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増崎孝司さんインタビュー Vol.2

ICE「DIMENSION」の増崎孝司さんの音楽観、楽器へのこだわり方、新作「『20』?NEWISH?」について語っていただいきました。その第2弾です!

画像:ロジャー・サドウスキー作の愛機「ジャズキャスター」




ロジャー・サドウスキー作の愛機「ジャズキャスター」



ICEジャズキャスターと呼んでいます

僕が持っているギターの1本(と言ってギターを手に取る増崎さん)、僕はこれをジャズキャスターと呼んでいるんですが。これはジェイソン・ローラーという人が作ったピックアップでチャーリー・クリスチャンと同じものなんですが、ロジャー(・サドウスキー)が作ったギターで、形はテレキャスター・タイプでしょ? で、これでクリスチャンみたいなフレーズを弾いていると背後にいた人が「ねえ、その箱ギターいい音してるねー」って言うんですよ。 (しばし弾き続けて)そういう、「く、く、く......だまされてる(笑)」ってのが好きなんですよ。

(一同笑)

でも、これ本当にパッシブで使うとテレキャスの音になって、アクティブで使うとすっごくウォームな音になるんですよ。そんなギターはほかにはないなと思うんです。これはただのテレキャスターじゃないなと、ノーキャスターだとモコモコの音になるでしょ。でも、その感覚でジャズが弾けるテレキャスターだからジャズキャスターと(笑)。みんなも「いい名前だねー」って言ってくれるんです。

■それはフロントピックアップのおかげですね。

うん。あと僕ね数字遊びみたいなことが好きなので、ヘッド裏に書いてあるシリアルナンバーが「3769」なんだけど、僕は昭和37年生まれで、ロック(69)っていいなーとかね(笑)。 そんなことでも喜べちゃう。

(一同笑)

画像:ロジャー・サドウスキー作の愛機「ジャズキャスター」と増崎さん




ロジャー・サドウスキー作の愛機「ジャズキャスター」と増崎さん



弦楽器には「ヴィンテージ」という概念がある

楽器(ギター)って感覚的なものが大事だと思うんです。たとえばヴィンテージ・ギター。
僕は大好きですが、かといってすべてのヴィンテージ・ギターが僕の感覚に合うのかといえば決してそうではないんですね。価格とパフォーマンスのバランスが大事だと思うんです。今はどちらかといえば価格が上回っている。やっぱり所有する喜びはあると思いますよ。でもそれが即仕事に使えるかというと、いろいろと変えなくちゃいけないんです。ピッチが甘いなんてこともありますしね。でも、そういうのもひっくるめてヴィンテージと呼んでしまうので、そういう意味では感覚的ですよね。

100万、200万、レスポールなんかヘタすると1,000万という大金を払って年代ものを買うわけですけど、1,000万なんて元が取れるわけがない。でも、その人にとって「1,000万支払って買ったんだ。大きな声では言えないけど」っていう、ほくそえむようなよさが楽器にはあるんですね。だからすごく特別感がありますよね。そういう意味でギターは特殊ですよ。楽器であり、おもちゃであり、宝物。キーボードにはそういう感覚はないでしょう? 「仕事」って感じでね(笑)。それを家でながめては「こいつ、この光沢がたまらないよな」って人はそういませんよね。でもギターやバイオリンという弦楽器には、そういう要素があるんですよ。

クルマに近いかな。僕はジープに乗っているんですが、(ボディーが)汚れたままで乗っていると「ジープはやっぱりこういうほうが雰囲気あるよね」って言われるんです。僕が不精で洗っていないだけなんですけどね。

(一同笑)

そういう「モノ」ってありそうで意外とないんですよね。服はボロボロなものを着ていて「味が出てきたねー」とはなかなか言われないけど、ギターだといい味わいになる。そういうのって、もう感覚でゲットしないとね。縁だと思うんですよ、そういうモノとめぐり合えるっていうのは。(レスポールを手にして)これが売り場にさがっていて、チラチラ視界に入ってくるんですよね(笑)。僕もすごく意識しちゃって。で、「これいい音しそうだよなー」って思うのね。持ってみたら「お、軽いじゃん」と。4キロ切ってるんですよ、これ。またシリアルナンバーを見て「うーん、いい番号じゃん」とか。

(一同笑)

これを買ったときにも、イケベ(ギターズステーション)の担当の人に「タバコサンバーストのあれ、買ったらしいじゃん」って言われてね。僕はタバコサンバーストが好きなんですよ。これは冠婚葬祭にOKだと(笑)。そういう感じで数多くの楽器を手にしてきました。

(レスポールとロジャー・サドウスキーのもう一本を交換して)これはロジャーからプレゼントしてもらったものなんです。(ボディーは)ブラックのいわゆるシースルーで、チェンバード・ボディーなんですね。箱ギターみたいな音がするんです。ストラトキャスターの形をしていますが、ストラトではない。僕の愛すべきギアですね。色で悩んでいたときに、僕の知人の飼っている黒い犬(スコッティテリア)の名前がシガーっていうんですけど、「シガーみたいな色がいいな」って言ったらロジャーがこの色にしてくれたんです。ですからこの色は「シガーブラック」と呼んでいます。(しばしシガーブラックのギターを弾いて) 1本ずつ違う楽器を所有することができて、僕は幸せだなーって思いますよ。

■今日4本選んでくださったわけですが、これは増崎さんの所有するなかでも特にお気に入りのもの、ということですか?

