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東京ローカル・ホンクインタビュー Vol.3

今回は少しシリアスに現実を見つめるメンバーのホンネに迫ります。
メンバーは木下弦二さん(vo、g)、井上文貴さん(g、cho)、新井健太さん(b、cho)、田中邦雄さん(dr、cho)



左より:新井健太さん(b、cho)、田中邦雄さん(ds、cho)、井上文貴さん(g、cho)、木下弦二さん(vo、g)
木下弦二さん 左より:新井健太さん、田中邦雄さん、井上文貴さん、木下弦二さん

絶対に死ぬという事実と、それを実感できていない自分

■楽曲は弦二さんが?

木下弦二さん(以下「ゲンジ」):ぼくが作っています。ぼくの場合、楽曲はどういう生活をしているか、というところから生まれるので、このメンバーを想定せずに作るということはあり得ないんですね。嫌でも、どうしてもそれはついてきますよ。だから「作品に影響を与えているんだから、責任をとってもらおうじゃん」という部分もあったりね(笑)。
バンドを続けるということで言うと、未知の部分があると思ってやれていたり、惰性に流されたり。道端に咲いてる小さな花を見て「ああ、きれいに咲いているな」って思う瞬間と、「ああ、東京の空って汚いな」って思う瞬間は交互にくるじゃないですか、それとおんなじですね。
自分は絶対に死ぬという事実と、それを実感できないでいる自分との間で揺れている。ぼくらがやっていることはそういうことなんだと思うんです。だからすごく普通のことだ、とね。まあ、バンドでそこまでやる人はいないのかなって……。




新井健太さん 新井健太さん(以下「アラケン」):そこまではいないよね、ふつう。面倒くさいしね。もっと楽な方法はないかなってことになりがちだよ。最もシンプルであたりまえなんだけど、最も難しいやり方っていうのかな。

ゲンジ:夢がないっていえばないけど、生活といっしょだし。

アラケン:つらいけど目をそむけないでやるって感じだね。

ゲンジ:そうだね。最高の瞬間は、ほんと最高だしね。

田中邦雄さん(以下「クニオ」):最低な瞬間は最低だしね(笑)。


ゲンジ:(ザ・)ハイロウズの(甲本)ヒロトさんのインタビューで、「ロックは初めてギターを持って最初にガーンってやった瞬間が最高だ。そこからは下がらないようにするだけなんだ」って言っていたんですね。一理あると思うんです。ガーンってやって、「おお!」って思う瞬間が最高なんだってね。でもぼくらは下がるけど、また何度もその最高の瞬間に戻れるんですね。最高の瞬間は子どもに戻った気分で、もう楽しくってしょうがないってくらいにね。で、「明日の支払どうしよう」みたいなものも同時にあるという、グチャグチャなところでやっているんですね(笑)。

アラケン:そうだね。演奏しているときは楽しくてしょうがないんだけど、終わった次の瞬間には「ああ、明日仕事だな」みたいなね。その繰り返しだよね。

ゲンジ:平凡なんだと思うんだよね。でもその「平凡」を繰り返していくことが「非凡」につながるんじゃないかと……(笑)。




田中邦雄さん 「木下弦二&ザ・バックバンド」でもいいんだけど

クニオ:一言で「バンド」といっても人それぞれとらえ方は違うと思うんですけど。もっと合理的に、それぞれが精神的に負担のないやり方をしている人たちもいると思うんですよ。でも、「どうなんだ? それは」っていうのがあるんですね。
こないだスタッフの今村とお茶しながら話していて、ゲンジは歌も歌って楽曲もつくっているでしょ、そういう意味でいうと、「木下弦二&ザ・バックバンド」でもいいんだけどね。ぼくらバンド歴が長いから、演奏しているときにはほかでは出せない、「この4人の感じ」になるという、ね。そうなっていればいいなって、ね。アーティストとプレイヤー、みたいな仕事のあり方もあるわけで。なるほどそのほうが楽だな、って考えもあるんですよ。
生きていくうえで、開きっぱなしだとつらいから、状況に応じてセレクトして閉じるときもあるじゃないですか。でもそれをやっていくと、ぼくらの理想の形にはならないんですね。「曲は書かないけど、おれもアーティスト」くらいな感じにならないとできないんですね。そういう気持ちになれないときが最悪なんです。たぶんぼくらはそういうことで成立しているんだと、そういうバンドだと思うんです。




