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Guitar Study 3 Vol.3 ライブレポート

ALvinoKOJIさんのソロプロジェクト「Guitar Study 3(GS3)」の完全レポート。
「GS3」を見て感じたことはKOJIさんの人間的成長だ。元来思慮深く、配慮の行き届いた人ではあるが今回一連の取材を通じてさらにそれが強くなったと感じた。ギタリストとしての成長は言うに及ばず、岩見さんほかメンバー全員が心底楽しんでいる姿を見ればわかるというものだ。




Guitar Study3、主役の3人(左からKOJIさん、潤さん、岩見和彦さん)



数年前にも見た光景

目黒にあるブルース・アレイ・ジャパンといえば、国内でも屈指のジャズ・フュージョン系アーティストが連日出演するメッカともいえるライブラウンジだ。8月14日金曜日、その日ブルース・アレイ・ジャパンの開場を待つお客様の列は、ある種異様に映った。女性女性女性......、しかもほぼ20代。夏の夕暮れらしく浴衣姿の女性も見うけられる。
色眼鏡で見るわけではないが、ジャズ・フュージョン系ライブといえば、出演者にもよるが若くて30代以上の男性客のほうが多い。それはブルース・アレイ・ジャパンに限ったことではなく、六本木のスイートベイジル(STB139)、東京駅に程近いコットン・クラブ、赤レンガ倉庫にあるモーション・ブルー・ヨコハマも同様である。ただ、このある種異様な感じの光景を筆者はかつてどこかで見たことがあった。

それは今を遡ること4年前の2005年11月17日(金)、先述のスイートベイジルでのことである。その日スイートベイジルでは、「GUITAR STUDY(以下「GS」と略)」と銘打ったライブが昼夜2回公演で行われた。主演はKOJIさん。La'cryma Christi(ラクリマ・クリスティ)を脱退し、ギタリストとしてリスタートを切った彼の初ソロアルバム「Primary Color」発売翌日のことだった。サポートにはKOJIさんのギターの師匠である岩見和彦さん(NANIWA EXP.)。
そのときの入場を待つ列は、それまで見たスイートベイジルの客層とは明らかに違っていた。違いが際立っていたというべきか。10代のファンが多かったように思える。早いものであれから4年の月日が流れた。当時10代だったファンの子は20代になっているだろう。一方、KOJIさんの「GS」はその後もう一度「GS2」として開催されたが、それからはご存じのように潤さん(ギター)、翔太さん(ボーカル)とALvinoを結成しALvinoとして活躍してきた。だから「GS」のライブは久々、実に3年ぶりなのだ。
暑い夏の夕暮れ、「Guitar Study 3」は数時間後に幕を開けようとしていた。

写真上:Guitar Study3、主役の3人(左からKOJIさん、潤さん、岩見和彦さん)




ステージ登場は客席をぬって

メイン通路をのぞいてほぼ立ち見客でいっぱいに埋まった会場。繰り返すまでもないが、95%以上は女性客である。
筆者は取材ということで客席を用意していただいたのだが、両脇をファンに囲まれ、正直若干居心地が悪かった。これは大いにテレによるところだが、数百人の女性のなかにぽつんといる勇気を想像してみてください。まあ、そんなことは置いといて。

定刻になりメンバーが入場してきた。ここブルース・アレイ・ジャパンはほかの会場と違って、楽屋からステージ裏を通ってステージにあがることができない構造になっている。つまり、メンバーはお客様の間(客席)をぬって、歩いてステージに登壇するのである。これはファンにとって最高のプレゼントになる。案の定、ふだんこの会場に来たことのあるお客様は圧倒的に少ないと見え、KOJIさんたちがバーカウンター横の通路から登場すると、悲鳴に近い歓声が沸き起こった。この演出は音を出す前に興奮のステップを一段上げてしまったようだ。




KOJIさん岩見さん、絶妙のバランス

メンバーがそれぞれ定位置につく。KOJIさんがファンに手を振る。大歓声が起こる。
LEVINさん(Husky、元La'cryma)のカウントに続けて1曲目の「GREENBACK」が演奏された。KOJIさんのギターはギブソンのレス・ポール・カスタム 。ブラックビューティと呼ばれているギターだ。その日サウンドチェックを兼ねたリハーサルのとき、KOJIさんと「そういえばレス・ポールさん、亡くなりましたね」「ええ岩見さんからうかがって驚きました。追悼の気持ちで弾かせてもらおうと思っています」と短い会話をした。骨太でいて鋭いレス・ポール・サウンドが気持ちよく響き渡る。

続けて岩見さんのNANIWA EXP.の代表曲「BELIEVIN'」。岩見さんのサムピック奏法によるいわゆる美メロな名曲だ。筆者は岩見さんとほぼ同世代で日本のフュージョンブームも経験してきたが、年齢を重ねて益々その流麗さと円熟度を増す岩見さんには脱帽。ホントに美しい音色のギターを弾く人だ。「メロディの美しい曲は大好きだ」という岩見さんの手によって、その美しさにさらに磨きがかかる。隣の席の女性2人が「あのおじさんだれー? すっごいイケテル。ステキだわー」と会話している。ギターを弾き始めるきっかけに「女の子にもてたい」という理由がよくあげられるが、これは歳をとっても事実のようだ。岩見さん、恐るべし!

