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浜口茂外也さんインタビュー Vol.1

浜口茂外也さん ギターラボにご登場いただいた、Dr.Kこと徳武弘文さんからのご紹介で浜口茂外也さんが登場! パーカッション・プレイヤーとして、古くはティン・パン・アレイから最近ではMISIAまで、日本の音楽シーンをけん引してきた浜口さんの音楽理論。さすが! とうならされます。



合いの手は大事
こないだキンモクセイの「夢で逢えたら」のことがギターラボに載っていたでしょ。大瀧詠一さんのオリジナルはぼくが参加しているんですよ。カバーは数回されていてぼくはそのすべてに参加したんですが、今回は呼ばれなかった(笑)。オリジナルの(口ずさんで)「夢でもし逢えたら〜、タッタラタタッタ」という、この「タッタラ……」のフルートのフレーズはぼくが作ったわけ。レコーディング中にひらめいて、こんなのどう? ってね。大瀧さんが「それいいね」と言うので入っているんだけど。キンモクセイのバージョンには残念ながら入っていないんですねー(笑)。これはこれで大瀧さんも納得してらっしゃるんでしょう。

「合いの手」ってけっこう大事な要素なんですよね、ポップな感じになる。演奏する側と、聴き手側の「間」っていうか。それってポップには重要な要素なんですよ。今の若い人たちの音楽には聴き手側のことを考える、ということが少しだけ足りないような気がするなぁ(笑)。




おとうさん愛用のギブソンを弾く浜口さん チェロ却下でフルートに
■最初に手にされた楽器はギターだったんですか?

最初はこのギターですね。おやじの。
(Yahoo!オークション注:浜口さんのお父さんは、昭和の大作曲家・浜口庫之助さん。「バラが咲いた」「夜霧よ今夜もありがとう」などの大ヒット曲を手がけた方です)
で、やりたいなぁって言ったら「とにかくがんがん弾け」っておやじに言われまして。教えてくれたのは「F」のコード。「これが弾けるようになればだいたい弾けるから」って。ほかはなんにも教わっていないんですよ(笑)。あとは教則本を見てね。クラシックのね。

その次に、親せきから亡くなったおやじのあにきがチェロをやっていた、という話を聞いて。チェロってかっこよさそうだなぁと思って、やりたいっておやじに言ったんですよ。そしたら「うーん。チェロは高い。だからやめなさい」って言われて(爆笑)。
多分うちの中で「ギーコ、ギーコ」という下手なチェロの音は聞きたくなかったんでしょう(笑)。だったらフルート、ということでフルートを買ってもらったんです。中学1年から使っているものともう1本あります。




ボクシングポーズの浜口さん おっかなびっくりじゃだめ
■このギターは「Kalamazoo」ってヘッドにありますが……。

これはギブソンです。工場の名前が入っているのね。戦前のものです。いい音しますよ。弾いてみる?(といってインタビュアーにギターを差し出す浜口さん。遠慮がちに弾いてみるインタビュアー)

■うわぁ、乾いていていい音しますねー。

うん。そうでしょ。でもね、その右手がおっかなびっくりだからいけないんですよ。思いっきり弾かないと。そうしないとね、ストロークのニュアンスがわからないから。「ガンガン」とね。右手のコツっていうのはね。腕の内転を利用するんですよ。ボクシングもそうなんだけど、パンチはというのは小指から入ってねじるんですね。(といって、立ち上がりシャドーボクシングを始めた浜口さん。その姿、けっこうさまになっています)




大腿四頭筋を指す浜口さん
力を入れずにスピードを出す
■ボクシングもやってらっしゃったんですか?

うん、ちょっとね。昔ね(笑)。スポーツも音楽もみんなおんなじなんですよ。ということをね、ぼくこれからホームページに書いて提唱しようと思っているんですよ。
あのね、地球を押して、そこからもらったエネルギーをいかに効果的にスピードに換えるか。というのがスポーツと楽器は同じなんですよ。たとえば太鼓で「カッ」と力強い音を出そうとするときに、素人の方は力いっぱいたたいたらそういう音が出ると思うわけなんですよ。でもね力を入れるとスピードが遅くなるんですよ。力を入れるということは筋肉を使うということで、筋肉を使うとスピードが遅くなっちゃうんですよ。そこがニュアンスとして非常に難しいんだけど。筋肉に力を入れると、拮抗(きっこう)筋という反対の筋肉にも力が入っちゃうんです。要するに伸ばす筋肉を使うと、引っ張る筋肉も使うことになるのね。だから必ずスピードが落ちちゃうんです。
ボクシングもそうだし、ボールを投げるというのもそうだし。結局のところスピードが出ればいいわけだから、そのスピードを出すためにはいかに力を抜くか。そこが「鍵」になるんですよ。ギターなんかもそう。力を抜いて「ガーン」ってストロークすればでかい音が出るんですよ。まあエレキギターの場合はアンプを使うからそうではないけども。
ぼくは「電気がなくてもできる音楽」というのを提唱しているので。そういう楽器しかやりませんし。それはもうスポーツとおんなじ。鍛えなければいけないのは足の腿(もも)の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)とハムストリング。

■ここ撮影させていただいてよろしいですか?

