-2015 新春SPECIAL
会場:目黒ブルースアレイジャパン
開場/開演:18:30/20:00
チケット料金:S席¥6,500(指定/SC込み)A席¥6,500(指定/SC込み)★飲食代別途
チケット一般発売日:2014.12.13(土)
チケット問合せ:03-5740-6041~目黒ブルースアレイジャパン
サポートメンバー:未定

・2015.1.18(日)
Live Dimensional-2015 新春SPECIAL
会場:目黒ブルースアレイジャパン
開場/開演:16:30/18:00
チケット料金:S席¥6,500(指定/SC込み)A席¥6,500(指定/SC込み)★飲食代別途
チケット一般発売日:2014.12.13(土)
チケット問合せ:03-5740-6041~目黒ブルースアレイジャパン
サポートメンバー:未定


インタビュー、文:ヤフオク!
写真提供、協力:ビーイング(外部リンク)
DIMENSIONオフィシャルサイト(外部リンク)
増崎孝司さんファンページ(facebook)(外部リンク)

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