KOJIさんのMCに続き、1曲目同様アルバム「Primary Color」から「WHITE HORSES」。白い馬という意味だけでなく、波頭を表現している意味だと語るKOJIさん。

次はまた岩見さんのNANIWA EXP.の「RED ZONE」。ここでのMCがおもしろかったので概要を。

岩見さん:この曲はほんとは「シンクロナイズド」同調ってタイトルの曲だったの。(中略)当時現役ボクサーだった赤井英和さんの入場テーマとして使われることになったんだけど、それまで赤井選手はずっとKO勝ちで連勝していたのね。で、この曲を入場に初めて使った試合で、なんとその記録が途絶えたのよ。

会場大爆笑

岩見さん:負けたわけじゃないんだよ。判定で勝ったんだけど、連続KOが途絶えちゃったのね。そういうエピソードつき。

岩見さんとKOJIさんのソロバトルがハイテンションで続く楽曲。この勝負、判定で引き分け!

ここで今回のライブのために何曲か用意されたカバー曲が演奏される。選曲会議でも登場したギターの神様(岩見さん談:神様はたっくさんいるけど、そのうちの一人ね)ジェフ・ベックの「STAR CYCLE」だ。イントロのクラヴィネット風のシンセサイザに誘導され、交互にソロをとるKOJIさんと岩見さん。間奏部分で潤さんがKORG KAOSSILATOR(カオシレーター)で効果音を入れる。この楽器、手のひらサイズのシンセサイザーなのだが、これがなかなかのすぐれもの。リハーサルのとき見せていただいてほしくなったアイテムです。ベックも納得のカバーは大喝采で終了。続く「DEEP BLUE SEA」が第1部最後の曲だ。




カバーの嵐!

休憩をはさんで第2部が始まった。

KOJIさん、石川具幸さん(ベース)、沢水友彦さん(キーボード)、LEVINさんによる「CHOCOLATE BOX」。ここでギターがグレッチのホワイトファルコンに。

メンバー全員がなぜかサングラスをかけだし、会場が笑いの渦に。カバー曲2曲目のささやかながらの演出である。演奏曲は映画「MISSION:IMPOSSIBLEのテーマ」。みんなトム・クルーズってことかい? うーん。リードギターは潤さんが担当。

続いてもカバーだが、これはフュージョン好きならちょっと「え〜〜!?」という選曲。なぜならこの楽曲、フュージョンブーム全盛期に西のNANIWA(EXP.)、東のスクエアと云われたT-スクエアの代表曲「TRUTH」だからだ。NANIWAの岩見さんがスクエアを演奏する。ふつうはありえない選曲。だが、先にも述べたが「いいメロディの曲ならなんでも好きだよ」という岩見さんの広い心と、メンバーの遊びゴコロと、あこがれの名曲ということで選ばれたようだ。スクエアの演奏ではリリコンというサックスを模した電子楽器が活躍する主旋律を岩見さん、KOJIさんの順番に演奏され、スリリングな「TRUTH」を聴くことができた。

カバー4曲目は選曲会議でも物議をかもしたチック・コリアの「SPAIN」だ。「SPAIN」でギターといえば、アル・ディメオララリー・コリエルの演奏が有名だが、今日は岩見さん&KOJIさんで堪能できる。KOJIさんはナイロン弦のクラシック・ギター、岩見さんはあえて対比を楽しもうとスティール弦のフォークギターを使用。ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」から始まって、かの有名なユニゾンへ。練習熱心なKOJIさん曰く、「オレと石川さんは音楽的ドM。難しい曲ほど燃えるんだよね」。1か月弱でマスターしちゃうのだからプロはすごい。潤さんはギターをお休みしてパーカッションで参加。いい味出してました。




サプライズゲスト!