ゲンジ:ソングライターの立場として言うと、こういう正直に言ってくれる3人がそばにいる、という環境は得がたいものなんです。みんな人間的には偏った人ばかりですが(笑)、本当にありがたいことなんです。だから作ったものを聴かせるときには緊張するんです。聴く側も、「ウソつけない」ってわかっているから、緊張するんですよ。「つまらなかったら言わなきゃ」と思ってくれているんですね。そういう場があるということに感謝しています。ここでしか、ここからしか生まれなかった楽曲ばかりだと思いますね。

■クニオさんがおっしゃったように、アーティストとプレイヤーでいたほうが楽、というのはありますよね。

クニオ:適材適所、な感じでね。

アラケン:お互いに干渉しあわず、こうやってほしいならこうやるよっていう感じで、その要求にこたえられるようにやるっていう意味ではね。

クニオ:アラケンは、うずまき時代からの流れでいうと、当時は別のベーシストがいたので、彼は「身内のような」スタンスだったんですね。で、仕事としてベースで食っていたんです。唯一プロだった(笑)。うずまきを好きで、よく知っていて見に来てくれていてね。それがうずまきに参加することが決まったら、ベースの仕事を全部やめちゃって。「いや、そういう状態でできるバンドじゃないと思うから」って(笑)。すげえなあって思いましたよ。

アラケン:いやあ、それはこっちの仕事に飽き飽きしていたんだよ(笑)。ずっと一生ベースを弾いていたいと思ったらそういう生き方もあるんですよ。でも正直自分もアーティストになりたい、って。自分のことを表現したくて。とりあえず生きていく場所としてどこを選択するか、ということなんだと思うんです。自分の気持ちを大事にしてやっていこうと思ったら、やっぱりアーティストとして生きるしかないんです。




井上文貴さん このメンバーで苦痛だったらやめてるね

■あるミュージシャンの方が、長く続けていくことを「ほぼ苦痛、でもそのなかに一瞬の喜びがあって、それがあるから続けられている」という表現をされていたんですが。

クニオ:ぼくが思うに、そこは表現の仕方なんじゃないかなと思いますね。ロックンローラーなら、「オレは楽しくなくなったらやめるぜ」みたいなね。でも本当のところはどうなんだろう……。

ゲンジ:苦痛はないかな。ぼくらはそういう意味でいうと、仕事になっていないからっていうのもあるけどね(笑)。

井上文貴さん(以下「ブンちゃん」):うん。このメンバーで苦痛だったらやめてるね、きっと。

アラケン:苦痛かもしれないけど、苦痛という風に受け止めていない、というか。

ゲンジ:日常生活は普通に歩いているとき、バンドはスキップしているとき、という感じなので、ぼくは苦痛はないかな。

アラケン:苦痛が、ある意味快感なのかもしれないじゃない。

クニオ:マゾだな(笑)。

アラケン:曲を作っている最中なんか、けっこうドンヨリした空気になるわけじゃない。それを苦痛と思う人と、思わない人がいてね。

クニオ:人によるんじゃないかなあ。ぼくの場合ものすごく苦痛なときがあるんですけど、それはバンドなのであたりまえと思っているし。何か苦痛なことがあっても、バンドを通り越して個人の問題に還元されちゃうんですね。

ブンちゃん:でも言い方の違いだと思う。

ゲンジ、クニオ、アラケン:うん、言い方だねー(と、ユニゾンで)。


---兼業ミュージシャンならではのホンネの部分と、アーティストでありたいという願望がいっしょくたになって生まれるテンションが、東京ローカル・ホンクのエッジだと思います。
●撮影・文/Yahoo!オークション



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