うん。ステージでもスタジオでも、この4本があればたいていのことは問題ないというものですね。この4本があれば自分を表現できるんです。松田聖子さんのレコーディングのときは、このタバコサンバーストのレスポール1本でしたよ。(ES-)335も持っていったんですが、こっちのほうが335みたいな音がしたりね。自分にとってもイメージが作りやすくて、これでOKなんです。

画像:お話しする増崎さん




お話しする増崎さん



ICEスタジオミュージシャンにあこがれて

■そんな増崎さんのギターとの出合いをお聞かせください。

最初に音楽に感染したのは、やっぱりビートルズでした。だからといってジョージ(・ハリスン)になりたいとは思わなかったです。子どものころでしたから初めはポール(・マッカートニー)の曲が好きで、ジョン(・レノン)には危険な香りがするというか、スピリチュアルなものを感じたんですね。そのうちジェフ・ベックラリー・カールトンTOTOなどに出合って、だんだんジャズ、クロスオーバーといわれるジャンルに慣れ親しんできて、自分もある程度単音で弾けるようになってきたときに、なんとなくですが「ああ、プロになれたらいいなあ」って。

そのころスタジオミュージシャンが脚光を浴びていて、ある雑誌を見ていたら載っている写真という写真がヘッドフォンをつけたミュージシャンのものばかりだったんですよ。子ども心に「ああ、こういう世界があるんだ」と。誰のインタビューだったか忘れてしまいましたが、「僕はこの職業でよかったと思う。なぜなら毎日いろいろな人と出会うことができて、その人たちとレコーディングができて、毎日違った曲を演奏できて。バンドだったらそういうわけにはいかない。スタジオミュージシャンなら毎日日替わりで違った曲が演奏できるから」と。僕はそれを素直に読んで、シンプルに「おもしろそうだなあ」「よし、僕もスタジオミュージシャンになろう」って思ったんです。でも「どうしたらなれるんだろう?」。

「まずは東京に行こう」ということで上京して、学校に通いながらバンドをやって「どうしたらプロになれるかな?」って人に聞いたら、「まずボーヤ(ローディー)になることだろ」って言われたんです。森高千里さんの曲を書いていた斉藤英夫さんのバンドのボーヤになったんですよ。こういう性格なので、すぐにみなさんと親しくさせていただくようになりまして。で、斉藤さんが松岡直也さんのお仕事をしにいったときなんですが、僕も松岡さんに大変気に入られまして。松岡さんのバンドのメンバーの方に「それだけ弾けるんだから、おまえ早くプロになったほうがいいよ」と言われたんです。「じゃあなろっかなー」って調子に乗って、今に至るわけなんですけど。

(一同笑)

当時ペッカーさんが、今でもご一緒することがありますが「おまえ、プロになれてよかったよなー」って言ってくれたんですよ。これはウソ偽りなく話すんですが、インストゥルメンタルプレーヤーになって、ましてやこんな(DIMENSIONのアルバムを手にとって)グループでこんなにアルバムをいっぱい作るなんて、僕が子どものころ思い描いていた未来ではなかったです。
僕はビートルズが好きで、ジャニス・イアンが好きで、ジョニ・ミッチェルが好きでボーカル・チューンが大好きなんです。今でもそうです。インストってほとんど聴かないです。それがいまや「ジャズミュージシャン」って紹介されて「いやいや、ジャズじゃないしー」(笑)って。本当にそうなんですよ。
CASIOPEAT-SQUAREのみなさんとお仕事させていただくこともありますし、安藤(まさひろ)さんとは親しくさせていただいていますが、僕にとっては雲の上の上の上の、また上の人たちなのでいっしょにやるなんて冗談でしょ、って感じでした。でもこういう性格なので「TRUTH」なんか演奏すると「イエーッ!」て感じになるんですけどね(笑)。「なんかちょっと違うぞ」と。不思議な気分ですね。
でも、それもやっぱり自分がああしたいこうしたいっていうのと、こういうものに挑戦したいっていう欲があったからできたことなのかなって思います。そういうものがなかったら、今という未来はなかったんだと思います。

あと天邪鬼(あまのじゃく)な性格で、自分がいいと思っていても周りが「いい」って騒ぎ出すと「ふーん......。じゃあこれ卒業」みたいなところがあってね。男ってわりとそういうところあるでしょ(笑)。みんながフェンダー、フェンダーって言いだすと違うもの探したりとか。なので、けっこう早い時期からカスタムギターとか、エフェクターのカスタマイズとかに関心を持つようになったんですよ。人と違うものがよくなるんです。
ペンザサを日本に初めて入れた人は今でも僕のベストフレンドです。この記事を読んでらっしゃるみなさんもそうなんですが、絶対縁というのがあって、その縁があるから楽器と出合うんですよ。それにみんな早く気づいたほうがいいです。そうすればもっともっと楽しくなると思いますよ。

最近けっこう当たるんですよ。先日も歩いていて「あ、クルマがぶつかる」って思っていたらすぐそばでボコッとぶつかったんです。今すごく僕来てますよ(笑)。 でもこれが(アルバム「『20』?NEWISH?」)が当たるイメージはないんですよ。

(一同笑)。




「DIMENSION / 『20』?NEWISH?ジャケット写真」



DIMENSION / 『20』?NEWISH?

15周年にして20枚目のを迎えた今作は、初のニューヨークレコーディングによるワールドワイド感溢れ、これまでの活動を総括するまさに金字塔アルバムです!!

【収録曲】
DISC-1
01: NEWISH
02:Black Code
03:Cut To The Cool
04:Things Never Change
05:I Will
06:Returns
07:Out Off This Sky
08:Far From Here
09:Life
10:Be My Wind
11:Jazz Cigarette(15th Anniversary version)




独特の楽器感を持った増崎さん。愛機を見つめる目は、さながらわが子を見つめる親のようでありました。次回もどうぞお楽しみに!



●協力、写真提供:ZAIN ARTISTS/ZET
●写真、文:Yahoo!オークション






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