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浜口茂外也さんインタビュー Vol.2

浜口茂外也さん ポップスに対する浜口さんの音楽理論第2弾。今回はグルーブのお話。相手の気持ちを考えるって音楽でもとっても重要なんですね。



釣鐘に見立ててドラムを押す浜口さん ちょっと後ろから押す感じ
音楽をやってて、素人と玄人の違いっていうと。客観的に聴いていて、玄人の演奏って聴いていて安心しますよね。力が抜けていてね。でも素人さんの、リズムがちょっと前に走ったりする演奏を聴かされると、疲れるっていうか落ち着かなくなるんですよ。

ブランコだって力を入れた瞬間に前からグンって行くんじゃなくって、後ろから押される感じで「グワー」っと行くでしょ。押すんですよ。ちょっと押す感じ。


ジャズなんかもそうだけど、押してるんだよね。重い釣鐘をね。こうやって指でじわっと「う〜ん」って押してる感じよ。実際釣鐘を押したことはないからわからないけどね(笑)。とっても動きそうにない釣鐘を一生懸命押していたら、1年後には動くかもしれないでしょ。そういうふうに、玄人っていうのはちょっと後ろから押す、という感じなんだよね。このニュアンスが聴いていて心地いい、という。それがこのブランコのこぎ方と同じじゃないか、という理論なんですよね。日本のもっと多くのミュージシャンが、それに気がついてくれないかなぁって思うんです。

でも気持ちいい人はいるんですよ、たくさん。松原(正樹さん)なんかはわかってるんだよね。彼がそういう意識なのかどうかはわからないけど、彼のサウンドのなかにそういう「グルーブ」を感じますね。




浜口茂外也さん

リズムにはイメージとしての形がある
ドンカマになら合わせられるっていう人は多いけど。(Yaoo!オークション注:ドンカマ=ドンカマチックの略。リズムボックスやメトロノームのことを指します)
ドンカマに合わせられたからって、それは音楽的なことではないわけだから。ぼくも合わせることはできるけど、ドンカマに合わせちゃったらいけないんですよ。ああいう機械的な「点」にあわせようとすると、狂っちゃうんですよ。そっちばっかりに神経がいっちゃうから。あれを自分の中に取り込んじゃってしまえる人は別ですけどね。

でもね、リズムっていうのはひとつの形、みたいなものがぼくのなかにはあるんですよ。イメージとしてね。こういうリズムはこういう形、こっちのリズムはこういう形ってね。で、そういう形のイメージを自分の中で曲の始まる前に作っちゃって。音を出す前にその曲は自分の中ですでに始まっていて、というね。




聴いている人を乗せてあげるという気持ち
それがよくわかっていない人が多いね。ドラマーでも。カウントってあるでしょ。どんな曲でも威勢よく「ワン、ツー、スリー、フォー」ってね。バラードでもね。それじゃ入れないよって、とぼくは思うわけですよ(笑)。でもそういう人たちはカウントの大切さがわかっていないわけでね。そういうもんじゃないんですよ、音楽っていうのは。曲に入る前から気持ちいいブランコに乗って、聴いている人をそこへいっしょに乗せてあげる。それがプロの仕事なんですよ。聴いている人を乗せてあげる、っていう気持ちのミュージシャンが増えてこないと。

「どうだ! おれうまいだろう」というミュージシャンばかりがもてはやされると、たしかにすごいテクニックであることは認めるんだけど、音楽の本質っていうのは、そういうテクニックのところにあるわけではないんですよね。もっとリズムの気持ちよさ、ノリの気持ちよさを共有しようよ、ってところへミュージシャン自身も気持ちが向いてくれればいいなあと思うんですよ。日本は意外とまだそうではないね。

これはおやじからは再三再四、言われていましたよ。そのことばかり(笑)。おやじ自身もそのことに気付いたのが相当うれしかったんだと思うんですよね。それで「リズムミュージックカレッジ」という学校を作ってね。ビリーバンバンとかたくさんお弟子さんいましたよ。
(Yahoo!オークション注:お弟子さんのなかには斎藤ノブさん、下田逸郎さんなどもいらっしゃいました)でも結局「振り子のリズム理論」を覚えているのはぼくだけになってしまったので(笑)、伝えていかなくちゃなあって思っているところなんですね。




浜口茂外也さん

上のほうからその音楽全体を聴いている自分がいる
楽器を演奏する楽しさ、っていうのを今の若い人たちに伝えていかなきゃいけないわけでね。音楽って一人が二人になったときのアンサンブル、それは一人でやることの数倍の楽しさがあるんだよね。「お、そうきたかー」みたいなね(笑)。歌だってハーモニーを入れたりすると「ああ、気持ちいい」ってなるでしょ。これは一人じゃ絶対にできないことなんだよね。その気持ちよさはどこから来るかというと、相手のことを思いやるというか、いっしょにリズムを作るとか、絶えず相手のやっていることを聴いているとか。だからそこにはケンカはないわけだよね。

中近東にギターの元になったウードという楽器を演奏するハムザ・エル=ディンという人がいて、彼に触発されて考えたことなんですが、楽器と演奏者の立場を逆転させて考えるんですよ。音楽を演奏するのは楽器であって、演奏者はそれを助けているだけっていう。自分と楽器を逆にするのね。バンドで音楽を演奏するっていうのは、それぞれが担当の楽器を演奏するでしょ。でもけっこう「おれが、おれが」ってそれぞれがやっているうちはまだバンドになっていないんですよ。

バンドで生でやっているときのおもしろさっていうのはね、みんなそれぞれの楽器を演奏しているんだけどそれがある瞬間、ひとつの音というか、ひとつの楽器になるときがあるんです。その場で自分がドラムをたたいていたとしても、自分がたたいているという意識じゃなくって、もっと上のほうからその音楽(演奏)全体を聴いている自分がいる、って気が付くことがあるんだよね。その瞬間の浮遊感というか気持ちよさ。これは経験してみないとわからないと思うんだけど、それがあるからバンドは楽しいんですよ。それはある程度の経験を積まないとってこともあるけど、そういうことがある、ということを教えてあげる人がいないと。ぼくみたいな(笑)。聞いてくれればの話ですけどね。

そういうところを聞いてもらえれば、もっと楽しいバンドがいっぱいできるし、そこで初めてグルーブが生まれるわけですよ。ひとりじゃ得られない波、グルーブがね。そういう楽しさを教えてあげたいよね。




スタジオの仕事は建築の図面書きみたい
スタジオの仕事っていうのはまた別の要素があって、歌を生かすための細かい技を積み上げる作業なんですよ。この隙間(すきま)にぼくがフィルを入れよう、とかここは徳ちゃん(徳武弘文)がカッティング刻んでいるから邪魔しないようにしよう、とか。数学的な建築の図面みたいなものだよね。

スタジオに入って譜面どおりに1回さらったら、自分の役割をすぐに構築出来る人が、スタジオミュージシャンになれるわけですよ。みんな互いに邪魔はしないで、でも歌を最大限に生かせる演奏をきちんと考えて入れられる人、ということですよ。

---演奏する楽しさを伝えていきたいという浜口さん。次回はダンスが音楽に与える良い影響のお話ですよ。お楽しみに!

撮影・文/Yahoo!オークション


浜口茂外也さんオフィシャルホームページはこちら

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