カバー曲5曲目は知らない人はまずいないだろうというくらい有名な曲。ん? しかし誰が歌うんだっけ? ここでKOJIさんのMC。

KOJI:今回本当は翔太にこの曲を歌ってほしくて選んだんだけど、翔太はなんだか別の人のディナーショーに参加することになって来られないって言うんですよ。今回は絶対に見たいって言ってて、オレも潤も恥ずかしいから見なくていいよって言っていたらホントに来ないって......。

会場爆笑

KOJI:でも、やってみたかった曲なので演奏します。

12弦と6弦のダブルネックギターの12弦でイントロの演奏を始めたのはイーグルスの名曲「HOTEL CALIFORNIA」。ちょっと長めのイントロが終わったころ、会場に歌声が響き渡る。ステージを見ても誰も歌ってはいない。もしや? ひょっとしてこの声は? そう、翔太さんだ。楽屋からの通路を、ワイヤレスマイクを片手に歌いながら正装した翔太さんが登場。会場は悲鳴と大歓声に包まれた。胸に赤いバラを挿してステージに上がった翔太さん。ボディアクション満載のファンサービスで沸かせながらの熱唱。コーラスを潤さん、KOJIさんが見事に乗せていく。
後半ドン・フェルダーとジョー・ウォルシュのリードギターの応酬をKOJIさん岩見さんが演じる。直前リハーサル(サウンドチェック)のときオリジナルの完全コピーをしていなかったKOJIさんだが、本番はほぼ完コピ演奏。「KOJIが完コピじゃないから」とリハのとき同じように対応していた岩見さんもこれに触発されすぐに完コピで応酬! これには負けた。驚いた。ギタリストなら誰もが一度は弾いてみたいと思うこの曲のリードギター。リハとは違う展開を演じる二人のすごさと、完コピできるほど二人の心にソロを刻んだこの曲の持つすごさに鳥肌ものだった。

翔太さんがステージを去り、演奏はKOJIさんオリジナルの「BLACKSTONE」へ。

最後は「OLIVE CROWN」。月桂樹の王冠は勝者となる君への贈り物、と気持ちを込めて作ったと披露。「10回に1回しか勝てないかもしれないけど、そのときのために負けはあると思う。その1回の勝ちを信じようじゃないか」というKOJIさんの言葉に会場から大喝采が起こった。




みんな巻き込んで大団円

アンコールはKOJIさん一人がステージに上がり、メンバーを一人ずつ呼んで招き入れるという方法をとった。
メンバーの入場の仕方がそれぞれ笑いを呼び、和気藹々としたムードが会場を包む。最後にキーボードの沢水さんを呼んだKOJIさん。本来なら岩見さんが最後かなと思ったのだが、そこには最後の仕掛けがあった。
登場した沢水さんのいでたちは、青シャツに白タイ、白いパンツに赤いジャケットというどこかで見たスタイル。そう! あのルパン三世だ。KOJIさんも沢水さんではなく「君はひょっとするとあの大泥棒の3代目だろう?」とか、岩見さんが「ふーじこちゃ〜〜ん、って言ってみ」とか沢水さんをからかい会場は怒涛の笑いの渦。もちろん演奏曲は「ルパン三世のテーマ」。Lupin the thirdのコーラスをKOJIさんと潤さんがキメる。曲の途中でKOJIさんがピストル(おもちゃ)をメンバーと客席に撃つマネの大サービス付き。ウケてた(笑)。
後半で潤さんが歌詞を歌い始めるとおもしろい現象が起こった。「キャー!」という大歓声と共に、半分以上のファンがステージとは反対方向を向いた。そう、翔太さんが再登場したと勘違いしたのだ。いないと分かるとステージに向きなおって潤さんに「キャー」。これはおもしろかった。曲のサビはKOJIさんが担当。思いっきり歌うKOJIさんを筆者は初めて見た。

アンコール最後は「どこかのディナーショーが終わったらしく、翔太が駆けつけてくれましたー」と翔太さんを紹介。さっきと同じカッコウで翔太さんが登場し、ALvinoの「この手紙」をセルフカバー。

約2時間のショーはこのように幕を下ろした。

写真下:Guitar Study3、左から翔太さん、潤さん、LEVINさん、岩見和彦さん、KOJIさん、石川具幸さん、ルパン三世ならぬ沢水友彦さん




Guitar Study3、左から翔太さん、潤さん、LEVINさん、岩見和彦さん、KOJIさん、石川具幸さん、ルパン三世ならぬ沢水友彦さん



GS4、待っています

全15曲中、KOJIさんオリジナル6曲、岩見さんカバー2曲、カバー6曲、ALvinoカバー1曲とみんなで楽しめてあきのこない選曲を心がけ、可能な限りのサービス精神を発揮した「GS3」。ALvino結成以来初の「GS」ということもあり、潤さん、翔太さんの初参加でいやおうなしに盛り上がったライブだった。

ファンのみなさんも一様に好反応で、このライブを通じて広くいい音楽に出合うことができるとすばらしいなーと思いつつ、次の「GS4」を岩見さんと同じように楽しみに待つことにしたい。




ALvinoオフィシャルサイト(外部リンク)
NANIWA EXPオフィシャルサイト(外部リンク)




●文:Yahoo!オークション
●撮影、写真提供、協力:SWORD(スウォード)株式会社
目黒ブルース・アレイ・ジャパン(外部リンク)
日本クラウン株式会社(外部リンク)



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