こんなの使っちゃうの?

(一同爆笑)




ブランコの理論を実践してくれる浜口さん ブランコの理論
メロディとかいろんな要素がありますが、ポップスというのは最初に「リズム」が大事なんですね。そのリズムを作ることから始まって。それはねぼくのおやじが考えた「ブランコの理論」というのがあってね、「振り子」の。(と言って、ここで5円玉を50センチほどの長さのひもにくくりつけたものを取り出す浜口さん)
これがなぜブランコかというと、この部屋でブランコに乗れないからなんだけど(笑)。(5円玉をつまんで、左横からひもをピンと張った状態で下に落とすと5円玉は下に向かって弧を描き、反対の右側に振れて、また戻ってくるという運動を繰り返します)
これが左から降りてきて、一番下に来たとき。このときのエネルギーを「運動エネルギー」というんだけど。この最大になったところでちょっと重力に逆らう力を横に与えてあげると、またこっち(右側に)大きく振れてくるでしょ。これが何もしてあげないと、全部重力に引っ張られていずれ止まっちゃうんですね。フーコーの振り子みたいなのは特別なんだけど。振り子じゃなく「ブランコ」っていってるのはそういうことで、ブランコってこぐものでしょ。


こぐときに運動エネルギーが最大になったところで、フッと重力に逆らう力を加えてやる。これを体でどういうふうにやるかというと、ひもをつまんでいる手は動かさずに、そのタイミングにひざで「ぐん」っと上に上げてあげるのね。ひざを伸ばす、という運動なんです。で、ブランコをこぐ。
(Yahoo!オークション注:ブランコを立ちこぎしてることを想像すると、よーくわかりますね)
ここのエネルギーが最大のところでひざを曲げてやると、止まっちゃうんですよ、ほら。




最小のエネルギーで最大の効果を
■ああ、ほんとだー。

でもたいがいの日本の人って、リズムをとるときにひざを曲げちゃうんですよ。クラシックの人もそうだけど。これは重力の方向に自分のエネルギーを持っていっちゃうから大腿四頭筋ばかり使って、疲れちゃうんですよ。ブランコはこげないし。だからどんどん重くなるっていうか。ヒップホップってそうでしょ。(しぐさをまねながら)「ヨー、ヨー」って言ってどんどん下に下がって行っちゃうから(笑)。筋肉を誇示するエアロビクスなんかもそうだし。ポップスっていうのはそうじゃなくって、もっと軽くスウィングする感じが大事かな、って。ぼくはそのほうが好きだし。

ひざを基点にして伸ばして左右に体を動かすと、腕は自然に振られるんですよ。これをステージでやっているんだけど、別にどこも疲れないわけですよ。ずうーっとブランコをこいで。こうやってね。そういう意識でテレビの演奏シーンとか見ていると、足が止まっている人が多いんですね。日本の人って、悲しいかな。「踊りましょう」って言うとこうやって手は踊っているんだけど、足は止まっているのね。本来手は後からついてくるものなんですよ。まずひざでブランコこぐ。こいでいると自然に手がついてくる。ね。そうしないと持続しないんですね。

たとえばカラオケでいうとね。素人の人は一曲入魂で力入りまくって、上手なんだけど疲れちゃうんだよね。何曲か歌うと「もう声出ない」ってなっちゃうのね。プロの歌手はそれじゃ勤まらないわけだからね。スポーツ選手と同じなんですよ。いかに最小のエネルギーで最大の効果を、なるべく長く発揮できるかってことでしょ。そこが「同じだ」というゆえんなんですよ。だからこれをスポーツの世界でも取り入れてくれたら、効果があるんじゃないかなぁって思うんだけどね。どうでしょうね(笑)?

■実際に見せていただくと「なるほど」と納得してしまいますねぇ。

---まだまだ続く浜口さんの動作と音楽の関係のお話。次回は発声についていいお話をしてくれます。楽しみですね!

浜口茂外也さんオフィシャルホームページはこちら

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